第2話 異世界に転生
一瞬の浮遊感のあと、俺は草木が鬱蒼と生い茂る森の中に居た。
思っていたよりも一瞬だったな。
まだ実感がわかないが、俺は異世界に転生したんだな。
今、俺はどうやら巨大な岩の上にいるらしい。そのおかげで回りを良く見る事が出来る。だが、ほとんど木に遮られて遠くまで見通すようなことは出来なかったが。
さて、これからどうしたものか。
とりあえず、人に会いたいがこんな森の中じゃ人に遭遇する確立は低そうだ。
周囲どこを見回しても、木以外に視界に入るものがない。うむ、これこそ森というものである。
神様も気が利かないな。こんな森の奥深くじゃなくて、もっと人里に近い場所にしてくれたらよかったのに。
しかし、さっきから不思議に思っていたことがあるんだが、いやに俺の目線が低い気がする。
気がするというより、確実に目線が低い。
それに加えて、森に生えている木やら草花やらが異様にでかい。巨大なほどにばかでかい。
異世界だから植物の大きさがおかしいのもこっちの世界でなら普通なのかもしれない。
それにしてもでかい。
まるで自分が小人にでもなったみたいだ。
不思議な事だらけだが、とりあえず一旦それについてはおいておこう。考えてたって仕方がない。
蛙の神様が言うにはこの世界にはステータスというものが存在するらしい。まるでゲームみたいだが、ここは地球ではないんだし、そういうものなんだと納得するしかないだろう。
自分の能力が目に見えて分かるようになるのは、とてもありがたい。ぜひ活用していこう。
それじゃあ、実際にやってみるか。
たしか、心のなかでステータスオープンって念じるだけで良いんだよな。
俺がそう心の中で念じた瞬間、目の前に透明なガラス板のようのものが出現した。
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名前:なし
種族:アマガエル
レベル:1
HP:12
MP:3
SP:0
スキル
鑑定
ユニークスキル
蛙の神の加護
蛙の系譜
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それを見て、俺がついさっきまで感じていた異世界へのワクワクやらドキドキやら全てが吹き飛んでしまった。
はて、これは何の冗談だろうか。
神様のいたずらにしては性質が悪すぎないだろうか。
初ステータスを前にして俺は固まってしまった。しかしそれは、初めて見たステータスに驚いて、とかではなくそのステータスの内容をみて、だ。
いたずらじゃないにしても、なんでこうなってるんだ?
なんだ、種族アマガエルって。
まあまあ、一先ず落ち着こう。
これで世界が大きく見えたり自分の目線が低く感じていた謎は解けたわけだしな。
俺カエルだもんな、そりゃ目線も低いか。
うむ、今回はそういうことで納得、、、。
っていやいや、納得できるわけないだろうが!
なんなんだ種族が蛙って!
たしかにな!蛙の神様だったけども!人間の神様じゃなかったけどさ!
だれも蛙になるなんて思わないだろ!
蛙になるならなるって転生する前に教えてくれたって良かっただろ!
いや!そもそも蛙になるってわかっていたら転生断ってたけどな!
しかもさ! 今気付いたけど!
俺が乗ってるの!大きな岩だと思ってたのただの石ころじゃねーかー!!
まさに追い討ちだ。泣きっ面に蜂だ。
人間だった俺が蛙になってどう生きれば良いって言うんだよー!!
「ゲコゲコーーーーー!!!!(ふざけるなーーーーー!!!!)」
ステータスなんて見なくとも薄々気付いていたが、目を逸らしていた現実を突きつけられた俺は、怒りのまま叫んでた。
だが、その叫びも虚しく蛙の歌声に変わっていた。