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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第五十四話 魔女の眷属

「あのーー」


クロが姿を現し申し訳なさそうにメイに話しかける。


「うおっ、妖精!!」


姿を現した小さな羽をつけた白い少女に黒勇者が驚く。


「私は妖精ではありません。精霊です」


「で、何ですか?」


メイがクロに呼びかけた事を質問する。


「あ、はい。実は黒い勇者様を全快してしまいました」


「ひっ!」


クロの言葉を聞いてゴウとヒノは後ずさり、尻餅をついた。

そして立ち上がることも出来ず、そのままの体勢で後ろに進んで行った。


「そうか、それで俺はこうも体が軽いのか」


黒勇者は体を起こしメイの前に座った。

メイは黒勇者の目の前で涼しい顔をしている。


「あなたは帰りたいですか」


メイは思いも寄らないことを口にした。

ヒノもゴウもがたがた震えながら、驚いた顔をしてメイの背中を見つめた。


「ふふふ、今更帰っても殺されるだけだ…… まあここにいても魔女様に殺されるのかな」


メイは両手におむすびを出した。


「食べて下さい」


黒勇者はきょとんとしたが、メイからおむすびを受け取った。

それを口に運ぶと。


「う、うまい」


「これはお水です」


ペットボトルのふたを取り自分で一口飲んで、飲み方を教えてから渡した。


「これもうまい水だ」


黒勇者は二個のおむすびを食べ終わると、座り直し姿勢を正した。


「魔女様、聞いてほしい」


「わたしの名前はメイです。なんでも言ってみてください」


「おれは、メイ様に仕えたい。絶対の忠誠を誓う、だから仕えさせてくれ」


「ふふふ、わたしに仕えると大変ですよ」


「かまわない」


「あなたの名前は?」


「デラです」


「わかりました、デラさんあなたを私の眷属にします」


メイはデラの頭に手を置いた。

デラは苦しみだした。

地獄のような痛みだったが、先程までの内臓がぐちゃぐちゃの時より少し痛いぐらいで我慢ができた。

この暗い部屋の中ではデラが薄っすら白く輝いているのが見えた。


そして、デラはしばらく苦しんだが、その痛みは少しずつ引いていった。

ようやく目を開くことができるようになり、主人の顔をみた。

主人のメイは両目を見開きすごく驚いている。


「ど、どうなされました」


そこには、金髪で青い目、巨体が一回り縮んだ、筋骨隆々の男の姿があった。

顔は男らしかったが甘く優しげですずやかだった。


「うそ」


メイがうるうるしている。

この姿を少し幼くしたような姿を、メイはガド様として想像していたのだ。


「すごい、かっこいい」


ヒノがさっきまで震えていたのに見とれている。


「な、何があったのでしょう」


メイがきょとんとしている。


「えーーーっ」


デラ以外の全員が驚いていた。


ヒノはこっそりステータスをみた。

そこには魔女の眷属という表記があった。

そして数値は文字化けして見えなかった。

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