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国家のイージス隊  作者: 赤とんぼ
本編
32/32

第三十話 湾岸防衛部隊 (2/2)

 「今の装備でどうこうできる相手じゃないな。にしても不思議だ、そもそもA-10の配備が早すぎる。マリアナがとられたのは昨日だそんなに速度の出る機体ではない。むしろ鈍足と呼ばれるほどに遅い機体だ。昨日の今日でこれるようなもんじゃぁない。」


 うっそうとした森の中をかき分けながら進んでいく。キルトの説明の8割ほどを左から右に受け流しながら聞いてる中で、ふとあることを思い出す。


 「そうかぁ、、、」

 「そうかぁ、、、ってよくわかってないだろ」

 「わかるわけないだろ、ただの一般兵士があれこれ細かいこと知ってると思うか?」

 「思わねぇな」

 「そういうことだよ」

 「ところで、これからどうするかとか決まってるのか?」

 「今のところは何もないな。いまごろ防衛線は壊滅状態だろうし、指揮は混乱してるし、通信はつながらないし、打つ手はない」

 「そうかぁ、なぁキルト昔話をしてもいいか?」

 「なんだ?柄にもなくかしこまって」


 周りにまっすぐな木がないかを探す。


 「東洋の島国には大和魂なるエネルギー体を竹製のやりにまとわせることによって高度一万キロを飛行する大型爆撃機を墜落させたらしい」

 「おいおい、俺がオカルトを信じる人間に見えるか?」


 きれいにまっすぐ伸びた木を切り落とし長さを整える。


 「インド洋には現代社会とのつながりを一切絶った島があってな、そこの島民は弓矢で鋼鉄製のヘリを針鼠にしたという」


 長さを整えた木の棒を持ちやすく調整し、エネルギー収束率を高めるため先端をとがらせながらキルトに話す。


 「、、、おまえ、それは冗談だろ?いくらなんでも無茶だろ」

 「無茶も承知、ここでやらなきゃどうするってんだулaaaaaaaaaa」

 「ちょ、おま、、落ち着け!!落ち着けって!」


 単純に錯綜してるだけのようだ。

 とりあえずバディに対して大変心苦しいがグーで腹を殴った後、正気に戻ることを祈りながらうずくまった奴のてっぱちめがけて左手に持った小銃の床尾をおもいっきし叩きつけた。こんなんで気を失うほどやわな奴じゃないことは知っているしな。普段こんなあほなこと言わないから様子を見てたがなるほど、、、こいつ極限状態になるとこんな風になるのか。今後こいつをからかうときの参考にさせていただこう。

 さて、問題は何にも解決していない、状況を整理しよう。まずは部隊のほうだな、沿岸部あそこはもう無理そうだ。しょっぱなから後方をやられた状態だったが、前線が何とか機能していたからまだ何とかなっていた。しかしそれはA-10の登場でほぼ瓦解状態だ。掩体やら塹壕なんかはある程度構築していたがさすがにあの威力を耐えられるほどではない。次に町のほうだが、グアム島の町はだいたい沿岸部に集中している。だからこそ島の中心部に避難してもらっている。民間人の被害はまだないものと信じたいが町の機能は最近まで人々の活気があふれていたとは思えないほどの荒廃具合だ。次に空、いまだにターボファンエンジンの甲高い音が最低でも2つほど分かれて聞こえる。自分たちのすぐ近くを耕してくれた奴とは別でもう何機かいるようだ。最後に海上、まずこっち側から考えるべきだったな。目視でもわかるほどの近さに強襲楊陸艦が見える。だいぶ近づいているようだ。まったく誰かの茶番さえなければな、、、そういえばこいつなかなか起きないな。どうしたんだ?もう朝だぞおきろ~、、、ってこいつ気絶してやがる、やりすぎたみたいだな。

 さて、問題がもう一つ発生した、、、肉盾が減った。

 いや、冗談を言っている場合じゃない。何とかして起こさねぇとこんなところで油売ってる場合じゃないんだよほら早く起きろ。


 「んがっ、、、夢か」

 「現実だ」

 「おいおい嘘つきはキルト始まりだぜ?」

 「誰が泥棒だよ」

 「ワイルドターキーの限定品」

 「・・・」

 「長官室からくすねたのお前だろ、あのあとの長官少し悲しそうな顔してたぞ、謝っとけよ」

 「いや、職場への酒類の持ち込みは軍規違反だから穏便に処理しただけだ。実際あの後監査来てただろ?」

 「それもそうだが、そこまで監査入らないだろ」

 「いや、どうやら裏で密告してるやつがいてな、監査官の連中血眼になって探してたぞ。」

 「あいつらこういう時だけ躍起になるよな?普段不祥事を握りつぶす癖に」


 バーボンパクったのキルトにバレていたのか、ちょっと共犯にするか。


 「なぁ、ひとまず何にもやることないからこれ飲まないか?」

 「ん?なんだこれ」

 「ただのウイスキーだ、ちょっと高めの味がするぜ」

 「お前、今の話しててそれに手を出すと思ってんのか?」

 「いらないのか?」

 「半分よこせ」

 「1本やるよ」

 「おいおい、そんなに大丈夫か?」

 「あぁ、もう一本あるから」

 「いくつ盗ったんだよ」


 それからキルトと酒盛りをした。

 少し高いウイスキーはいつも飲んでる安酒よりも度数が高く口の中をアルコールが麻痺させてくる。

 いつもなら一口で根をあげるキルトもだいぶ飲んでいるようだった。

 酔いが回り耳が悪くなったのかキーンという音が耳をつんざくようになったがそれでも飲む手を止めない。

 先ほどまで見えていた街も今や白く形もわからない。

 それでも友と飲む手は止めない。

 最後まで。

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