第66話:ガーディアンと本気で戦う話
ミランダは国の破壊と引き換えに【魔集輪】をメフィストに要求した。
メフィストが指輪を渡すと、私達の皆殺しを宣言し、攻撃を開始する。
私はガーディアンに一撃を与えた。
「なっ、貴女はわたくしの話を聞いてましたの? 反撃すると、この国は……」
「それが、どうした! 私はダルバート王国の者だ! この国のことなど関係ないっ!」
もちろんハッタリだが、効果はあるだろう。
「ふふ、なるほどですわ。では、貴女だけはこのガーディアンで葬って差し上げますの」
ミランダは口車に乗ってくれた。よしっ、私がコイツを倒せば逆転は可能だ。
「ルシア先輩、助太刀致します」
グレイスは剣を抜いた。
「ありがとう、グレイス。君はラミアを守ってくれ」
私は一人で戦うことを選択した。ガガール基地で戦った感じだと、コイツには底知れない凄みがした。
グレイスでは、少し荷が重いかもしれない。
「承知しました。ラミア先輩、私の後ろに……」
「わかりましたわ。ルシア様ぁ、勝ってくださいまし!」
ラミアからの応援が耳に届く。よしっ任せろ。
「貴女が【ベルゼブブ大公】を倒したことは存じ上げてますの。しかし、このガーディアンには勝てませんわ」
ミランダは大した自信だった。ほう、あの戦いを見てそのセリフ……。
遠慮なく行かせてもらうぞ。
ルシア
【魔王スキル発動】
闇系闘気増大
――ゴォォォォォッ
私の体からドス黒い闘気が吹き出した。
さあて、お手並み拝見させてもらおうじゃないか。
ルシア→ガーディアン
【魔王スキル発動】
魔刃闇烏
ガーディアン→ルシア
【最高峰カラクリスキル発動】
蒼龍光刃
――ガキンッ
漆黒の剣と、蒼白い光の剣がぶつかり合う。
くっ、なんてパワーだっ! パワー勝負は互角か……。
「ふふ、人間の力を大きく上回っているみたいですが、想定されていたレベルですわね。その技も解析済ですわ」
ミランダは余裕な感じのようだった。なんだ、その感じ……、力は同じくらいなはずだが……。
ここから、上段斬りに移って……。
――キンッ、ズバッシャッ
「ぐっ……」
私の剣は弾かれて、肩を斬られた。なっ、何が起こった?
「闘技予測システム……。データベースに入っている人物の力や技を計算し、次の動きを予測する。ルシアと【ベルゼブブ大公】の戦いは記録されているわ。全ての動きは先読みされてるの」
フィリアの説明は半分くらいしか分からなかったが、要するに私の動きが相手に読まれてるってことか。
読まれてる? だが、あの時は……。もしかして……。
「解説ご苦労さまですわ。フィリアさんの仰っているように、貴女の動きは丸見えですの」
ミランダは勝ち誇った様子だった。
「たかが、1戦見ただけで私の全てを知ったような口を効かないでくれ……」
私はガーディアン目がけて走り出した。
「無駄ですの。そろそろ決着をつけますわ」
ガーディアンの体が蒼白く光った。
ルシア→ガーディアン
【蛇使いスキル発動】
超大蛇召喚
私は伝説の大蛇、エリザベスちゃんを召喚した。
「なっ」
――バコォォォォン
私はエリザベスの頭に乗って、尾でガーディアンを叩きつけるように指示した。
ガーディアンは巨大な蛇の尾によって吹き飛ばされる。
「くっ、なんてものを召喚しますの? でも、それもデータベースに入れましたわ」
ミランダは面食らっているみたいだった。
「エリザベスちゃん、またご飯御馳走するよ。ありがとう」
ルシア→ガーディアン
【踊り子スキル発動】
剣劇戦舞
私は不規則なステップを踏みながら、剣を持って踊り出した。
「なっ、なっ、なっ、ふざけているのですか? ガーディアン、ぶん殴って差し上げなさい!」
――スカッ、スカッ、スカッ
ルシア→ガーディアン
【忍者スキル、召喚術師スキル同時発動】
分身の術(2体)+精霊召喚=炎精霊、風精霊同時召喚
『ギャバァァァァ』
『ビュォォォォォ』
サラマンダーとシルフが炎の渦と突風を放った。
風の力で炎の威力が増して、業火の渦がガーディアンに直撃した。
「くっ、こんな炎ごときでは負けませんの……」
「へぇ、流石に頑丈だな。並の敵だったら灰も残らないのに……」
「その余裕な表情、気に入りませんわ」
ミランダがそう呟くと、ガーディアンが真っ白に輝いて炎を吹き飛ばした。
「ふふふ、小細工は得意なのですわね。ですが、そんな貧弱な攻撃で負けるガーディアンではありませんの」
ガーディアンはほとんど無傷だった。まったく、嫌になるな。
フィリアもとんでもない物を作ったもんだ。
「もう、大道芸は終わりですの? それなら、こちらのターンを始めますわ」
ミランダの声に、ガーディアンが反応しこちらに迫ってきた。
ルシア
【仙人スキル発動】
仙舞影歩✕2
私は分身状態の緩急をつけた高速移動で残像を繰り出した。
「そんな、子供だましは通じませんわ」
――バキンッ
私はガーディアンの拳をまともに受けて吹き飛ばされる。
馬鹿力の上に、分身状態だからダメージが結構くるな。
「トドメですわ」
ガーディアン→ルシア
【最高峰カラクリスキル発動】
蒼龍魔導砲
――ズガァァァァァァン
ちっ、こうなったら。フィリア、すまない……。
ルシア→ガーディアン
【勇者スキル発動】
初級無属性消滅魔法
――カッ
私の右手から銀色の弾丸が放たれた。
銀色の弾丸は蒼白い光線を消し去り、そのままガーディアンの右肩の部分を貫いた。
ちっ、咄嗟で中心を外してしまったな。
「くっ、こっこれはどういうことですの?」
ミランダの声は震えていた。
ガーディアンの右腕部分がきれいさっぱり消えたからか……。少しは牽制になったな。
これで、戦闘力はかなり失われたはず……。
「まさか、ここまでやるとは……。ふふっ、貴女のことを過小評価してましたわ。アルファ号は戦力大幅減ですわね」
アルファ号? 何を言っているんだ?
「ベータ、ガンマ、デルタ、出番ですわ」
――ガシンッ、ガシンッ、ガシンッ
ガーディアンが3体、空から降ってきた。




