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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第二十六話 暴君と黒勇者 

「らしくないなー」


後ろから、あいの声がした。


「こんな時こそ、おっぱいじゃないのー」


突然あいがとんでもないことを言い出した。


「あい、お前のを見せてくれるのかーー!!」


うれしくって、つい本音がでてしまった。

美人の胸はいつでも見たい。


「だれが、ガドなんかに、見せるかーー!! ほら向こう」


あいは一人片隅で、もそもそ牛丼を食っている、暴君をあごで指した。

そういえば、暴君だけは、かわいらしいブラジャー姿のままだ。


「馬鹿か、男の胸なんか見るかーー!!」


「……」


場の空気が冷え切った。


「あのね、あの子の顔を良く見て、すんごく可愛い女の子でしょ」


そう言われて見てみると、すごくかわいい。

ロリ顔の少女に見えてきた。


「胸もAカップだけどちゃんとあるわ」


そう言われてじっと見ていると、箸を口に運ぶとき、盛り上がりが動いている。


「お、女なのか」


「気づかないガドがどうかしていると思うわ。あと、見過ぎ!」


「か、かわいいなーー、中学生かなー?」


はっ、と、我に返って後ろを見たら、ばあさんもあいもサエもヒノもエイさんまでも、目が凍っていた。

まあ、御陰で少し元気が出て来た。

あいなりの励ましなのかこれ。


「だけど、あいつ、心は男だ。女扱いをしてはいけない!」


「どお、元気が出た。あんまり、おばあさんを心配させないでね。あと、あの人、わたし達より年上だから」


「えーーっ。どうみても中学生にしか、みえねーーー」


「もういいわね、ジャージ着て貰うから」


「あっああ。でも、それなら決まった。あいつも、一緒に連れ回す。青い勇者も、連れて行く」


俺が、顔を上げると、そこに小っさいばあさんの顔があった。


「黒勇者が出て来た。戻るぞ。全員連れて行けば良いのじゃな」


「ああ頼む」






いつもの瓦礫の影に来た。


「兄貴!! あれが、黒勇者か、でけーー」


そう言うと、暴君は黒勇者のところへ一目散に走っていった。


「ば、馬鹿なのか。相手の強さもわからねえのに、行ってしまった。と、とんでもない奴だ」


俺は思わず口に出してしまった。


「……」


今、ここには、小さい三人と、ヒノ、エイさん、ゴウさんがいる。

一人、飛び出した馬鹿を入れると八人だ。

他の青勇者は足手まといなので、赤勇者の駐屯地へ送られている。


「てめえが黒勇者か。なるほど、青勇者にはない、倒的強者の雰囲気がある」


どこから来る自信か、暴君は黒勇者の前に仁王立ちである。

しかも、あの髭づらマスクをかぶっている。

きっと舐められたくないのだろう。


「おまえは、透明じゃないな。命を助けてやるから立ち去れ!」


「ぐぬぬ、きさまは、ゆるさん」


暴君はそのまま、拳を堅く握りしめ飛びかかった。

黒勇者は、飛びかかって来るとは思っていなかったのか、少し慌てた素振りで、暴君の攻撃を避けた。

暴君は避けられると、


「まさか避けられるとは」


驚きつぶやいた。

避けられるとは思わなかったようだ。

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