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百花繚乱  作者: 桜 月夜
1章 光は誰よりもはやく
4/8

太陽と月

大幅修正5月12日。今回は長編回です。



アリス先輩は拠点に着くなり私たちを放り出した。



「帰還後マニュアルに書いてある通りに戦利品の提出、身体の洗浄、装備メンテナンスを終えたら部屋で待機。今回の任務の反省点をまとめておくことを推奨する。16:30に今回の任務の結果などを交え指針決定会議を2Fミーティングルームで行う予定。」



それだけ淡々と言い放つと先輩は去っていった。



初回任務でやらかしてしまうなんて…


先輩怒ってるんだろうな。もしかしてこの隊早々に辞めることになるかもなー


最悪な初回任務だ…


ふと隣を見るとこの世の終わりかを見たかのような顔でトランが立ち尽くしていた。


あ~ホントこの()って最高(笑)


ちょっと前まで目的を果たすことができずにこの隊を辞めるかもしれない不安に駆られいてたはずなのにトランのどこか間の抜けた顔を見てたらもうどうでもよくなってきた。


まあなるようになるでしょ!



「トーラーンー!!!さっさとやらなきゃいけないこと終わらせて部屋に戻ろうよっ!


反省はあとで一緒にやろう。」



そう笑いかければ



「…うんっ!!!」



そこにはいつも通りとは言い難いけど眩しいくらいの笑顔のトランがそこにはいた。


私達がミスをしたとはいえアリス先輩の活躍で大量の部品(パーツ)と数個の(コア)を獲得できたので諸手続きを終わらせる頃にはもうミーティングの30分前になっていた。



「やっば!!まだ全然反省点出せてない!!!」



「どうしよう…!?挽回のチャンスなのに………!」



「あーでもさっさと帰って準備するよっ!!遅刻とかになったらまじで挽回できなくなっちゃうからね!」



「イナズマ!?待ってよぉ置いてかないでぇ…」



急に走り出すとトランが慌てて追いかけてくる。


スピードをあげてみる。涙目になった。かわいい。


いっそ全力を出してみる。あ、ちょっと泣いた。すごくかわいい。


でもなぁやっぱりっ…


突然くるっとターンして手を差し伸べて



「トランは走るの遅いなぁ。ほら、行こう?」



と満面の笑みで言う。


みるみるうちに笑顔を浮かべるのを見てトランって単純だなぁって思うけど、そこがかわいいと思う私も大概かな。


手をつなぎながら部屋に向かい急いで準備を終える。


この時点でちょうど15分前だったので落ち着く間もなく部屋を出た。


そして道すがら反省点をまとめてトランと共にミーティングルームに向かう。


ミーティングルームの中には既にアリス先輩がいた。


夕日に照らされる室内でピクリとも動かず目を瞑って動かない先輩はとても幻想的でどこか物悲しかった。


仮眠中かな?そう思って声をかけようとうすると


アリス先輩は目を瞑ったまま口を開き



「あら、もう来たのね。まだミーティングの時間ではないのだから適当に椅子に掛けて楽にしていなさい。」



楽にすることなんてできずトランと椅子に浅く腰掛け緊張で固まっていると唐突にドアが開いた。



「アリスー!!!新人さん達との初任務はどうだった!?」



バーンという効果音が出そうなほどの勢いで入ってきた人影に目を向けるとそこには…




幼女(ロリ)がいた。




どこか重苦しいこのミーティングルームの雰囲気にはおよそ似つかわしくないその幼女(よく見るととんでもない美幼女だった)に誰なんだろう????と思っていると



「今子供だと思ったでしょー!!!私は今年で15歳なんだよっ!立派な大人だよっ!!!」



15歳…???どう見ても10歳くらいだけど………



「えっとあなたはだあれ?」



トランが困惑しながら聞くと



「よくぞ聞いてくれました!私は…「この子は桜花隊副隊長白州(しらす) 向日葵(ひまわり)こと《シラ》よ。こんな感じだけど仕事はできるのよ。」



幼女…シラ先輩が話そうとするのを遮りアリス先輩が説明してくれるけれどシラ先輩は話を遮られてほっぺた膨らませている。


お餅みたい…


トランは…


キャパオーバーしてるなぁ。目を白黒させてる。


でもとりあえず先輩に名乗らせて名乗らないのもダメだな。



「私は鳴神(なるかみ) (ひかり)。コードネームは《イナズマ》です。シラ副隊長これからよろしくお願いします。」



それを聞きトランも我に帰り



「わっ私は虎野(とらの) (らん)ですっ!コードネームは《トラン》でしゅっ!シラ副隊長よろしくお願いしまひゅっ!!!」



わぁ…見事に噛んだぁ。さすがトラン。


顔を真っ赤にしてうつむいているトランに



「トランって噂になってた自己紹介で盛大に噛んだ子だよねっ!初めまして。二人ともこれからよろしくね!!!」



トラン噂になってたんだぁ。あ、トランがますます縮こまった。



「ねぇねぇっ!!結局初任務どんな感じだったの???詳しく教えて~!!!」



シラ先輩が目を輝かせて聞いてくる。だけど思い出されるのは失敗の数々…


私たちが二人してうつむいて黙り込んでいると



「えっ!?なんでお通夜みたいな空気になってるの!!!初任務って失敗させるためのものなのにぃっ!!!アリス!!!!!もしかして…」



つかの間の静寂のあとアリス先輩はきょとんと小首をかしげると



「………。説明してないけれど問題あるかしら?」



と、不思議そうに言い放った。



「大ありだよっ!!!!!ごめんね二人とも…。今回の任務は初回ゆえにわざと失敗できる任務が選ばれていて失敗したとしてもこれからの仕事には影響なしだよ!!!!!!!」



私たちは一瞬固まった後、顔を見合わせると



「よかったね!トラン!!!!」



「そうだねっ!イナズマ!!!!」



お互いの無事を喜んで抱きあった。その様子を見てアリス先輩も(まず)かったことに気づいたようで



「…。言い忘れて申し訳なかったわ。」



アリス先輩でもミスするんだなぁなんて思ってると



「もーっ!!!!!アリスはそういうところ抜けてるんだからっ!後輩ちゃんには優しくだよっ!」



シラ先輩がアリス先輩にお説教し始めた…。


アリス先輩が正座して幼女(シラ先輩)に叱られてるの面白いなぁ。しばらく続きそうだし目に焼き付けておこうかなぁ。


トランは、どうしていいかわからなくてオロオロしてるし。


初任務で失敗したときはどうなることかと思ったけど、案外楽しくなりそうだなぁ。


明日からも頑張ろう!

今回もお読みいただきありがとうございます。



外界から帰ってきた後は体の表面に超小型のアリ型ロボットがくっついている可能性があるので必ず洗い流す必要があります。


このアリ型ロボット(群体型)《這イヨル処刑者》は1話あとがきに出てきたアメリカクラスの人類生存域<エリア8>を滅ぼした名前付きです。その能力は人間を宿主にしつつ自身の複製を作る力で、気づいた時には全員寄生されているという最悪のものでした。

この名前付きにエリア管理者が気づいた時には既に手遅れであり、後に現在も残っている中規模人類生存域<エリア3>の火炎を操る特殊能力者によって討伐されました。この事実は民に不安を与えるという名目で隠蔽され今では知る人は多くはいません。

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