罠の先に 1
英雄、いつだって憧れていた。
難関であると言われるダンジョンを踏破し、強大なモンスターを討ち倒し、称賛を受ける。
そんな英雄に憧れ、15の時に村を出て冒険者となり。
最高位であるランク7の冒険者を目指して歩んできた。
しかし現実は非常だ。
どんな事も順調なのは最初だけ、冒険者となり5か月程でランク2、2年かけランク3、また2年かけランク4そして、6年ほど経った今、ランクはまだ4である。
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暗く、しかし足元がギリギリ見えるくらいには明るい洞窟、環境の変化なのか、それとも神のイタズラか、試練か、生まれ出たダンジョン。モンスターがはびこり、日々侵入者である冒険者を撃退する。
冒険者はそんなダンジョンにある宝を目指して攻略していく。
その中をただ1人で進む冒険者がいた。
ダークブラウンの短髪に瞳。
190cmはあるガッシリとした体格,
音が響かせないよう、革製の鎧を着用し、手には松明と幅のあるブロードソード。
ランク4冒険者、ゼストである。
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「はあ、はあ。」
ゆっくりとした足取りで、罠を警戒しつつ進んで行く。
「クソッ!アイツら、許さないからな。」
ゼストを好き好んで現在1人でいる訳ではない。確かに、特定のパーティーがいる訳では無いが、野良でパーティーを組み、入るようにしている。
今回もダンジョンに入る時は5人で入った。
しかし探索中、宝箱を見つけ、開けると、見つかったのは呪いへの耐性を少しだけ上げてくれるアミュレット。
悪くは無いかと思った瞬間、アミュレットを中心に展開される魔法陣。
咄嗟に逃げようとした瞬間、アミュレットを持っていたゼストは突き飛ばされ、ゼストだけが見知らぬ場所に移動させられていた。