第5話 スキル
機械的な音声がレベルの上昇を報告してきた。
どうやら、俺のレベルは1から2に上がったらしい。ついでにスキルポイントも手に入った。
ステータスやら、スキルやら、改めて本当にゲームみたいな世界だな。
俺のゲーマー魂が燃えるぜ。
しかし、ハエ一匹食べただけでレベルアップするとは思わなかったな。
これも神様の加護の効果なのかね。
貰える経験値が増えるらしいから、そうなんだろうな。
この調子でレベルが上がっていったらあっという間に強くなれちゃうだろうな。
まあ、そんな簡単にいかないんだろうが。
取り敢えず、スキルポイントもらったんだし、スキルゲットしてみるかな。
神様から教わったことのおさらいするか。
この世界での主なスキルの取得方法は2つある。
1つは、スキルポイントを消費してスキルを手に入れる方法。
もう1つは、修行などによって手に入れる方法だ。
しかし、この方法はかなり才能に左右されるそうだ。
才能のある者が剣術のスキルを手に入れるために剣の素振りをすると、1日で剣術スキルを取得出来るそうだが、才能の無いものが素振りをしても、1ヶ月経っても剣術スキルを取得出来ないそうだ。
才能に左右されてしまうのは、地球も異世界も変わらないらしい。世知辛いこった。
しかし、剣術の修行を1ヶ月しても剣術スキルを取得出来なかった者が、1日槍の修行しただけで槍術スキルを取得することもあるそうだ。
どこの世界にも向き不向きというものがあるのだろう。
そこで普通なら、修行してダメならポイントで取得すれば良いじゃない、と思ったのだが、ポイントによるスキル取得も、才能に左右されるらしい。
うむ、世知辛い。
簡単に言うと、才能のある人が10ポイント消費するだけで取得出来るスキルを才能の無い人は100ポイント必要なのだ。
しんどい。
さて、神様から教えてもらったことは、これぐらいだったかな。
他にもスキルの取得の仕方はあるらしいけど、俺の持ってる加護とかみたいに、神様に加護をもらうような奇跡的なレベルでしか無いみたいだ。
さてさて、俺もスキルを取得してみるかな。
まだスキルポイントを3しか持ってないが、何か取得できるスキルはないだろうか。
『スキルを取得しますか?』
レベルアップの時と同じ音声が聞こえてきた。
頭の中に急に自分以外の声が聞こえてくる感覚は、慣れないな。急に話しかけられるとびっくりするからやめてほしい。
まあ、返事は当然YESだが。
目の前にステータスが表示されたような、透明なガラス板みたいなのが現れた。
ここに表示されてるのが、スキルか。
かなり多いな。パッと見ただけで100以上あるぞ。
さっき例に出した『剣術』や『槍術』などの武術系のスキル。
火、水、土、風などの魔法スキルなどの他に回復魔法とか生活魔法なんてものまである。
調理、掃除、家事、裁縫とか生活に役立ちそうなスキルもたくさんあった。
他にも沢山あるが、全部見てたら日が暮れそうだな。
おお、魔眼なんてスキルもあるのか。
まだ厨二病の抜けきらない俺としてはかなりテンションあがる。魔眼なんて使えたらカッコよすぎだろ。
ロマンだ。
これは是非、取得したい。
それぞれ、スキルの横に必要ポイント数が表示してあるのだが、魔眼系スキルは全て必要ポイントが500を超えていた。
いや、わかってたけどね。
そんな簡単に魔眼なんて手に入らないだろう。スキルポイントが貯まったら、いつか手に入れたいけど、今は諦めて他を見よう。
くそぉ
魔眼を諦めて、他のスキルも見てみたのだが、武術系スキルもほとんどが取得出来なかった。剣術や弓術とか絶望的だ。才能がないらしいな。必要スキルポイントが100以上だった。
この蛙の手だと武器を扱えないからだろうな。4本指の愛らしい手になってしまった。
今の俺って四足歩行だもんなぁ。武器持てないよなぁ。
あー、蛙にも取得できるスキルってないもんかね。
蛙に厳しいぞ。優しくしてくれ。
色んなスキルを見てみた結果、希望の持てそうなスキルが何個かあった。
『水魔法 10sp』『土魔法 20sp』『生活魔法 10sp』『身体能力強化 5sp』『毒生成 10sp』
今のところ、この6つが取得出来そうなスキルだ。
なんと、魔法スキルが3つもある。
蛙だからなのか、水魔法と土魔法が必要スキルポイントが少なかった。アマガエルって田んぼにいるイメージ強いもんな。
取り敢えず夢の魔法を使える日も近い。
1番、必要スキルポイントが少ないのは身体能力強化だな。
だが、魔法も捨て難い。どれを取得するか悩む。
まあ、悩んではみたが、今の俺じゃ1つも取得できないけどな。
スキルポイントが足りないからだ。
取り敢えずは、レベル上げを頑張るか。
またハエとか飛んでないかな。
ずっとここにいて待ってるよりも、探した方がはやいだろうな。
ハエじゃなくてもいいから、俺でも倒せそうなのいないかな。
俺は、獲物を探して異世界への第1歩を踏み出した。