第25話 王太子オルランド ⑦
ふははははは! 馬鹿だなクラウディア!
クラウディアの言っていることは、近いところまで行っているかもしれないが、違う。
わざわざクラウディアを王太子妃にする必要はない。
ここで、この場所で!
クラウディアを排し、私とソニアの真実の愛を皆に認めさせればいいのだ。
クラウディアを排する理由は婚約破棄でなくとも構わない。
王太子であるこの私に、反論する身勝手な侯爵令嬢。
不敬者。
婚約破棄でなくとも、王太子に対する不敬というだけで、追放など可能なのだ!
はーはっは! クラウディア、もっと私に逆らうがいい!
王太子であるこの私に逆らった罪で、お前を追放し、そして、私はソニアと共に『原作』通りにしあわせになる。
細かな点など、どうでもいい。
大事なのは、『原作』通りに悪役令嬢クラウディアが追放されること。
ただ、それだけだ!
さあ、ここからは私のターンだ!
クラウディアよ、キサマの追放だ!
気分は最高潮に盛り上がったというのに。
「兄上! いい加減に妄想と現実を混同するのはお止めください‼」
ちっ! ミゲルの奴め!
「勝手な妄想に、他者を巻き込まないでください!」
妄想だと?
『原作』の美しき話の流れを馬鹿にするな!
クラウディアと共に、キサマも追放してやろうか!
……いや、それでは『原作』とズレが生じてしまう。
「口を挟むなミゲル!」
クラウディアの断罪が終わるまで、大人しく控えていろ!
お前の登場は、断罪場面にはないのだ!
「いいえ、挟ませていただきます! クラウディア嬢は兄上と無関係です! 婚約者でもなく、友人でもなく、側近でもないのです! 長い闘病生活を送り、車椅子に乗れば何とか外出もできるようになったばかりの、か弱い令嬢です!」
「はあ?」
無関係のはずはないだろうが。
悪役令嬢だぞ、その女は!
「無関係のご令嬢を! しかも、立っていることさえやっとの令嬢を! 無理やり立たせ、言いがかりをつける! そんな非道を許しておくわけにはいきません!」
何なんだ、ミゲルは!
お前は私とソニアのサポートキャラだろう!
そう、ソニアは平民上がりの男爵令嬢。
努力はするが、高位貴族の礼節、王族としてのふるまいを即座に身につけることが難しい。
だから、悪役令嬢の追放後、平和になったこの国の発展のために、ミゲルと第二王子妃になった女と共に、この私とソニアの政務や社交を手助けするのだ。
それが、『原作』でのミゲルの役どころだ。
なのに。
「以前には王家から婚約を打診したかもしれません! しかし、婚約を結べない理由は明らかです! 父王も、母も、クラウディア嬢が我ら王族と婚約を結べないほどに健康を害していることには納得済みです。誰だって見ればわかるでしょう! 王太子に対する不敬⁉ ふざけないでください! いいですか、兄上! 王太子の地位は、一方的に相手に難癖をつけて、自分を正当化するものではないのです!」
何故、私を貶める発言をするのだ、ミゲル!
「クラウディア嬢を兄上の婚約者とした上で、彼女をなんらかの方法を持って排せば、兄上がしあわせな人生を送れるなどと言う思いこみは、勝手な妄想ですよ!」
「おかしいのはお前だ! なんで私とソニアのサポートをしないんだ! お前はお助けキャラ、サポートキャラだろうに! どうしてお前まで『原作』と違う動きをするんだ! この馬鹿が!」
まったくもってけしからん!
『原作』通りに動けばしあわせになるというのに!
『原作』の結末はハッピーエンドだというのに!
「妄想ではないのなら、兄上は精神を病んでいる! まともではない! そんな兄上の勝手な妄想に巻き込まれたクラウディア嬢に、ボクは王族として、申し訳が立たないですよ!」
『原作』の通りになるように、修正しているというのに。
なぜ、邪魔をするのだミゲル!




