4 魔法
私が書庫から書物を持ち出して3日が過ぎた。
初日の夕食は私が食堂のテーブルに着いたとたん母親らしき人物が泣き出した。
「ユーリスが、部屋から出てこうして私たちと食卓を囲んでくれる日が来るなんて・・・もしかして例の件で無理をしてないこと?」
「うむ、ユーリスは部屋の片づけも自主的にしたと言うぞ、素晴らしい進歩だ、だが例の件を気にしているのなら私も気に病むところだ」
(例の件、例の件、てその、知っていますよね、で進行していくのはやめて欲しいのだが、内容が知りたいのだが)
私はそれから3日間の間、今日まで「例の件」を何度も耳にしたがひとつも内容が分かっていない。
しかし、書物で知りえた知識も大きかった。
この家の家名は「フューザリオン」と言い、主に開拓で成り上がり、爵位は伯爵であること、
私兵は20人程度、契約をしている傭兵は30人規模のものだと言うことだ。
「成り上がりとは言えけっこうなものですわね
(ところでユーリスは学校に行っていたのだろうか、我惑星では程度の大小はあっても皆学校に通っていたぞ)
ユーリスについてはわからないことだらけだ、この様子だと私の、いや、ユーリスの行い一つで情勢が変わってもおかしくないのかもしれない。
仕入れるべき知識はまだまだ多い。
私はある日、書庫で本を探していると「魔法の効果と適用」なる書籍を見つけた。
「魔法・・・?なんですの?」
しばらく読んでいくとどうにも超自然の力を得て、様々な理を成しているとわかった。
「部屋の明かりは魔法でまかなっていたんですのね、まるで知らなかったですわ」
(うむ、どうにも魔法とは我惑星の科学に相当するものらしい、科学で出来ることはだいたい魔法ではできるようだぞ、これは面白い)
他にも魔法の本を手にしていると、強い魔法を使う者、珍しい魔法を使うものが珍重され、貴族間でのいさかい等にも用いられるらしい。
(どうにも戦争や争いごとに使用されているらしいな、どの惑星も同じか、この惑星とごたごたが起きると面倒なことになるな)
読み進めて行くと魔法の適性の項目があった、魔法はその強さや属性の適性があり、使えるものはブレスレットを身に付けており、身に付けていない者は魔法の適性がないらしいと分かった。
(そう言えばメイドの殆どのものがブレスレットをしていたな)
そう思って手首を見るとはたしてユーリスの手首にそれは無かった。
「私は魔法を使えないってことになりますわね」
私はそうつぶやいて本棚に書籍を戻した。