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「変な顔でおはぎを見ないでください」
「私はいつでも美丈夫だが?」
「その揺るがない自信尊敬します」
「ありがとう」
冗談めいた言い方になったが、自分に自信があるところを本当に尊敬している。自己肯定感が高いか低いかで言えば、高い方が確実に人生楽しい。少しくらい嫌なことがあっても、自分を否定されても、自分自身の力で乗り越えられる。そこは参考にしたいと本気で思っていたりする。ただし、調子がよすぎるのは却下だ。
「それで、なんで買い物したらダメなんです? というか、買い物するって知ってるのが怖いです」
「先ほど国守の家に行ったら、清仁は買い物でいないというから追いかけたのだ」
「ああ、入れ違いだったんだ」
すると、清麻呂が急に両手を広げた。清仁とおはぎが一歩距離を取る。
「そしたらだ! 国守の従者からお前に子どもが出来たと聞いて! 喜び勇んで参ったということだ!」
「えぇ……絶対仙さんじゃん……」
面倒事を増やさないでほしい。おはぎをこうして連れて歩いている時点でバレるのは分かっていたが、清仁の子どもと説明されると変な誤解を受ける。
「清仁の子どもということは私の孫。孫が増えたとは感慨深い。よし、お祝いをやろう。金か?」
「いや、どこから連れてきたんだとかないんですか」
突然現れた子どもを純粋に孫として受け入れる清麻呂に清仁が思わずツッコむ。寛大なのか単純なのか。
「別に、子どもが増えるのは珍しいことではない」
「そういうものですか」
「うむ」
清仁は妙に納得してしまった。
「でも、この子は拾ったとかではないので。えーと、説明が難しいな。清麻呂さん、式神って知ってます?」
きちんと説明していいものか分からなかったので、とりあえず式神の存在を知っているかどうかを訪ねる。清麻呂が頷いた。
「もちろん。陰陽師が使役しているあやかしだろう」
「よかった。この世界では常識なんですね」
仙のことを従者と言っていたので知らないのかと思ったが、知識自体はあるらしい。
「実はこの子がそうなんです」
「なん……だと……!?」
清麻呂が崩れ落ちる。そんなに驚かせてしまったか。清仁が心配していると、清麻呂がふらふら立ち上がり、おはぎに手を伸ばした。
「こんな愛らしい童が……」
「女の子です」
「なんと、童女か。それは失礼した。どれ、私の屋敷に来なさい。もてなしをさせてくれ」
結局、清麻呂の屋敷に行くことになった。向こうが望んでいるなら断るのも忍びない。清仁は清麻呂の意向に沿うことにした。
「あの、全然、おもてなしとかいらないんで」
「分かった分かった」
──分かってるかなぁ。
和気邸に着いて座って待っていると、次から次に高級料理が登場した。全然分かっていなかった。




