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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第三十四話 赤い服

タオルは出せるのかと、試してみたらいけたようだ。

綺麗に洗ったメイの上にのせてやった。

メイは体を綺麗に拭くと、脱いだ服を拾い上げようとする。


「駄目だそんな汚い服はすてな」


「えっ、でもこれしか……」


俺はメイが全部言う前にそれをさえぎって言う。


「いっぺーあるじゃねえか。どの家でも良い、取ってきて着たら良い」


「ほんとー、怒られない」


「怒る奴がいたら俺が怒ってやる。俺は、ここで体を洗っているから、好きな服を着てきたら良い」


メイは返事も忘れて走って行った。

よほど綺麗な服が着たかったらしい。

俺は久しぶりに体を洗った。

体に付いた血が固まって中々落ちない。


何度体にお湯をかけても流れ出る水が血の色のままだ。


「透明でよかったぜ、もし見えていたら、全身真っ赤の化け物だ」


独り言を言っているとメイが、白い服を着てきた。

白い生地に、袖や首、腰、裾に濃い青色の縁取りがある服だった。


「えっ」


俺は驚いて声を出してしまった。

めちゃくちゃ顔が良い。

超美少女なのだ。


「何ですか」


メイが不思議そうに聞いて来た。

俺は、メイの美しさに驚いて声まで出してしまった、などと言うのはしゃくに障るので誤魔化した。


「白い服は、すごく似合うな」


「えへへー」


メイは嬉しそうだった。


「でも、赤い服にしてくれ」


「はーーっ、何故ですか」


「下を見てみろ」


「きゃーーー!!」


下には血の海が広がっていた。

俺の体を洗った水がたまっていて真っ赤なのだ。


「見ての通り、俺は返り血で真っ赤になっている。白い服では俺に触れると赤くなって、気持ち悪いだろ」


メイは走り出した。

俺は続けて体を洗い出した。


「きゃーーー」


メイが悲鳴を上げた。

俺は何があったのかとすっ飛んでいった。

すると、メイが鏡の前で腰を抜かしている。


「どうしたーー!!」


俺はあわてていた。


「そ、そこに見たこと無い子がいる」


「お前じゃねえか」


「えっ、こ、これがわたしなの」


メイが俺の方を向く、俺は透明だから声のする方を見たのだろう。


「ちっ、可愛いよお前は」


「ガド様本当ですかー」


すげー嬉しそうだ。


「それよりちゃんと服を着ろ」


メイの奴、ぶかぶかのブラジャーを付けている。

どう見ても八歳位にしか見えないメイには胸なんか無い。


「きゃーーー、ガド様のエッチー」


「……俺は井戸に行くからな」


俺は井戸で赤い水が出なくなるまで湯をかぶった。

石けんを出して、洗おうかとも思ったが、黒勇者は案外鼻が良さそうなのでやめておいた。


美少女メイが赤い服で登場してきたが、やっぱり白い服の方が似合うと思った。

メイが来たところで俺は、一番大きな屋敷の屋根にメイと二人で登った。

屋根の上に座ると、黒勇者のいる方向を見た。

そして愕然とした。

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