第四十四割 家庭教師
ヒノは保健室に先回りした。
ここで、メイと二人になり、雑談をして仲良くなろうという魂胆である。
「……」
「遅ーい」
いつまで待っても来ないのである。
おかしい。
ヒノは焦っていたこのまま来ないのじゃ無いかという不安と、来ないと判断してこの場を動くと、その瞬間この場所に来るのでは無いかという不安に。
ここまで遅ければやはり探す方がいいわね。
そんな結論を出した。
まずは教室からと思ったら、教室にいた。
教室で自分の席に座りノートを必死でめくって、暗記しようとしている。
なにこの子すごく真面目なんですけど。
しゃがみ込んで顔をのぞき込んだら、超絶美少女だった。
驚いた、こんなかわいい子がいるんだー。
そんなヒミにメイが気づかないわけが無い。
「済みません、さっきから何をしているのですか」
「あ、あら。ごめんなさい、邪魔しちゃったかしら」
一つ名案が浮かびました。
この子の勉強熱心につけ込んで家庭教師なんてどうでしょうか。
私が教室に戻って復習をしていると、私の顔を下から覗いてくる人がいます。
すごい美人です。
な、何この人、胸がめちゃくちゃでかい。
お、大きくなる方法を教えてほしい。
「教えて上げましょうか」
「えーーっ、ほ、本当ですか」
しっ、しまった。
関心ありすぎてつい答えてしまった。
わたしは、話しかけられても基本的に無視しようと決めているのにー。
「すごく熱心だものね、私でよろしければ」
ね、熱心ってそんなに見ていたかしら。
でもやっぱり、教えて欲しいー。
「是非お願いします」
「そうね、勉強のコツは……」
はー、熱心って勉強のことー。
まったく関心が無くなりました。
一生懸命話してくれていますが、全く頭に入ってきません。
どうしましょう。
「……あなた、名前は?」
「メイです」
はーーっしまったー。
不意打ちでつい答えてしまった。
「私はヒノです。憶えてくださると嬉しいのですが」
「ヒノ先生……、大丈夫です、憶えました」
「どうですか、私を家庭教師として雇ってくださいませんか」
「えっ」
「私は色々知っていますよ、お値打ちです」
「お金取るのですかー」
「一時間銅貨二枚、金欠病なのお願い」
「あのー、胸が大きくなる方法は……」
うわーー、私の胸を見ています。
「お、女の子ですものね」
う、うるさいです。
どうせ、わたしのは小さいです。
「わかりました、伝授しましょう」
「本当ですか」
「はい、じゃあ今日の放課後からでいいかしら」
「はい」
やばい、どうしましょう。
自信満々に答えましたが、胸が大きくなる方法なんて知りません。
勝手に大きくなりましたからー。
まあ、そこはゆっくり考えましょう。
とにかく、メイちゃんとお近づきになれましたし結果オーライですね。




