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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第六十七話 夕食会

「ここは丁度風下かー」


メイが独り言のようにつぶやいた。

この言葉を聞くとヒノの目が輝いた。


「これから夕食を用意したいのですけど、勇者さんは食べる事が出来ますか」


「食べられます。お腹ペコペコです」


「先生には聞いていません、勇者様どうですか」


「あたしは、食べたい。夕食は済ましたが、正直足りなかった」


ハンナが言うと、アリアとメアリーもうなずいている。

勇者の答えを聞くと、ハンナが抱っこしている美少女人形が消える。

何が起きたかわからないハンナは、悲しそうな顔になった。

入れ替わりで、実物大の、メイとヒノとシロとクロが現れた。


「えっ、あなた達は……」


ここで勇者三人とメイとヒノ、クロとシロが自己紹介をすました。

同時に夕食の牛丼バイキングの準備が終った。


「しかし、ヒ国の王妹はでかいと、聞いていたけどこれ程とは……」


アリアがヒノの胸を見ながら、ハンナとメアリーに、ヒノに聞こえないよう小声で、こそこそ話している。

二等身人形の時は、余り目立たないが、実物はすごく目立っている。

準備が終ると、メイは二等身人形に戻った。

ハンナは、誰よりも速く、美少女人形のメイを抱きしめた。


「では、お召し上がり下さい」


ハンナの腕の中でメイが声をかけた。

机の上に大皿二つが置いてあり、ご飯と具材が取り放題になっている。

最初にヒノがうつわにご飯を控えめに入れて、具材を多めに入れて、食べ始めた。


「うまーーいー」


ヒノの声を聞くと、シロとクロの順で食べ始め。

少し遠慮している、三人の勇者にデラが、どうぞと態度で示す。

アリア、ハンナ、メアリーの順に準備をして、同時に口に入れた。


「うまーーい」


すごい勢いで食べ始めた。

ハンナの膝の上にいるメイの上に少しおつゆが落ちてきた。

すでに食べることに夢中で、美少女人形メイのことは、忘れてしまったようだ。


「お水も用意してありますのでどうぞ」


メイの声にハンナが気づき、可愛いメイ人形を見たら、ほっぺがおつゆで茶色く汚れていた。

ハンナは慌てて袖で拭き取った。

水の飲み方をヒノから教えて貰うと、三人はごくごく喉を鳴らして飲んだ。

すでに物資が不足気味で、水も配給制になっている為、十分飲めていなかったのだ。


「うまーーい」


冷たくひえた雑味の無い水は三人の勇者に大好評だった。

一人二本ずつ水のペットボトルをお土産で貰うと直ぐに服の中にしまっていた。

三人は結局お替わりまでしていた。


「皆さん、至らない眷属ですが、これからも宜しくお願いしますね」


お腹が膨れ、落ち着いた所でメイがお食事会を締めくくった


「も、もちろんです」


三人の勇者の声がそろった。

持ち場へ戻る三人の勇者だったが、ハンナだけは名残惜しそうに、美少女人形の方を何度も振り返っていた。

メイはその都度、満面の笑顔で手を振った。


三人を見送るデラの顔は複雑な表情だった。

ヒノは、デラの心が良く理解出来た。

メイはそんな二人に声をかけず静かに様子を見ていた。

辺りはすっかり暗くなり、空には大量の星が瞬いている。

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