第19話 男爵令嬢ソニア ④
誤字職人の皆様、いつもありがとうございます。助かりますm(__)m
……おかしい。どう考えてもおかしいわ。
あたしたち……あたしとオルランド様が貴族学院でクラウディアと出会えない。
まず、聴講生ということもおかしいし。体が弱いとか言って、クラウディアが学院に登校するのが週に一度とか、十日に数回とかなのもおかしい
滅多に来ない。だから、クラスの違うあたしとクラウディアは……会うことがない。
どうして?
せっかく悪役令嬢が登場したんだから、『原作』通りにあたしを虐めてもらって、あたしは可憐に、健気に「……大丈夫ですから」とか堪えないといけないのに。
接点が、ない。
あたしにもないし、オルランド様にもない。
『悪役令嬢』が『悪役令嬢』の務めを果たしてくれないと、オルランド様とあたしの愛の崇高さが引き立たない。
そりゃあねえ、仲良しよ。あたしと、オルランド様は。
だけど……ごくフツーの、恋人同士(非公式)って程度。
だって、オルランド様、王太子だっていうのに、そして、間もなく貴族学院卒業の時期になるというのに、婚約者が居ない!
クラウディアが婚約者になっていないのなら、他のご令嬢でもなんでも、王太子っていう立場のオルランド様に婚約者が居ないのっておかしいでしょう⁉
どうして?
陛下も王妃様も、どうしてオルランド様に婚約者を作らないの⁉
オルランド様に聞いてもわからないって……。
第二王子のミゲル殿下にも、まだ婚約者が居ないというのだから、婚姻に関してのんびりしている王族なの?
まさかね。
普通、王子様っていったら幼少の時から婚約者が決まっているモノでしょう?
だって、王子妃教育とか、王妃教育とか、そういうの、何年もかけて学ばないといけないんだもの。
貴族学院を卒業間近になって、婚約者が居ない王子様って……。普通に考えたらあり得ない。
だって、ウチの国の貴族って、貴族学院を卒業したら、即結婚式っていうのがほとんどだよ?
それなのに……。
そもそもオルランド様とクラウディアが婚約を結んでいないのがおかしいんだけど……。
「どうしたらいいのだろうか。これでは『原作』通りに悪役令嬢に対して婚約破棄ができないぞ」
オルランド様が真剣に悩まれている。
よくある悪役令嬢のざまぁモノでは、婚約者だと思い込んでいた相手に婚約破棄を宣言して、恥をかく王太子っていうのもよくあるパターンだ。
だから、もしも、オルランド様がクラウディアに「婚約を破棄する」なんて言ったところで「はあ? 婚約など結んでおりませんが。何を勘違いされているのかしら?」って言われて終わりだよねえ……。
卒業パーティでの婚約破棄はできない。
悪役令嬢の断罪は無理。
だけど、そのレベルに匹敵するような何かがなければ。
『原作』のようにあたしとオルランド様が結ばれるなんてことがなくなってしまう。
王太子殿下と男爵令嬢が結ばれるって、この世界の貴族の常識ではありえないから。
だから、悪役令嬢を排して、聖女のように心清らかな娘が結ばれるって方程式を、崩してはいけないのよ。
何か、ないかな。
悪役令嬢を排して、あたしとオルランド様が、みんなに祝福されて、結ばれる結末を迎えるための方策は……。
「あ……」
一つ、思い付いた。
これなら……、できるかもしれない。
思い付いた策を、あたしはすぐにオルランド様に伝えた。
「おお! ソニアは頭がいいな! それでいこう! 『原作』との流れは変わっても、最終的な帳尻を合わせれば、なんとかなるはずだ! 卒業パーティでのクラウディアの断罪! やるぞ!」
うん、そうよ。
婚約破棄じゃなくてもいいのよ。
大勢の前で、クラウディアを排して、あたしの可憐さを見せつければいいんだから……。
同時並行で、新連載始めました。
『聖女召喚に巻き込まれた就活中の一般人、具現化スキル『テント』で異世界を東奔西走!』
こちらも併せてよろしくお願いいたします。




