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2 強めのオタク

(ユーリス、ユーリス、私はユーリス)

心の中で唱えながら屋敷の中を歩く。

(身体に入ったものの、記憶がまだ断片的すぎて自室の場所が分からん、ううむそこの女性に聞くしかあるまい!自分の部屋の場所を!)


「ちょっとそこの方、申し訳ありません、私の部屋はどこだったかしら」

「お、お嬢様、私共にそのようなお言葉遣いを、それに部屋の場所などと、いつもお部屋から出られませんですのに」

(うむ、やはり変に思われたな、どうしよう)


「たまにはお嬢様もおふざけになられるのですね」

(もう一人の女性はどうやらユーリスがふざけていると思ったようだぞ、よし、これで自室に入れる)

私は女性二人に案内されて自室に戻る。

「いいこと、誰も部屋に入らぬように」

そう言いつけると。

「はい、いつもの通りに」

そう返事をかえしてきた。

「いつもの通り、ユーリスは部屋から出たがらない性格だったのか・・・」


振り返って部屋を見ると服が散乱し、紙束がいくつも積みあがっている。

「これは・・・私の惑星での令嬢は、このようなちらかりようの部屋ですごしてはいませんが」

取りあえず服を拾い集め、そばにあった籠に詰め込んでいく。


(よしよし、まずは片付けからだ、記憶によると先ほどの女性たちはメイドと呼ばれる側仕えのような物らしい、あの二人を呼んでみるか)

「誰か!だれかおりませんこと!」

そう叫ぶと先ほどの二人がやってきた。

「この籠の中にある服を洗濯してちょうだい、それから掃除道具をもってきて」


「・・・・お嬢様、いまなんと?」

「服の洗濯と掃除道具よ、掃除は自分でやるから放っておいてちょうだい」

そう言って私は自室のドアを閉めたが、外から話し声が聞こえてくる。

「お嬢様が服を自分から選択に出して・・・」

「掃除を自分でする・・・?ありえないわ、さっきもそうだけどお嬢様はおかしいわ・・・」


(うん、ユーリスになり切れて無いようだぞ、しかし私の惑星では令嬢とは自立して身の回りの作業も自らこなす存在だったが)

部屋を歩き回ると机上には紙束が置かれている。

(記憶があいまいなだからこう言った物から情報を得るのも一つの手かもしれんな)


私はしばし書き物を読みふけっていく。

「・・・・・・」

「・・・」

「わかったこれ!!私の惑星で言うところの強めのBL字書きオタクの引きこもりだ!!」


(・・・このユーリスになりきらないといけないといけないのか?大分辛いぞ?)

私が頭を抱えているとノックの音がした。

「おはいりなさい」

私がそう命じるとメイドがモップと箒に、水の入ったバケツを持ってきていた。


「あの、本当にお掃除は・・・」

「しばらくは私が掃除するわ、貴族と言えど庶民の生活にもなじんでみたいかと思って」

そう言葉をかえすとメイドが言った。


「お嬢様・・・ご成長なされて・・・嬉しゅうございます」

(また何か変な印象を与えてしまったか、母体の記憶が曖昧過ぎる、これをしのいでいくのは骨が折れるぞ)

現実逃避するために私は黙々と部屋の掃除を始めた。



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