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生まれた意味なら…  作者: 白月綱文
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最終章 告白

あれから三日が経ち、光喜と里緒は普通に学校に投稿していた。

里緒は皆の擁護もあってかフェンスの弁償と反省文だけで済んだ。

屋上が空いていたと言う問題に関しては何故か教師の一人が名乗り出て軽い処罰を食らっていた。

扉を開けてくれる彼がなにか手回しをしたのかも知れないが聞いてもスルーされるしその先生に聞こうとしたが何故か彼に釘をさされたので光喜は今のところは知る必要の無いことだろうと思い詮索を止めることになった。

何はともあれ、これで里緒を中心に起こった事件は幕を閉じて学校生活に無事に平穏が舞い戻ったと言うことになる。

でも、光喜に取って結論を出したいことはもう一つあった。

あの時は勢いで言ってしまったが、あの時は状況も状況なので流石にやり直したかった。

光喜は朝早くに学校に来ていて校舎の裏に里緒を呼んでいた。

里緒も意図を察して早く学校に来てくれて、二人は校舎裏で3日ぶりに再会した。

まだ半分も咲いていない桜の木の近くで光喜は息を整える。

角度が低い太陽の光が彼の背中を焦らせるように照りつける。

勢い任せだとすぐに言ってしまえたのに、しっかりとやると勇気が居るんだな。

そう思うと万年告り魔のあいつが凄く勇気のあるやつに見えるがたぶん気のせいだろう。

気を取り直して大きく、そして深く息を吸う。

言うんだ、もう一度。

「里緒、好きです。付き合って下さい。」

言葉を言い放ち頭を下げる。我ながらお馴染みのフレーズでもっと洒落た事のひとつでも言えれば良かったと思うが誠意は伝わったはずだ。

「………」

声は返って来ない。

静寂が続く。

光喜にとってその静寂は何よりも辛い。

嫌な考えが浮かび、それがやがて実体を持つようになる。

沈黙の長さは、即答出来るほどの好意では無いことの裏付けだ。

でも、すぐに断ることも出来たのにしないのは逆に悩む程度には好かれていると言うことでもある。

だとしたら自分はその合間にいてどちらに近いのだろうか?

そもそもとしてそんな考えに当てはまらずただ今までの恩だけを考えて回答に迷ってるのかもしれない。

そんな考えはどちらも得をしないし里緒の気持ちを尊重したい光喜はそんな考えで自分と付き合う気なのが分かれば自分から別れる気ではある。

そして静寂は終わりを告げた。

「───考えさせて、くれない?」

そして里緒は考えを延長することにしたらしい。

答えが今すぐ返ってこないもどかしさに胸を焦がされながらも光喜は返答をする。

「わかった。」

「「…………」」

二人の間にはしばし沈黙が流れる。

これが関係が変わると言うことた。

変わってしまった以上もう戻せない。

まだ弱い春の風が光喜の頬にやけに残った二人はまもなくして教室に戻る。


教室に戻った光喜と里緒は各々授業を受けて昼休みになった。

そこで彼らが予想してなかった事件が起こる。

光喜は弁当を食べていると、光喜に向かって友人が話しかけてくる。

「なあ、見ちった。」

「は?何を?」

意図がわからず首をかしげる光喜。

見た…見たって何をだ?

最近見られてまずいことをした覚えがない。

取りあえず今日の行動を確認しよう。

朝早く起きて学校に行き、そのあとに確か校舎裏に、あ…。

見られたのかあれを…。

そう思うと途端に顔が熱くなってくる。

だがそんなことは気にする暇はない。

なぜなら目の前のやつが光喜が困るような情報をクラス内に漏らす可能性があるからだ。

そして恐らく光喜がなんらかの反応を示したら間違いなく言ってしまうだろう。

光喜はできる限りの神経を集中して策を練る。

まずは自然にこいつの気を一瞬で良いから他のことに向かせなきゃいけない。

幸い弁当は食べ終えたから多少暴れても被害は少ない。

少し息を整えて口を開く。

「なあ、隣のクラスのさ───」

「いやー、流石に玉城に告ってるのは驚いたな!」

声を遮られ慌てて口を押さえようとしたが遅かった。

なぜこいつはこんなにも状況を考えて行動が出来ないのだろう。

恐る恐る里緒の方を見る。

彼女は顔をうつ向かせていて表情は伺えない。

だが、顔が物凄く赤くなっている。

そしてクラスの反応も見てみる。

固まっている、松原が玉城に告白!?なんで?どうして?

と、言った具合で。

やがて驚きで固まっていたクラスメイト達が動き出し。

一斉に二人を質問責めにする。

青春の時期の一つである高校。

だが半分以上の生徒は恋愛とは無縁であるし付き合ったとしても、何事もなくスッと付き合うのが大抵のパターンだ。

波乱だらけの恋愛などまずまず見ない。

そんな中、全くクラスで接点のない二人が告白をする、またはされるほどに距離を縮めていたのだ。

なにかあるに違いない。

そういった物事にあまり関われなかった故の飢えか。

それともこれから面白いことがあると嗅覚が告げているのか。

どちらにせよ光喜と里緒にクラスが男女二人にぴったり分かれて質問をする。

光喜の方にはどうやって里緒に迫ったんだ?お前里緒が好みなの?とか。

里緒の方には告白されたの?とかOKはしたの?とかの質問が多く来ていた。

だんだんと質問が光喜がフラれたのかフラれてないのかに論点が変わる。

そして埒が明かないと判断した光喜は声をあげる。

「その、告白したのは本当だ。でもまだ返事は帰ってきてない。だから!一旦お開きにしてくれないか…なんと言うか、恥ずかしいから。」

里緒にこれ以上迷惑をかける訳にはいかない。

場所を指定したのは光喜の方で周りに人が居るか確認すべきだったから。

クラスが告白が行われていた事実をハッキリと知り驚きの声がまたもや上がる。

やがて静まり出した頃、赤くなって顔を里緒はあげ。

さらにクラスを騒然とさせる。

「いいよ、朝の続き。答えてあげる…。」

クラスが今年一番騒ぐ。

光喜と里緒は一瞬目が合うがすぐに里緒が目を反らす。

「いい、のか?」

やっぱりここぞと言うときで自分には勇気がない。

それを自覚させる返答。

「うん。」

里緒は顔を赤くしたまま今度はハッキリと目を合わせてくる。

光喜ははこの勇気を里緒が光喜から貰ったことを知らない。

それからほどなくして里緒が口を開く。

「付き合お、光喜。」

クラスの熱狂が二人の耳を痛くさせる。

光喜は気付いたら涙を流していた。

「うん、あ、ありがとう。これからよろしく。里緒。」

二人は初めて名前を呼び合った。

光喜はこの言葉がクラスメイトのうるさい声で遮られてなければ良いなと、思いながら涙を拭いた。


完結だぁ!長かったという程長くないですが良い話には出来たかなぁ?って思ってます。ここまで読んで下さりありがとうございます。それでは別のお話でまたお会いしましょう!

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