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転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて、勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい  作者: 冬月光輝
最終章:魔王と勇者と神々を超えし者編

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第74話:みんなに無事を伝える話

「そうだった……。魔界にあることしか知らなかった」

 私は初歩的な段階で躓いていた。


「貴女ねぇ、そういうところで足元をやられるんだから気を付けなさぁい」

 フィーナは呆れ顔をしていた。待てよ、何でも知っているフィーナなら魔王の城もしっているんじゃないか?


「もちろんよぉ、知っているわぁ。なんせ、妾は魔界で生まれたんだから」

 フィーナは私の頭を読んで答えを先に言った。


「えっ? フィーナさんってジプティアの出身じゃないんですか?」


「もちろん、人生の大半はここで過ごしていたわぁ。でもね、妾の出身は貴女もよく知っている【リメルトリア共和国】なのよ。まっ、この事実を知っている人間はいないけどねぇ。故郷を助けてくれた貴女にだけは教えてあげるわぁ」

 そう言いながら、フィーナはフィリアが持っていたものと似た透明な水晶玉を私に見せた。


――パァァァ


『撤退しますわ』 


『ルシア、彼女を止めなさい!』


 フィーナの水晶玉にガーディアンが撤退していくシーンが映し出された。


「これが、妾の情報源の種明かしよぉ。昔、フィリアに貰ったのよ。若い女が独りで地上で生きていくのは大変だろうからってね」


「でも、何故フィーナさんは地上に?」


「ガーディアンと同じよ。貴女には及ばないけど、妾には魔法の才能があった。あの時も【女神】は躍起になって才能のある人間を探していたわ。だからスカウトされたのよ、【勇者】になってくれってね。世界の平和の為に妾の力をぜひ貸してほしいと、守護天使がわざわざ来て、そりゃあ丁寧にお願いするんだもん。若かった妾はイチコロだったわぁ。ジプティアに来たのは偶々よ。まぁ、来たばかりの頃はケンロウ達には随分と世話になったけどねぇ。あの頃はいい男達だったわぁ」

 フィーナは昔の話をした。そうか、若いフィーナはそのようにして【勇者】になったのか。


「じゃっじゃあ私の心が読めるのもフィリアのカラクリで……」


「それには種は無いわ」


「そうですか……」


「「…………」」



「では、フィーナさんは魔界にも行けると?」


「まぁねぇ。次元跳躍移動魔法は少しだけしんどいけど、使えるわぁ。ターニャよりも早く魔王と戦うつもりなから早く動いたほうが良いけど、もう出発する?」

 フィーナは私に確認をした。いやっ待てよ、何か大切なことを忘れてるような……。


「そうだ、ラミアが居なきゃ【消滅魔法】が使えないじゃん。ああーっ、しかもあいつらはまだ私が死んだと思って……」

 私は顔が青くなった。はっ早く無事を伝えないと……。


「はぁ、貴女ってそそかっしいのねぇ。本当に大丈夫か心配よぉ」

 フィーナは手で顔を覆った。


 私達はまずはダルバート王国に戻ることにした。



 【以下、一時的にエリス視点】


 ターニャが【天界】に行ったと聞いて、嫌な予感がしたけれど……。まさか、ルシアを殺すなんて……。

 ラミア達の涙ながらの報告をあたしは信じることが出来なかった。


「そう、何かの間違いじゃないのね?」

 あたしはもう一度尋ねた。


「間違いならどれだけ良いか……。私は、私は……、ルシア先輩の首が……ぐすっ」

 グレイスは涙を流しながら死にそうな顔をしていた。

 無理もないか、彼女はルシアを崇拝してたし……。


「ふぇぇぇん、ルシア様ぁぁぁ。ラミアは……、ぐすっ、これ……、から、ぐすん、生きていく……、ひっく、理由はある……、のでしょうかぁ」

 

「くっ、ルシア様……。私は何の為に……、近くに居たのに……、守りきれなかった……」


 ラミアとフィアナも悲痛な面持ちだった。この二人はルシアに対して愛情が深かったから無理ないか……。

 

 うーん、でもねぇ。どうしてもターニャが人を殺めるっていうのも、ルシアが簡単に殺されるっていうのも現実離れしてるのよねー。

 

「エリス様! ターニャが帰ってきましたら、私は彼女を殺すつもりです! 先にそれだけは伝えておきます」


「私もだ。ダルバート王国に来て間もない内に申し訳ないが、どうしても許せぬことがある!」


 グレイスとフィアナは殺気立っていた。


「待ちなさい! あたしはどうしてもルシアが死んだなんて信じられない。真相がわかるまで、もう少し待ちましょう」

 あたしは2人が先走ることを必死に止めた。


――ダンッ


「エリス様っ、何度も言いますが先輩は私の目の前で……」


「ああ、私も見た。ターニャとやらがルシア様の首を……」


「ふぇぇぇん、ルジア様ぁぁぁ」


 そこまで言うのか……、あたしはルシアがケロッとした顔で帰ってくると……。


――ガチャッ


「エリス様、今、お時間よろしいですか?」

 ルシアが扉を開けて入ってきた……。


「「「…………」」」


――ほらみなさい。――あら、完全に時が止まったわね……。まぁ、無理ないか……。



【ルシア視点に戻ります】


「ルシア様ぁぁぁ! ご無事でよがっだぁぁぁ」


「先輩……、酷いです……ぐすん、早く言ってくださいよ……私は……」


「ルシア様、良かった……」 


 ラミア達は大泣きして、私のところに寄ってきた。

 ごっごめん……。今回は私が悪かった。


「エリス王女、久しぶり。お元気だったかしら」

 フィーナが私の後ろからひょっこり出てきてエリスに挨拶をした。


「フィーナさん……、あなたがルシアを助けてくれたのですか?」


「妾は借りを返しただけよ。ほら、ルシアもちゃんと説明をなさい」


 フィーナに促されて、私はターニャの事情を説明した。



「くっ、ターニャさん! みんなを守るために自らを犠牲に……」


「ターニャさん、酷い人だと思って申し訳ありませんわぁ」


「なるほど、そのターニャという女は見上げた根性だな。尊敬に値する」


 ラミア達はターニャの行動に納得した。


「そう、ターニャはダルバートの為に……。優しい子なのはわかってたけど……、なんであたしに一言も相談も無しで……。今度会ったら、思いっきり説教をしてやるんだから……」

 エリスは泣き出しそうな表情をした。


「それでは、ルシア先輩は魔王の討伐に……」


「ああ、ターニャを救うにはこれしかないからな」

 私は魔王を倒しに行く旨を説明した。


「ふむ、私もジェイノスには恨みがある……。付いていくぞ、ルシア様を今度こそ守るために……」

 フィアナはやる気を見せていた。


「ありがとう、一緒に来てくれるんだな。早くしないと、ターニャが魔王に殺されてしまうんだ。君らには援護を頼みたい」

 私は2人が付いてきてくれることが嬉しかった。


「まぁ、妾が居なきゃ次元跳躍出来ないんだから、最後まで付き合ってあげるわぁ」

 フィーナも共に戦うと言ってくれた。


「ラミア……、お前にも付いてきて欲しい……。危険な旅になるが……」

 私はラミアに声をかけた。


「みずくさいですわ。ルシア様……。ラミアは例え地獄の底だろうとお供すると申し上げたはずですの」

 ラミアは私の腕に抱きつきながら返事をした。


「そうだったな。じゃあお願いするよ……」


 魔王討伐パーティーを結成した。


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