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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第三十九話 一年後

木々に囲まれた草地に一軒の、四階建ての立派な洋館がある。

その二階の大きな窓が開いた。

窓枠の中に、一人の少女の姿があった。


下着姿の少女の容姿はまるで神々が作った傑作品だった。

肩より少し長い髪は、朝日を浴びて青く輝いている。

肌は白く、手足は細くしなやかで長く美しい。

目は少し吊り目で勝ち気そうだが、賢そうに見える。

鼻筋は通り、唇は薄いピンクでつややかである。


胸はほとんど無いが、白いフリフリのブラジャーが絶妙にぴったりフィットしている。

白いパンツもフリフリで可愛いが、小さめで大人びた感じがする。

生地は白だが、光を浴びて薄い水色に輝いている。


窓から朝日を浴びて大きくのびをする。

窓にそこまで近づくと、外から美しい上半身が丸見えである。

誰にも見られないのだろうか。




拝啓

ガド様、私は十三歳になりました。

もう、あれから何年もたったのかですって、たっていませんよ。

一年です。

あの時私は十二歳でしたからね。


メイは捨て子でした。

よくあることなので、そんな悲しそうな顔をしないで下さい。

捨てられていたのが五月二十三日だったので誕生日が五月二十三日になっています。

そして偶然にもガド様が消えた日も五月二十三日。

今日が五月二十三日です。


では、今日も元気いっぱい一日頑張ります。

              かしこ。


「メイ様、まだですか」


あ、紹介しますね。この黒い妖精はシロちゃん。

そして、白い子がクロちゃん。

森で出会いました。

二人はすごいのですよ。


生を司る妖精で、聖なる力でシロちゃんは生き物から生を奪います。

クロちゃんは生を戻します。

わたしはシロちゃんの生を奪う力が効かないそうです。

だから、お友達になってくれました。

クロちゃんの聖なる力でガド様を、生き返らせようとしましたが生き返りませんでした。


ガド様は、どこで何をしているのでしょうか。

わたしの生きる目標は、ガド様ともう一度出会うこと。

そして、ガド様を痛めつけた黒い勇者達にふくしゅうすることです。


「メイ様遅れますから、ちゃんと準備して下さい」


「はーーい、シロちゃんわかりました」


シロちゃんは活発で、クロちゃんはおしとやかで、ほとんどしゃべりません。


わたしは、学校に通っています。

準備とは学校へ行く準備です。

なるべく目立たないように紺色、ほぼ黒色の服を着て、髪で目を隠しています。


森の奥に住んでいるわたしの通学は、森の外まで移動魔法です。

わたしは、この一年ずっと魔法の研究をしてきました。

だからいろんな魔法が使えるようになったんですよ。


「シロちゃん、クロちゃん、行きますよ。肩に乗って姿を消して下さい」


わたしは移動魔法で森の外へ一瞬で移動しました。

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