虱と蒼氓
二人の道化师
僕が犯罪者になったのは、小学生の時。一つ上の従兄弟に唆され、コンビニで冷えたコカコーラを一本、万引きした事から始まる。あの時走って二人で逃げたが、ガラスの向こうにいる店員は、商品が盗まれた事に一切気付いてなかったのだ。
こうも簡単に欲しいものが手に入る。その張り裂けそうな達成感と強い悦びの感情が糧となり、僕を次への犯罪へと駆り立てていくのであった。
中学に入った頃には、コンビニだけでは収まらず、書店や文房具屋、大型スーパー、アニメイトなんかにも襲撃し、ありとあらゆる物を盗んだ。
時には、防犯タグが反応したりで店員に追っかけられた事もあった。しかしそういった経験を重ねていくうちに、効率化を図ったアイデアが次々に生まれていく。
万引きGメンの特集がテレビで偶に放送されているが、見たら分かる通り、捕まってるのは皆んな逃げ足の遅い、衰えた哀れな老人達なのだ。
そう、万引きにおいて肝心なのは事件発覚からのスピード。
良く素人にありがちなのは、監視カメラに映らないよう死角を作り出し、バッグにこっそり入れていくという手法だ。
だれけど、それだと挙動不審な動作が少しでも見られた場合、速攻マークされる。なにより、手間が掛かって面倒であり、とても効率がいいとは言えない。
では、どうするのか?僕は監視カメラなどは一切気にせずに手に持ったまま抜けていた。外に出た瞬間、急いで待機しておいた自転車カゴにドサっと投げ込み、逃げて、離れたとこでリュックに詰め込む。そして次の狙い場へ。こんなルーティーン
双葉
双六
双璧