15 屋台
妻たちの情け容赦無い仕打ちに、傷心の俺。
うろうろして、どうにか屋台を発見。
挨拶もそこそこに、まずは一杯。
「どうです、アランさん」
これ相当美味いですよ、メイジさん。
「このあいだの新婚旅行で出汁の素になりそうな海産物を探して海沿いの村とかを巡って、ようやくこの味が出せるようになったんですよ」
よく奥さんが許してくれましたね。
「いやもうホント、頭があがらないです」
気持ち、良く分かります。
「いえいえ、アランさんのとこは三人目でしたっけ、僕なんかまだまだですって」
ユイは娘みたいな感じなんですけどね。
「毎日大変だけど楽しくってしょうがないこの感じ、たぶん一番分かってもらえるのはアランさんかな、なんて」
すごく、分かります。 この出汁みたいに幸せがジワって身体に染みていくんですよね。
「こういうお話しが気持ちに染みていく感じもすごくうれしいです。 ちゃんとすすってくれるのもホントうれしいです」
モノカさんも気持ちよさそうにすすっていたでしょ。
「そう、すごいよねモノカさん。 あんなに可愛いのに誰よりも男前なんですよね」
そりゃあハーレムも出来ちゃいますよね。
「何言ってるんですか。 アランさんのところ、司法官のみんながどんだけ羨ましがっていたことか」
面目無いです。
「ルシェリ、お願いしますね」
素敵な娘さんですよね。
「ちょっと大人しすぎるけど真面目な良い娘なんで、アランさんのご家族に、余裕があったら、ぜひ」
そんなこと言ってると、冗談じゃすまされなくなっちゃいますよ。
「もう少し落ち着いたら、お得意さんだけの『転送』出前サービスも始めちゃうんで、良かったぜひ」
無理しないで、奥さんと仲良く、ですよ。
「任せてくださいっ」
それじゃ、ご馳走様でしたっ。
「またどうぞっ」




