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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第四十五話 森の中の家 

放課後ヒノは直ぐにメイの所に来た。

メイにとっては、授業後に誰かと待ち合わせするのは初めての事だった。


学校は、街の中心からは外れている。

王都の方向に外れている。

この場所がこの街では一番安全な場所なのである。

メイはこの街で最も不安全な場所に住んでいる為、この学校に通う生徒の中で一番遠いところに住んでいる。


学校から黒勇者の国と国境を守る壁に向かって歩き、壁沿いを街の外れに向かって歩く。

街の中心にはこの街で一番大きな建物があり、それがギルドの建物である。

街のどこからでもこの建物は見える。


そして危険地帯に近づいていく。

近づくと、ギルドに登録している登録者達が、迷い出て来たモンスターを街の中に入らないように倒している。

朝メイが、黒勇者とトロールを倒したのがこの場所である。


メイは、危険なモンスターがいないかチラリと見たが、弱いモンスターばかりなので見るだけで手を出さなかった。

ヒノは、メイをじっと観察していた為、メイのこの視線にも気が付いた。


「先生ここから森の中に入ります」


メイは草の中へ躊躇なく入っていく。

草地を抜けると、木が生い茂る森になる。

森に入るとメイが近寄ってきた。


「先生ここからは、魔法で移動します。しっかり手を握ってください」


ヒノがメイの手を握ると、一瞬で立派な洋館の前に出た。


「すごい、こんなところに一人で住んでいるのですか」


「いいえ、一人ではありません、シロちゃんとクロちゃん、姿を見せてください」


メイが肩の上を見ると、二人が姿を現した。


「か、可愛い妖精さんですね」


「私たちは、妖精ではありません。精霊です!!」


シロが少しムッとして、荒い口調で声を張り上げた。


「そんなのどっちでもいいでしょ」


メイがそんなに怒ること無いのにという表情をした。


「メ、メイ様、それは狼を犬というようなものです!!」


「わ、わかりました」


ヒノが笑顔でメイとシロの言い合いをさえぎった。


「こんなに森の奥では、魔獣が一杯襲って来ませんか」


ヒノがメイに心配そうな顔をして質問する。


「大丈夫です、シロちゃんが全部退治してくれるのです。弱い黒勇者でも倒せるくらいすごいのです」


「そ、そうですか」


ヒノは驚いた表情でシロを見た。

シロはメイにすごいと褒められて嬉しそうである。


「メイちゃん、こんな所に家を建てるのは大変だったでしょ」


ヒノはこの場所が、人がおおよそ近づけない場所にあることがわかっていた。

街から遠くにかすんで見える山が間近にあるのだから。


「全然大変ではありません。魔法でチョチョイのパッパです。でも、部屋の様子は知っているところ意外は何も無いです」


メイが、近くの部屋のドアを開けると部屋の中は何も無い空間になっていた。

この建物は、メイがいた村の一番大きな家とそっくりなのである。

そして二階の大きなベッドのある部屋以外は、メイは入ったことがない。

そのため、何も無い部屋があるだけなのだ。


メイは、自分が生活する、二階の部屋にヒノを案内した。

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