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「気が済んだか?」

「はい。居候が調子に乗って申し訳ありませんでした」


 現在、清仁は国守の前で土下座をしている。横でおはぎも真似してぺこりと頭を下げる。清仁があまりに叫ぶものだから、近所迷惑だと仙に重い一発を浴びて謝罪させられているのだ。


 さすがに今回は騒ぎ過ぎた。常軌を逸する可愛さに我を失っていた。冷静になってみれば、随分恥ずかしいことをした。しかし、おはぎの可愛らしさは今でも変わらない。


「おはぎ可愛い。ごめんなさい」

「ほれ、お前の所為でおはぎがおかしなことを言い出したぞ」

「うう……おはぎちゃんが可愛いのは良いことだから。俺が騒いだのが悪いの。俺がごめんね」

「あるじ、ごめん?」

「うん、そう」


 清仁がおはぎに謝ると、おはぎに頭を撫でられた。いつもと逆だ。不思議な感覚に襲われる。


「幼女に慰められてよかったな。似合うぞ」

「相変わらず嫌味がひどい」


 国守は誰にでもこうなのだろうか。もしそうであれば、従者を付けても逃げられそうだ。一人が性に合うから、居候の清仁に冷たいのかもしれない。


──逆に、これが国守の愛情表現だったりして。それは嫌だな。


「今失礼なことを考えているだろう」

「え、分かるんですか。陰陽師の能力的な?」

「顔に出ている」


 思わず顔を触る。そんなに顔に出やすいのか。今後気を付けよう。


「さて、戯れ言はこのくらいにして、先の光はおはぎが人型になる途中の出来事だったのだな」

「そうですね。もしかして、俺に陰陽師の才能が……?」


 全然実感が湧かないが、これはそういうことなのかもしれない。なんとなく力が強くなった気がする。気がするだけだった。


「違う」

「秒で否定するじゃん」

「顔が鬱陶しかった」

「直でひどい」


 お世辞でもそうだと言ってほしかったが、この男に期待することが無駄な行為だと気付いてしまった。彼は非常に正直者なのだ。


「お前に霊力は感じん。一般庶民となんら変わらない。あって微々たるもの。つまり、おはぎがおはぎ自身で成長したのだ」

「おお……傷ついたけど、おはぎちゃんがすごいことは分かりました」


「ただし、おはぎも霊力が高いわけではない。主人であるお前から霊力を借りることも出来ないから、戦闘面では話にならないだろう」

「おはぎちゃんは戦闘員じゃないので大丈夫です。可愛い民だもん、ね~?」

「ねー?」


 清仁が首を傾げてみれば、おはぎもまた同じポーズを取った。キッズモデル並の素晴らしいポージングだ。清仁は無言で連写した。これからは女児バージョンのおはぎの写真も増えることが決定した。


「いやぁ、文句の付けようのない完璧さ。あとは可愛い服があればさらに可愛くなるぞ~」


 今おはぎが着ている服は、清仁の朝服と似ているものだ。以前、仙が主人と同系統の服になると言っていたから、おはぎもこの服になったのだろう。


 どうせなら女の子の服を着ているおはぎも見てみたい。清仁はこの世界に来て初めて物欲が生まれた。

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