13 合同
ただいまチームアランとチームモノカは、合同で王都へと移動中。
「ぜひネルコさんに会いに行ってあげてくださいっ」
リシェルさんのきらきらまなざしでの要望、
みんなが断れるはずは、無いのです。
メリルさん、いつもお留守番すみません。
なんだったらお昼寝中のニエルを叩き起こしてください。
今回の移動は、我が家の誇る快適幌馬車スマキ2号。
御者は、俺。
孤独なんかじゃないのです。
手元の板状魔導具に内蔵されたインターホン的連絡通信装置からは、幌の中にある快適『空間』内でくつろいでいるみんなの楽しげな声。
「リシェルお姉さん、ネルコお姉さんって、どんな人なの?」
「とてもおとなしくて、とても楽しい娘さんですよ、マクラさんっ」
「そのように大人しい方でしたら、召喚されてからさぞや心細かったのでしょうね」
「こっちの世界の楽しいこと、私たちがいっぱい教えてあげましょ、シジミちゃんっ」
「アイネの言うとおり、チームモノカとチームアランの愉快な仲間たちの腕の見せどころっ、なの」
「愉快かどうかは定かではないが、孤独に震える乙女を安心させてあげることこそ騎士の務め、そうだなノルシェ」
「その通りですリリシア、みんなでランジェリーとやらを頑張りましょうっ」
「ノルシェさん、ランジェリーって……(こしょこしょ)」
マユリのひそひそ声の後、なんだか静かになっちゃいました。
「先ほどは援護出来ず、申し訳ありません」
いつの間にか、隣の席にはモノカさん。
「とんでもないです。 お心遣い、感謝です」
にこりと微笑むモノカさん。 強いだけじゃなく、暖かい人なのです。
「みんなに伝え忘れていたのですが」
なんでしょう。
「王都でメイジさん夫妻が屋台を始めたのです」
ほう。
「うどんオンリーですが、召喚者の皆さんはぜひに、と」
……またずいぶんと思い切りましたね。
「なかなかの出汁と程よいコシ。 かなりのものでしたよ、メイジさんのうどんは」
俄然興味が湧いてきました。
「酒類販売許可が降りなかったので、お酒は無し、だそうです」
それは残念、セルマさんの手酌で一杯飲みたかったです。
「私は未成年ですので、その辺は分かりかねますが」
確かこちらの世界では15歳の成人の儀を迎えれば飲酒可、だったはず。
「そこらへんは任意ということで、勘弁してください」
いえいえ、ロイさんもよく言ってますけど、身体は大事に、ですからね。
「そろそろ、ネルコさんのお店ですね」
俺は挨拶が済んだらメイジさんを探してうろうろしてきますので、うちの妻たちをよろしくお願いしますね。
「心得ました。 ご夫妻によろしく」
そして幌馬車は、ネルコさんのお店『ハルネル』に、到着。




