第八十三話 小川で入浴
アリアと、メアリーは日々、デラとの距離が遠くなっている。
もう1週間も体を洗っていない、普段ならなんともないのだが、憧れの美形デラに対して、乙女の恥じらいである。
ハンナは四角いカバンを抱っこして、ご機嫌でデラの横に並んで歩いている。
時々蓋を開けて、中身の超美少女人形メイを確認するのは忘れない。
メイとヒノの本体は、ヒの国で学校へ行き、森の家で快適に暮らしている。
「デラさん、そろそろ体を洗いたいのですが、この辺に川とか池は無いのでしょうか」
夕方になり、そろそろ夕食の時間になる為、アリアがデラに質問した。
「あーーっ」
カバンの中からメイの声がした。
メイは移動魔法を使えばいいことを忘れていたのだ。
「どうしたのですか」
ハンナが驚いて聞き返した。
「皆を私の家にご招待します」
次の瞬間全員の姿が、メイとヒノの待つ森の中の家に着いた。
デラは森の家に着くと、入り口の前にたった。
「少し待ってください」
デラの横でアリア達三人がボーっと待っていると。
「こちらへどーぞー」
邸の裏から声がする。
恐る恐る裏へ回ると、メイとヒノが澄んだ水の流れる小川に、頭だけ出して水につかっている。
よく見るとメイ達がいる場所は、石で丸く囲われている。
「一緒に入りましょう。体を綺麗にしましょう」
近くに脱いだ服を掛けるのに丁度いい木があったので、そこで服を脱いだ。
木の陰で隠れながら裸になった三人は、胸と股を必死で隠しながら、もじもじしながら小川に近づいてくる。
「女どうしですから、大丈夫ですよー」
ヒノがニコニコしながら呼ぶ。
「そんなこと言われても恥ずかしいです」
三人が声をあげた。
小川に近づき、ゆっくり足を水につけると、なんと水が温かかった。
「す、すごい、川の水が温かい」
メイの魔法で、温めているのだ。
三人は川に入ると体を洗い始めた。
チャポン
見ていると、メイが水に沈んで頭を洗い出した。
この場所はお風呂ではない、川なので水が常時入れ変わっている。
洗い場もないのでお湯の中で体を洗っているのだ。
決してお風呂で真似をしてはいけない。
三人が水に沈むと、メイとヒノの体に布が巻かれてひらひらしているのが見えた。
三人の悪戯心に火が付いた。
「ぎゃーー!! やめてーー!!」
三人はメイの布に襲いかかった。
当然シロもクロも爆笑しながら参加した。
ヒノだけはそのすきに、大きな胸と布をしっかり押さえて、逃げ出した。
「ばかーー!! わーーーん」
五人に引っ張られた布から、つるんとメイの体が飛び出していた。
メイはべそをかきながら家に入って行った。
三人は超美少女のありがたい体を拝見して、満足して水にもぐった。
「ぎゃーーー!! つめたーーい」
あっという間に川の水は冷たくなった。
温めていたメイがいなくなれば、川はただの水になる。
当然のことだった。
自業自得である。




