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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第六十八話 激突

「ねえ、アリア姉、デラさんの事どう思う」


メアリーが歩きながら質問する。


「あのメイさんの眷属なのだから、すごいのだろう。でも真の勇者には誰も勝てないだろうさ。今まで真の勇者を倒すことが出来たのはガド様しかいないのだから」


「はーやだねー、またあいつらと戦うのかー」


メアリーは、手を頭の後ろに組んでぼやいた。


「そんなことより、帰ってさっさと眠るよ。明日も早いんだからさー」


「はーーい」


メアリーが笑顔で答えた。


「メイちゃん可愛い、ほしい」


ハンナが小さく誰にも聞こえないくらいの、声の大きさでつぶやいた。

本気の時には人は声が小さくなるようだ。


「アリア姉、ハンナが自分の世界に入っているよー」


「しょうが無いねー」


「くすくす」


アリアとメアリーは笑っていた。




部隊の移動は過酷だった。

老将バンガは、くそ真面目だった。一刻も早く街へ行き、苦しんでいる人々を救おうと本気で考えていたのだ。

だから、部隊は早足で、早朝から夕暮れまで目一杯行軍していた。


十日たった頃ようやくデラは少しずつ動けるようになった。

十二日目に見えてきた街に、とうとう真の勇者、真っ黒の鎧を着た勇者の姿が見えた。


「とまれーー、全軍密集陣形――!!」


老将バンガが吠えた。百人で丸く団子になりウニのように槍を突き出す陣形である。

黒勇者の密集陣形と同じ形だった。

どちらが真似をしたのかわからないが、同じ形の密集陣形が完成した。


街の門を見張っていた三人の黒勇者が気付き、のそりのそりとゆっくり近づいてきた。


「このまま門まで前進だーー!!」


街の門を開放し、街の人を逃がし助ける作戦である。

勇者の部隊が前進し、荷役隊は距離を置いて待機していた。

三人の黒勇者の内一人が荷役隊に気付き近寄ってきた。

護衛の勇者は百人残されていた。

百人は密集陣形を作った。


「我々が防ぐ、荷役の者は全員撤退しろーー!!」


声の主は百人隊の隊長アリアだった。


「にげろーー!!」

「にげろーー!!」


荷役の者達は、必死で逃げていった。

辺りは逃げ出した荷役の者達の出した砂埃で前が見えなくなった。


ガアアアーーン!!


黒勇者がアリアの部隊の密集陣形を攻撃した。

大量の槍が突き出されるが、黒勇者には効いていないようだった。


ガアアアーーーーン!!


「ぐわああああーー」


黒勇者の攻撃で陣形が崩れた。

黒勇者が陣の中に素早く潜り込んだ。

そして手当たり次第に近くの者を殴り倒した。

そして、隊長アリアを見つける。


「確か、お前が隊長だよなーー。ヒーーヒッヒッ」


黒い勇者が右手でアリアのあごの下をつかみ、高く持ち上げた。

そして薄気味悪い笑い声を出した。


「くそーー。うっ、や、やめろ手を出すな、逃げるんだー」


アリアの目に、黒勇者に攻撃しようとしている、ハンナとメアリーの姿がうつったのだ。

その時、死を覚悟したハンナの肩を叩く者がいた。

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