プロローグ ~被害者が容疑者!?~
「話を聞いてくださいってばっ!!
オレは犯人じゃないんですよっ!!」
古びた洋館の一室に、高校生の少年の
悲痛な声が響いていた。彼、木更津一樹、高校一年生は、
今、殺人事件の容疑者として疑われていた。
被害者は、一つ下の彼の恋人、神無月桃香。
彼女は、愛しい人の抱擁を求めるような格好で、胸に包丁をさされて死んでいた。
くしくも、その時彼にはアリバイがなく、彼はやってきた警察に
疑われていた。眠り薬かなんかで眠らされた、と言っても聞きもしない。
「オレは桃香を殺してないっ!! 彼女を殺す訳がないでしょう!?」
怒鳴る一樹に対し、警察官、強面な男はあくまで冷静だった。
彼を確実に犯人として考えている。
彼は愛しい人を亡くしたというのに、一切の慈悲も感じられなかった。
「恋人と仲たがいしたのかもしれないだろう? 仮定だが、君は彼女に
一方的に別れを告げられた。それで腹を立て、君は彼女を殺した」
「違うっ!!」
一樹は獣のように咆哮した。炎が宿ったかのような目で、
ぎろり、と警察官を睨みつけた。どうしてこうなったのだろう。
そう思っても、今はこの状況を覆すことなどできなかった。
ちくしょう、と一樹は心中で、自分の運命と、事件の犯人と、
目の前の警察官を呪った。
自分が旅行なんて考えたばかりに、桃香は死んだのだ。
燃えたぎる怒りのままに、彼は犯人はこの手で捕まえる、と
決意するのだった。
初めての推理ものです。いたらないこともありますが、
ぜひ見てやってください。