百鬼 贖罪
解決策はいくらでもある
その言葉が脳を撫でる
今ならまだ隠蔽工作できる
目撃者は幸い
1人もいない
罪が知れ渡れば
大金を出せば逃れることは可能だ
目はいつもよりも開き
何故だかわからないが
汗が滲み出る
生唾
ガチャ
その音にハッとする
ドアが豪快に閉まる音が聞こえ
ゆっくりと足音がこちらに近づいてくる
2秒
1秒
「ただいま」
「おかえり」
「夕飯まだ食べてないだろう?
少しだけ待っててくれ」
この小さなアパートの一室には
父と私しかいない
仲良く暮らしてる
至って普通の家族だ
一つ問題があるとすれば
私が私自身についた嘘のせいで
現実がわからなくなってしまったという点である
これは私の罪
名を付けてしまうなら
虚飾罪