第4話 ユニークスキル
俺のステータスの中で一際存在感を放っているユニークスキルの項目。
2つあるが、一つ目の『蛙の神の加護』って十中八九あの神様がくれた加護だろうな。
このスキルにどんな効果があるのかは知らないが、加護っていうんだから、悪いことはないだろう。ありがたくもらっておこう。
しかし、更に効果が不明なのは2つめだ。
『蛙の系譜』ってなんだ?
系譜ってたしか、それに連なるものとか一族のつながりとか、そういうのを指す言葉だったような。
あんまり詳しく覚えてないが、たしかそんな意味だった気がする。
蛙に連なるもの、か。余計わからなくなってきた。
これも神様がくれたスキルだよな。どんな意図があってこんなスキルをくれたのわからないが、効果がわからないと宝の持ち腐れだよなぁ。
そういえば、『鑑定』があるんだから、それでスキルの効果とかわからないかな。
やってみないとわからないが、やるだけ損はないだろ。
俺は、『蛙の系譜』を鑑定してみた。
その対象を鑑定したいと思うだけで発動するようだ。楽でいいな。
『蛙の系譜』
蛙に連なる者に恩恵があたえられる。蛙に連なる者の可能性を広げるスキル。
お、スキルも鑑定できるんだな。
鑑定できたはいいけど、これどういうことだ?
可能性を広げるってどういうことだろ。恩恵がもらえるなら悪いことじゃないと思うからいいけども。
鑑定してもあんまり詳しいことは、わからなかったな。
取り敢えず、加護の方も見てみるか。
『蛙の神の加護』
蛙の神から与えられた加護。取得経験値の増加。レベルアップ時の能力値アップに補正がかかる。
おお、これもかなり優秀なスキルだな。
貰える経験値が増えるのは大きいし、レベルアップした時に上がる能力値が増えるのもありがたい。
要するに、普通よりも早く成長できて、普通よりも強くなれるってことだろ?
蛙になったことは未だに納得出来ないが、貰ったものはありがたく活用させてもらおう。
俺は、強くなってこの世界のを生き抜くんだ。
最初は絶望感しかなかったが、このユニークスキルがあれば希望を持てるかもな。
少なくとも普通の蛙よりは強くなれるはずだ。そう簡単にも死なないだろう。多分
ひとまず、これでステータスは全部確認したな。
さて、次の問題はこれからどうするかだ。
レベルをあげるにしても、蛙に倒せる相手なんているんだろうか。
俺がこれからについて思案していると、近くから羽虫の飛ぶような音が聞こえてきた。
というか、実際に飛んでた。
だらり
おっといけない、よだれが。なんでだろう。なんか、あのハエが凄く美味しそうに見える。
人間だった時は小さく感じていたハエだが、蛙になって小さくなった体には食べ応え抜群に見えてくる。
はっ!
これは明らかに蛙の体になったのが原因だろう。
人間だった時なら、絶対にハエが美味しそうに見えるなんてことはなかった。
蛙の体が、ハエに食欲をそそられてしまっているが、人間だった俺の理性が、ハエを食べることに抵抗している。
蛙の生活なんてしてたら、心まで蛙になってしまいそうな気がする。体は蛙になってしまったが、心まで蛙になるつもりはない!
じゅるり
くそ、何故だ。
何故こんなにもハエに食欲をそそられてしまうんだ。
恐るべし、蛙ボディだ。
食欲をそそる存在を見たことによって、自覚していなかった空腹感に襲われた俺は、蛙の本能のダブルパンチに人間のプライドなんてものは、捨て去ることを決意した。
だってお腹空いたし、こんな場所なんだし、体が蛙だから選り好みなんてしてられないよな。
まあまあそれに、そんなたかが、ハエを食べたぐらいで人間じゃあなくなるなんてね。
やっぱり、そんなことはないと思うよ。
だって俺、人間だもんな。
ハエ食べたぐらいで、揺るがないだろ。
体が蛙だろうと、俺が俺を人間だと思い続ければ人間なのだ。
よし、食べよう。
あのハエを。
そう思い立ってからは、一瞬だった。
近くをユラユラと飛んでいたハエに向かって蛙自慢と脚力を使い、跳ね上がったのだ。
蛙になったことで手に入れた脚力により、一気に跳躍した俺は、ハエの目前まで迫っていた。
俺は、飛んでいたハエを大口を開けて、口の中に閉じ込めそのまま飲み込んだ。
美味い。
俺は今、ハエを食べたはずなのに、この美味さはなんだろう。本当にこれはハエなんだろうか。
1匹じゃ足りないぞ。もっとハエが食べたくてたまらない。
よし、もう1匹食べよう。
『経験値を獲得しました。レベルが1から2へ上がりました。』
『スキルポイントを3獲得しました』
俺がハエの美味さに舌鼓をならしていると、突然頭の中に声が聞こえてきた。