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言の葉の星  作者: 霜月ひな
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プロローグ

初投稿です。未熟なところもあるかと思いますが、よろしくお願いします。

夜の空は、今日も変わらず静かだった。


俺は市内に通う高校生。周りの誰とも変わらない日常を送っている。


そんな俺だが趣味と言っていいか分からないが好きなことがある。

街の灯りから少し離れた小高い丘の上。ひとり望遠鏡をのぞいていた。

小さな双眼鏡よりは少し本格的なそれは、誕生日に自分で買った中古品だ。

高校の入学祝いにと渡された現金を特に何に使うでもなく取っておいた末の選択だった。


俺は星を見上げるのが好きだった。

星が好きというより、ただ空を眺めていると何も考えずに済むからかもしれない。


――この星の光は何年も、何十年も前に放たれたもの。


学校の授業でそんな知識を初めて知ったとき妙に納得してしまった。

いま見えているこの輝きが過去の名残にすぎないというのなら、自分の存在だってどこかそんな風に宙ぶらりんなものなんじゃないかと思った。


「……誰かが見てくれてたらいいのに、なんてな」


思わず口をついて出た声に俺自身が苦笑する。

何を馬鹿なことを。そんな風に思うようなキャラでもないだろうと、自分にツッコミを入れた。


日々の生活は平凡だった。家族と仲が悪いわけではないが、特別仲がいいわけでもない。

友達もいるにはいるし話しかけられれば返すけど、自分から話すことは少ないし部活にも入っていない。塾にも行かず、成績も平均より少し上くらい。


クラスで浮いてるわけじゃない。ただクラスの中心に立つような存在でもなく、いてもいなくても変わらないだけ。


そんな自分を嫌ってはいない。けれど好きだと思えたこともない。


望遠鏡のピントを微調整しながら、無意識に空に問いかける。


――俺は、この先の未来どうするのかな。


その時だった。


視界の端で、流星が尾を引いて走った。


それは一瞬のことで、願いごとを唱える暇すらなかった。けれど、少年の中で何かが確かに“落ちた”感覚があった。


ふと視界がにじむ。星がぼやけ、耳鳴りが響き、足元がふらついた。

立っていた地面が、ひび割れるような錯覚。


「……え?」


瞬間、星が降るような光景が視界を覆った。

白く、青く、紫に輝く光が幾重にも重なり、夜空が反転する。


そして――少年の意識は、静かに闇へと沈んだ。



闇へ沈みゆく中、微かな声が響いた。


「おや、次はどんな輝きを見せてくれるのかな」


ぼんやりと姿だけのそれはそうつぶやいた。


「……っ!」


誰だと問いかけたくても声がでない。そしてそのままその姿は見えなくなり辺りがまた闇に包まれた。


風の匂いが違った。


草の香りも、空気の重さも、見上げた空の色も。


――どこだ、ここは。


体を起こすと、見知らぬ天井も地面もない。ただ、広がる草原と風の吹き抜ける音。遠くで鳥の鳴き声が聞こえた。


「……目覚めたね」


ふいに誰かの声がした。振り返ると年の近そうな少女が、こちらを見つめていた。


彼女は、まるで星のような瞳をしていた。


「こんなところで寝てたら危ないよ。死にたいの?」


これが少女との出会いだった。ロマンもクソもない普通の出会い。


だが、俺の中では新しい始まりを感じた。


これが、俺の転生の始まりだった。



読んでくださりありがとうございます!

拙い文章ですが続きを楽しみに感じていただけたら嬉しいです!

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