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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第六十話 レベルアップの影 

ダンジョンの外は夜だった。

メイ達は移動魔法で森の家に帰った。

食事と入浴を済ませてベッドに入った。

デラはそのまま警備。

ヒノの元気が無い。


「……」


ヒノは話すかやめるか悩んでいるようだった。


「……」


メイはとっくに気が付いていたが、自分からは話しかけない方がいいと思っていた。

長い沈黙が続いた。


「メイちゃん、起きている」


「はい」


とうとうヒノが口を開きメイに話しかけた。


「これは、私の心を軽くする為に話ます」


「はい」


「だめな大人です」


「なんですか」


「ダンジョンでレベル上げをしているとき、亀裂の向こうのことを思い出していました。レベル上げの為、向こうの世界のスライムを狩ったのです。見た目は私たちと同じでした……」


「そんなことを感じていたのですね」


「なにが正しいのでしょう」


「くすくす、先生はもう答えが出ていますよね」


「……」


「わたしは黒い勇者も助けたいと考えています」


「えっ」


「おやすみなさい」


ヒノは、朝まで眠れなかった。






翌日、メイは元気だった、ヒノは元気が無かった。

それはメイの授業中に起きた。


カンカンカン


ギルドの高くそびえる塔からの警報音である。

メイはヒノとデラと移動魔法でギルドの格納庫に移動した。

メイは赤い服を着て透明になり、ギルドの表に出た。


「あ、あれは」


ヒノが指さす先に土煙が上がっている。

黒勇者が壁を破壊しているようだ。

街にはまだ被害は出ていないようだった。


ドカーーーン


壁が破壊され黒勇者が六人侵入してきた。

だがその姿は、いつもと違った。

背中に樽を背負い、樽からチューブで口に酸素マスクの様な物をつけて呼吸している。

口の回りから少し黒い霧が漏れている。


「皆さん下がって下さい」


メイが大勢集まっている登録者を下げた。


「ガド様だー、ガド様が来て下さったー」


まわりから歓声が上がった。

メイは六人の黒勇者に近づくと、五倍の重力魔法をかけた。


「ぐはっ、な、何だこれは」


黒勇者は異変を感じた様だが、少し足がガクッと動いた位で耐えている。

広い視野で様子を見ると、壁の中からこちらの様子を見ているものがいる。


「これでどうですか」


メイは重力を十倍にした。


「ぐはーーー」


最早動くことはおろか、立っていることも出来なかった。

メイは後ろに控えているデラが、この状態でも立っていることを感じていた。


「デラ、成敗して下さい」


「はっ」


デラはすたすた歩くと、動けなくなっている黒勇者を棍で突き刺した。

メイは、冷ややかな目でその光景を見ていた。

少し離れた所でこの光景を見ているヒノは、ゴウの腕をつかみ泣いていた。


「あるじ、終りました」


デラはうやうやしくメイに頭を下げた。


「デラ、背中の樽を壊して下さい」


デラが言葉通り破壊すると、そこから大量の黒い霧が舞い上がった。

だが、その霧はシュンとメイの体に吸い込まれた。

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