6 ガリル家
例の件が判明した後、両親は書簡をガリル家に届けるように執事長に命じた。
執事長から書簡を受け取るとガリル家の当主フォンカスはこう言ったそうだ
「面白い選択をしたな、最後まで足掻こうと言うわけか、しかし我が息子は近隣貴族で一番の魔法の使い手、話しにならんぞ」
執事長はひどく憔悴した様子で戻ってきた。
私に対しても腫れものを触るような態度で接してくる。
「執事長、安心あそばせ、私は勝って見せますわ、そして全てを白紙にしてご覧に入れますわ」
決闘当日、私はガリル家にいた。
(うーむ、ユーリスの屋敷も大きいがガリル家はもっと大きいな、これはそのまま権威の差と言うことになるのだろうな)
私兵が固める中で、中庭に歩み出た私を見てそこいら中からひそひそ声が漏れ聞こえてきた。
(敵地とは言え、魔法の使えない女が男相手に決闘するなど物珍しいのだろう、いや、この感じはあざけりに近いな)
両親も居心地が悪そうにしている。
(なめられていてはフューザリオン家の名に傷がつく、堂々と胸を反り構えるのだ、ユーリスのためにも私が気張らねばならん)
「フォンカス・ガリル様のおなりーーー」
ファンファーレが鳴り響き歓声が上がる。
そこに白い服を着込み、顔の整った男性が現れた。
(この惑星の美醜感覚は分かってきたが、これはイケメンと言うヤツだろう、ユーリスが書いた物語に頻繁に出て来た)
「フォンカス様、相変わらず威厳が有らせられまして当家も規範としたく思っております」
「うん?ユーリス、君はそのような言葉づかいであったかな、以前と様子が違うようだが」
(まずい、明らかに疑っている何とかごまかさねば」
「私はもう良い年頃、作法を気にして当たり前にございますれば」
「ふむ、そうか、見上げた心がけ我が妻となるにふさわしい」
(もう買った気でいやがる、しかしこのフォンカスと言うのはユーリスの何が良くて婚姻を迫っているのだ、強火のオタクだぞ)
そうこうしているうちに私たちは決闘の体勢に入った。
「地面に倒れた者、まいったと宣言したものを敗者とする、くれぐれも貴族たりえる誇りある態度で臨むように」
「始め!!」
号令が鳴り響いたと同時に、私は胸に下げたブレスレットを引きちぎり頭上に掲げた。
「甲着!」
そう叫ぶとユーリスの身体が光に包まれる。
その場にいるほとんどの人間が目を覆い隠す
(我が惑星の惑星探査用の標準パワードスーツW-1まずはこれで十分だろう)
光りが薄れるとそこにはグリーンのパワードスーツを身に付けたユーリスがいた。