コント「勇者VS魔王」 ※ゲラゲラコンテスト用のコント脚本です
ツッコミ→魔王
ボケ→勇者
ボケ勇者「ぐわぁぁああ!」
ツッコミ魔王「ははは! 勇者よ。所詮お前はワシの偉大なる力の前には無力なのだ。絶望を抱いて闇に沈め!」
ボケ勇者「俺は世界を救う為にも負ける訳にはいかないんだ」
ツッコミ魔王「愚かな。ワシを倒す力もないくせに」
ボケ勇者「これだけは使いたくなかった。魔王よ、この魔導書を見ろ!」
ツッコミ魔王「そ、それは!?」
ボケ勇者「これは魔導書にカモフラージュしているが、この本は、お前が中学時代に書いたポエムだ!」
ツッコミ魔王「バカな!? それは全て回収したはずなのに!」
ボケ勇者「お前の配下だった龍王を倒した時、持っていたから、もらっておいた」
ツッコミ魔王「なぜ龍王がそれを?」
ボケ勇者「龍王はお前のポエムの熱烈なファンだからだ! こういう日に備えて俺は大事に持っていたのさ!」
ツッコミ魔王「貴様、それをどうする気だ?」
ボケ勇者「どうすると思う?」
ツッコミ魔王「まさか!」
ボケ勇者「ここで読んでやる」
ツッコミ魔王「やめろ、読むな!」
ボケ勇者「覚悟しろ。魔王! "序章。賢者は言った。恋をするのは愚か者のすることだ。でも僕はそうは思わない"」
ツッコミ魔王「それ以上、読むな!」
ボケ勇者「"恋に恋して恋い焦がれ愛に愛して愛ゆえに人は迷う" なんだ、これはぁ! 意味不明だ。恋だの愛だの、よく連呼できるな!」
ツッコミ魔王「うるさい! 海外では愛の告白なんて普通だろ? 黙れ!」
ボケ勇者「いいや、黙らない! お前を倒す為に、俺はこのポエムを最後まで読まなきゃならないんだ!」
ツッコミ魔王「だから読むな!」
ボケ勇者「"窓際に座り外を見つめる君は、とっても素敵なビューティフル。凄く可愛いキューティクル"」
ツッコミ魔王「やめろぉぉおお!」
ボケ勇者「片思いの女子に捧げるポエムとは魔王にも可愛い時期があったんだな? ビューティフルとキューティクルで韻を踏むところ、いかにも中学生が書きそうなポエムだな?」
ツッコミ魔王「わかってて読むなど、貴様、それでも勇者か!」
ボケ勇者「勇者とは聖人。聖人とはポエムを読むものだろう?」
ツッコミ魔王「貴様〜、屁理屈コネおって!」
ボケ勇者「そうこれは魔導書でも呪いの書物でもない。ポエムだ。行くぞ? "僕の胸の内でザワつくこの心、きっとこれは愛なんだ"」
二人「ぐわぁぁぁあああ!」
ツッコミ魔王「なぜ、貴様が苦しむ?」
ボケ勇者「こんな恥ずかしポエムを口に出して読むなんて苦痛以外に何がある!」
ツッコミ魔王「苦痛なら読むな!」
ボケ勇者「いや! お前を倒すまでは読み続ける!」
ツッコミ魔王「頼むから読まないでくれ!」
ボケ勇者「"ねぇ、君は知ってるかい? 恋は心が下にあるから下心。愛は真ん中に心があるから真心なんだよ?"」
二人「ぬわぁぁああ!」
ボケ勇者「ここまで読んで、まだ序章とは……恥ずかし過ぎて気が狂いそうだぁ! これは呪いの書物だ。読む方も読まれる方も苦痛だ。だが、俺は、世界を救う為に例え俳人になろうとも読み続ける!」
ツッコミ魔王「お願いだから読むなぁ!」
ボケ勇者「"でも僕には告白する勇気がなくて、あぁ叫びたい。今すぐ外に出て青空の下で叫びたい。僕は愛の勇者になりたかった!"」
二人「ぐわぁぁぁあああ!」
ツッコミ魔王「貴様、よくそんなポエムを口に出して読めるな?」
ボケ勇者「お前が書いたんだろ! 何が愛の勇者だ?」
ツッコミ魔王「生まれつき勇者のお前に何がわかる!」
ボケ勇者「勇者の俺でも、このポエムは理解できない!」
ツッコミ魔王「あぁ……苦しい、恥ずかしくて悶え死にそうだ」
ボケ勇者「トドメだ、魔王! "神様、お願いです。僕を片思いという呪いから救って下さい"」
ツッコミ魔王「死ぬ! 死ぬ! 死ぬぅ!!」
ボケ勇者「"僕は世界を支配する魔王。でも君を虜にする愛の支配者にはなれない"」
ツッコミ魔王「ぎょぇぇええ! ぐふっ……」
ボケ勇者「勝った……俺は魔王に勝ったんだ! でも、なんだか終わってしまえば切なくて見上げた空は気のせいか灰色に見えた。な、なんてことだ! ポエムを読みすぎたせいでポエムの呪いにかかってしまった!?」
終