第七十六話 あなた達は本物だ
俺たちは、ばあさんの移動魔法で警察署の駐車場に着いた。
あいが入り口で名刺を見せて、ガド(俺)がいることを伝えると、インテリ眼鏡の所にすんなり案内された。
「ようこそ、早速ですが、本題に入ってもよろしいですか。ああ、申し遅れました、私はナガノと申します」
「めんどーくせーから、さっさと始めてくれ」
「へー、すごいですね。本当に透明なんですね。ああ、失礼しました。じつは先日、警官が五十人殺されました」
「勇者ですか?」
あいが俺にかわって話し始めた。
まあ、俺がしゃべるよりいいだろう、そのために来てもらったんだしな。
「はい、正確には悪党とその仲間になっている勇者です」
「人間と一緒に悪事を働いていると」
「そうです、誘拐を本業にしています。アジトに逮捕に向かった警察官が全滅しました。完全武装していたにもかかわらずです」
インテリ眼鏡は黙った。
「勇者がいれば軍隊でも勝てませんよ。わかりました。私達が行きます」
「よろしいのですか」
「ふふふ、引き受ける気が無ければ来ませんよ」
「すごい、あなた達は映画で見たヒーローなどではなく、本物のヒーローだ」
「案内して下さい」
くそう、あいがかっこいい。美人だしな。
透明ってーのは、パッとしねーー。
俺達は暗くなるのを待ち、パトカーでアジトに向かった。
アジトは郊外の林の中にある豪邸だった。
パトカーはかなり離れて止まってもらった。
「本当に二人で向かわれるのですか」
インテリ眼鏡が心配する。
「はい、足手まといなので、ここに居てください」
あいが言いにくいことをはっきり、きっぱり言い切った。
俺が言ったら角が立つが美人が言えば丸く収まる。
「ふふふ、そうですか。わかりました」
インテリ眼鏡も一緒に来ている警官も不満はなさそうだった。
いまでは、ガドの名はその位の力を、持っているということなのだろう。
「あい、こっそり中の様子を見てくる」
俺は、透明なのをいいことに豪邸の中へ、一足先に忍び込んだ。
豪邸は、でかいプールまである。
音さえ出さなければ、俺に気づける者などいない。
自分で言うのもなんだが完璧な透明化だ。
俺は誘拐されている子供を探した。
……。
人質は直ぐに見つかった。
武装した、怖そうな人に見守られ、拘束されている。
だが、四人のパンツ一丁のおっさんだった。
俺は、豪邸を後にして、あいの元にもどった。
「ばあさん、キツノをここに移動してくれ」
俺が言い終わると、キツノが現れた。
「黒勇者はいなかった。俺とキツノで行く。キツノはステータスで敵の勇者を見つけて教えてくれ。スライムは任せる」
「はい」
「ばあさん、誘拐されている人を、ナガノさんの所へ移動してくれ」
考えてみれば、勇者以外を相手にするのは初めてかもしれない。
「ガド、誘拐された人は移動させた」
豪邸全体が明るくなった。
これが戦い開始の合図となった。




