第69話:ダルバート王国へと帰国する話
リメルトリア共和国のクーデター騒ぎを鎮圧した私達はフィアナを仲間に加えた。
そして、ウィンディアンに乗ってダルバート王国に戻ってきた。
「本当にいいの? お金を受け取らなくて」
フィリアは私に最後まで報奨金を渡そうとしてきた。
「ああ、私にはフィアナだけで十分だ。それに……、復興したりするのにも金はかかるだろ? 受け取れないよ」
「かぁーっ、ルシア姐さん! あんたお人好しが過ぎるぜぇ! その甘さはどーにかしといた方がいいぞー」
メフィストは呆れた顔をした。
「そうかな? そんなに私って甘いのか?」
私は何度もそう言われたので、ちょっとだけ不安になった。
「わたくしは、そんなルシア様が大好きですわぁ」
「ええ、私も先輩の強さだけでなく、その精神に感銘を受けて付いてきました!」
「その優しさに私は心を奪われてしまった……」
ラミア達は妙に私との距離を詰めてきた。いやっ、すっごく暑苦しいから少し離れてくれ!
「あらま、英雄色を好むと言うけどよぉ……。こういうパターンも中々珍しいなよなぁ、まっ続きはベッドの……」
――バキュゥゥゥン
「――痛ぇぇぇぇ! 何すんだよ、姐さん!」
「あら、手が滑ったみたい。フィアナ、子供が出来たら報告しなさい……。姪か甥の顔を見に行くから……」
フィリアは真剣な顔をしてそう言った。
おいっ、ちょっと待てっ、私は女だ! いや、エルフ族は同性でもってそんな問題じゃないからっ!
「はい……。姉さん……。男の子ならルフィ、女の子なら……」
おいおい、話が飛躍してるからっ!
「――ホントになんでオレぁ撃たれたんだ?」
☆
こうして、私達はフィリアとメフィストに別れを告げてダルバート城に向かった。
5日も国から離れてたからな、フィアナのこともエリスに報告しないと。
エリスは相変わらず、雑務に追われていたが私達を優しく迎えてくれた。
「おっ、その様子は上手くやったのね。まっあんたなら大丈夫だって信じてたけどね」
エリスは笑顔で私を迎えてくれた。
「ははっ、結構ギリギリだったんですよ。すみません、私用で国をしばらく留守にしてしまって……」
「いいのよ、ターニャ達に経験を積ませる良い機会だったから。まっ今日からターニャが国をしばらく留守にするから戻って来てもらって助かったけどねー。それで、後ろにいる大きなフィリアさんみたいな方はお友達かしら?」
エリスはフィアナの方を見た。
「ええ、ご紹介をしようと思って連れてきました。彼女はフィアナ=ノーティス。フィリアの妹です。訳あって私のパーティーに加入させたいのですが……」
さすがに、クーデターの首謀者というのを話すのは憚れた……。でも、言わないとな。
「あのっ、彼女は……」
「んっ、いいわよ。言わなくても……。ルシアはフィアナさんのことを信頼してるのね?」
エリスは私の言葉を遮って質問した。
「えっ、そうですね。信頼はしています」
「じゃっ、ルシアのパーティーに所属出来るように今日中に処理しとくわ。はいっ、フィアナさん。この枠で囲っている部分を記入しといて」
エリスはあっさりとフィアナの加入を認めて、彼女に書類を渡した。
これには流石のフィアナもあ然としたようだ。
「ダルバートの王女様! こんな得体のしれない私を簡単に受け入れて良いんですか? もっと疑いとか……」
フィアナは堪らずエリスに質問をする。
「あはっ、フィアナさんって真面目な方なのねー。確かに一国の王女としたらノリが軽すぎるわよね。――まぁ、あたしがルシアを信頼してるからかな。だから、ルシアが信頼してるなら良いかなってね。フィアナさんが何者とかは特にあたしは質問しないわよ。誰だって言い難いこともあるでしょ? これから、あなたもダルバート王国の一員よ、よろしくね」
エリスはニコリと笑ってフィアナに手を差し出した。
「ふっ、貴女は姉さんの言っていた通りの人です。これからは、ルシア様のため、ダルバート王国の為に尽力することを誓います」
フィアナは微笑みながら、エリスの手を握った。
こうして、フィアナの私のパーティーへの加入はあっさりと認められた。
「それでは、失礼します」
私はエリスに頭を下げた。
「るっルシア!」
「エリス様? どうかしましたか?」
「いっいや、何でもないわ……。また、別の日に話しましょ、今日はゆっくりと休みなさい」
エリスは何かを言おうとして、黙った。
うーん、気になるけどまぁいいか。
☆
私達はエリスがフィアナに用意した部屋まで案内するために、宿舎に向かった。
「あー、ルシア先生だー。久しぶりー」
「先生、出張は今日までだったんですね。お元気そうで安心しました」
ルーシーとマリアに宿舎の入口で偶然、顔を合わせた。そっか、エリスは私達の外出を出張ということにしたのか。
「ルーシーさん、マリアさん、お元気そうで何よりですわ」
ラミアが二人との再会を喜んだ。
「おー、ラミアさん。ボクらは元気あり余ってるよー。でもさー、ターニャの奴が一人だけ呼ばれちゃって、今日から休みなんだー」
ルーシーがつまらなそうな声を出した。
そういや、エリスもターニャが出張って言ってたけど……。うっかり、何の用事か聞きそびれたな。
「ほう、ターニャさんのみに用事とは……。どんな用事なんです?」
グレイスはターニャのことを質問した。私も気になる……。
「私達もよく聞かされていないのです、極秘クエストの依頼主に会いに行くとかでして……。先方はターニャを指名されたらしくてですね……」
マリアは辺りを見渡しながらひそひそと話す。
「へぇ、ルーキーのターニャをご指名とは……アイツもなんだかんだ言って活躍してるんだな……。でっ依頼主は誰なんだ?」
私は面白そうな話に興味が湧いた。
「ええと、驚かないでくださいよ。なんと【天界】の【女神】様なんですよ。凄くないですか?」
マリアは誇らしげな顔をした。
むっ、【女神】か……。ふむ、ターニャに用事とは一体?
これが、天地魔界を巻き込んだ大きな戦いの前触れだということには、私も含めてこの場の誰も気が付いていなかった。
第3章 リメルトリア共和国の危機編 完
次回! 最終章 魔王と勇者と神々を超えし者編、開幕っ!




