02 たまらん
「また、始まったな」
妻のリリシアが、とがめるように見つめてくる。
勇猛秀麗な女騎士リリシア、凛々しくも美しいその容貌から向けられる射るようなキツいまなざしは、俺を心からぞくぞくさせてくれる。
たまらん。
「また、ですねっ」
妻のマユリが、あきれたように見つめてくる。
歳相応の若々しさと年齢を超えた柔らかい女性らしさを併せ持つマユリ、誠実で優しい気質から時おり覗かせる苛烈な一面は、俺を心からぞくぞくさせてくれる。
たまらん。
「……」
妻のユイが、潤んだ翠のひとみで見つめてくる。
元お姫さまにして今は小さな冒険者のユイ、生まれ育ちというだけでは無いおそらく生来のものであろうその気品と高貴な愛らしさを小さな身体いっぱいにして魅せてくれる感情表現。
たまらん。
三人の妻からの精一杯の抗議の視線を、いつものドM感覚で存分に味わっている、俺。
そして目の前にいらっしゃるのは、今回の『誠実なプレイボーイ』のターゲット。
魅惑のオッドアイ美少女、
ルシェリさん。
たまらん。
なぜ、この世界は、こんなにも美女と美少女揃いなのでしょう、神さま。
しかも、みんな違って、みんなヨシッ。
異世界、とても良いところ。




