第八十二話 スライムが大都会にやってきた
日本にはあの大地震があったとき、震度7弱の揺れで耐えきった都市がいくつかある。
九州の都市だ。
原子力発電所も無事で、電気、ガス、水道も回復している。
俺とばあさん、あいとサエそしてファンの五人は時々、大都会で回転寿司を食べたり、名物のラーメンを食べたりしている。
世界にも当然無事な所が有り、それが軍事施設ともなると、黒勇者をなんとか兵器利用できないかと考えるところが出てくる。
「すごいですね、砲撃もミサイルも効きません」
「うむ」
「あれを何とか、兵器として利用出来ないものだろうか」
「ふふふ、昔そんな映画を見ました」
「結果は?」
「たしか、失敗していましたね」
「将軍、見てください」
「驚いたな。あれと互角に戦うのか」
「倒してしまいました。あっ、き、消えました」
「調べろ、あの美少女を」
俺たちが、豚骨ラーメンを食い終わって、店を出ると怪しい男が近づいてきた。
「ご同行願えませんか」
全員に銃を突きつける。
正確には俺は透明なので俺以外全員だ。
しかし度胸がある、世界最強軍団に銃って。
だが、サエだけは超一般人だ。
サエが俺たちにとってウイークポイントだと言うことを思い知らされた。
うかつに動くとサエの命が危ないので、全員素直にしたがっている。
俺は存在がバレていないので、後ろからつけていく。
しかし、こいつら何処の誰で、何が目的だ。
「乗れ」
俺以外全員車に乗せられた。
俺は市街地を走る車くらいなら追える。
港の倉庫に入っていく。
「手荒なまねはしない、我々はその少女と話がしたい」
現在進行形で手荒なまねをしていると思うのだが。
しかも回りは武装した男に囲まれている。
敵さんの目的はファンのようだ。
「俺と話しがしたいなら、仲間は解放しろ」
ファンの見た目は超美少女だが中身は男、そのファンが仲間の開放を求める。
「おい!!」
怪しい男の合図で、全員武器を下げた。
本当に危害を加える気はないようだ。
「俺は大人しくする。仲間を解放してくれ」
再びファンが男に頼んだ。
「一人だけ人質になってもらう」
男は、一番美人のあいを人質にした。
ばーさんと、サエは開放され、ファンとあいが連れ去られた。
当然、ばーさんの分体が透明になり同行している。
港からボートで沖に出て、沖には飛行艇が浮いていた。
それで首謀者の基地へ飛んでいった。
ファンとあいが基地に着くと、俺はばあさんの移動魔法で基地に移動した。
「すげーな、ばあさん」
「わしには、凄さが分らんが、ガドが言うのであればそうなのであろう」
「ただ、勇者達とばあさんの方がもっとすごい、でも壊しておいた方がいいかな」
「ほう、だが、もらっておいた方がいいのじゃないか」
ばあさんが悪い笑顔をしている様だが、俺の肩の上だから透明になっていて見えなかった。
このあと俺とばあさんで、この基地の人間を次々学校送りにした。
「この調子じゃ、校舎を増築しないといけないな」
「そうじゃのー、ひっひっひぅ」
ばあさんの笑い声が、悪い魔女の笑い声に聞こえた。
こうして、立派な軍事基地まで手に入れた。




