番外編2
「そういえば、ルシア先輩の名前がアレクトロン王国で有名になったのは魔王の幹部を倒した時ですよね? 確か羊飼いにして最高の戦いをしたと聞きましたが……」
グレイスが遊びに来て私に懐かしい話題を振った。
「あの時はさ、総力戦だったんだ。だから、私はふざけてるって批判もされたんだよ」
私はあの頃のこと思い出す。確かに羊たちは餌代もバカにならない。
だからアレックスにはかなり疎ましいと思われてただろう。
それにロザリアやティアナにも……。
「でも、考えなしに羊飼いのままで挑んだわけじゃないでしょ?」
「うーん、考えなしと言えば否定するほどの何かはないが、理由はあるにはあった。ウチの戦闘用羊はコスパが良いんだ。そりゃあ、召喚に少しだけ魔力が必要だが、とにかく破壊力は最上級魔法並だからね。当時の私たちはまだまだ未熟だった。だから、思わぬ消耗戦はよくあったんだ」
私は羊飼いで戦いに挑んだ理由を話した。
「なるほど、勉強になります。自分は魔法剣士しか経験がないですから――」
「いや、私を参考にはしないでくれ。実際、私は自分勝手に考えてチームの和を乱したことには間違いないんだ。チームワークっていうのは大事だ。実力以上の成果が得られることも少なくない。それを私は【天武会】で学んだんだ」
実際、私の方が【天武会】で教わったことが多い。
「その、【天武会】はもう終わっちゃうんですよね。まぁ、私はどっちみち出られませんが……」
「ははっ、良かったのか? ターニャにリベンジしなくても?」
私はグレイスがまだターニャにライバル心を燃やしていることを知っている。
「いやぁ、ターニャさんにはぜひ手合わせ願いたいのですが、なかなか捕まらなくてですねー」
「あいつは面倒なことは上手く逃げるからなー。勇者じゃなくなって少し喜んでいたし……」
「そっそうなんですか? あれだけ必死になって権利を得たのに」
「そういう子なのに、出来が良いから質が悪い。あいつを教えるのは大変だったなー」
私は彼女らの指導者をやったときのことを思い出した。
「そうは言っても自慢の教え子なんですよね? ターニャさんたちは……」
グレイスはニコリと微笑んだ。確かにそうだけど……。
正直、教え子がこんなに可愛いと思わなかったし……。
「バレたか、お前たち教え子は全員自慢だよ」
私は肯定した。
「えっ、ルシア先輩? そのお前たちの中には私も入っているのですか?」
グレイスは驚いた顔をした。なんで、そんなに意外そうなんだよ。
「当たり前だろ。嫌なら謝るから、言ってくれ」
「いえ、感無量です」
グレイスは涙を少し流して、喜んでいた。
「泣くやつがあるか。ひさしぶりに稽古つけようか?」
「はいっ! ぜひご指導をよろしくお願いします!」
グレイスと私は同時に立ち上がり外に出た――。
その後、張り切りすぎて赤ん坊が目を覚ましたじゃないかとラミアに説教をされてしまった。あーあ、静かに模擬戦も出来ないなんて私もまだまだ修行が足りないのかなー。




