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国家のイージス隊  作者: 赤とんぼ
本編
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第二十三話 イージス航空隊 出港編⑤ 悲しみと努力

 結局久奈たちの勝負はがおわることはなく秋水と吉田が寝ることはできなかった。

 だがしかし、時の流れというものは残酷で、秋水たちはとてつもない睡魔に襲われながらの出港となってしまうこととなった。


 まぁその分自衛艦旗の掲揚を間近に見れたし、ラッパも聞けたからそれはそれで良かったけどね。


 睡魔は護衛艦が曳船に曳かれている間に少しだけ解消された。久奈たちの終わりの見えないゲームはラッパが聞こえた時に彩雲が強制的に終わらせたらしい。


 良かった〜。あのまま続けていると久奈たちの身を滅ぼしかねないからね〜。


 横須賀港を出港する "しなの" に対して在日米海兵がぎこちなく帽子を回す。一見、励ましの行動だと思ったが、みんな少し顔がくらい。なんなら泣いているものもいる。

 それもそうだろう、自分は日本にいて助かったが母国は助かっていないのだから。


 そもそもそんな顔するなら自分たちが先帰って即座に状況確認をすればいいのにと思ったが、彼らはそんなことをしない。アメリカ軍は慎重なのだ。慎重でなければならないのだ。しかしながら一秒でも早く帰りたいという気持ちは理性では抑えきれないだろう。


 そんな米海兵の気持ちをなんとか理性で抑えているそんな気持ちを胸に一番最初の泊地であるグアム島へ向かう。



「これは圧巻だね〜」


 秋水がフライトスーツを着てすぐにでも発艦できるようにした状態で甲板上で風に当たる。


「そうですね〜、いずもを除きしなのを含む第1護衛隊群にとわだ型補給艦1隻とましゅう型補給艦1隻、おおすみ型輸送艦1隻の全11隻の大艦隊ですからね。上の方では遠洋特殊作戦群って名付けたらしいですね〜。」


 同じようにフライトスーツを着た草薙が答えた。

 そういえば如月さんからちょっと前に糾弾のメールが届いてたな〜、艦隊の異動が激しすぎてどうのこうのって、、、おつかれ〜って返しといたけどもうちょいねぎらっておいたほうが良かったな〜とちょっと後悔した。


「それにしても、、、強いね〜」

「そうですね〜」


 秋水たちは何が強いと言ったのか。

 まずは海自の組織について語らなければならない。


 本来、海自には航空隊が存在する。戦闘ではなく偵察や救助を中心とした航空隊ではあるもののある程度のプライドは持っている。

 今回の陸海空合同作戦において、普段の陸自と空自に分担されている部分は今回の作戦において被ることはないのだが、それが海自に対してとなると別になる。陸自とは揚陸部隊、空自とは哨戒や偵察、それに制空権の確保の部分において被ってしまっているため海自にとっては少々いい思いはしないだろう。

 日本は海洋国家、軍というものが作られてからいままで、日本においてもっとも強い存在でいなければならないため、海自のプライドももっとも高い。


 その点をふまえて今回、何が強いと言ったのか。やはり視線だろう。いままでフロート現象という常人の持つことのない能力を持っていたために他者からの視線を有名人並に浴びていたためか敏感を通り越して鈍感になりつつあったが、それでも強く感じる程の視線を浴びたということはそれだけの "恨み" のようなものを買っているのだろう。


「・・・はぁ、結構友好関係は築いていけてると思ったんだけどな〜」


 そんなことを言って秋水は少し落胆した。いままでの努力が未だにすみずみまで届いていない事がショックだったのだ。

第二十三話を読んでいただきありがとうございます。


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