第56話:リメルトリア兵として頑張って生活してみる話
【ガガール基地】の兵士として潜入に成功した私は、裏切り者の1人【フィアナ=ノーティス】兵士長に挨拶をした。
その後、ホビット族の兵士メルヴィンの案内で自分の部屋に入った。
「ふぅー、寝泊まりする所が個室なのは助かるなー」
私は部屋のベッドに横になりながら独り言を呟いた。
部屋は6畳ほどの広さで、ベッドと机が置かれていた。
そしてフィリアから聞かされていたが、これがユニットバスというものか。
トイレと風呂が一緒になっている。
すごいな、こんなに簡単にお湯が出るんだ、へぇー便利だなぁ。トイレもスイッチ一つで水が流れるとは……。それに腰をかけて用を足せるのは楽でいいな。
フィリアはこんなに凄い発明までしているのになんで裏切られたんだ?
私は再びベッドに寝転がった。
誤解のないように言いたいが、決してサボっている訳ではない。私は何か考え事をするときは横になったほうが頭が回るのだ。
中央コントロールルームは警備が二人居て、しかも中に入る者はIDカードをかざした上にパスワードを入力する必要があると聞いた。
当然、中も無人であるはずが無く監視の目が光っているだろう。
そんな状況で、新人の私が妙な行動を取れば必ず怪しまれるに違いない。
どうすればいいのか……。
「もう一度、近くに行ってみるか。なんかヒントになるようなものがあるかもしれない」
私は情報を集めるために、基地の中を探索することにした。
――ウィィィン
おおっ、エレベーターとやらに一人で乗るのは中々緊張するなぁ。
まぁ、私はこの国に来て日が浅いということになっているし、多少ぎこちないのは大目に見てもらえるだろう。
――ウィィィン
一階に着いた。さてさて、中央コントロールルームはこっちだったな。
私はコントロールルームに向かって歩いた。近づくとさっき見た顔が見張りの兵士と話していた。
げっ、あそこにいるのはフィアナ兵士長か……。まずいな、とりあえずコントロールルームはスルーするとしよう。
私はこっそりとフィアナの横を通り過ぎようとした。
「フィアナ兵士長! よくもフィリア様を! 覚悟せよ!」
赤髪の男性の天使が銅装飾銃を構えて、フィアナを狙っていた。
あー、フィリアを慕っている兵士が反抗しているのか。しかし、その距離はフィアナの剣撃の範囲内だ。
フィアナの殺気が凄い……。恐らく、彼は殺されるな……。
ルシア→赤髪の天使
【侍スキル発動】
居合い峰打ち
――ブワァッ
私の咄嗟に放った、居合いの一撃は、赤髪の天使の背中を捉えて吹き飛ばした。
「大人しくしろ! 殺されるぞ……」
私はロープで赤髪の天使をぐるぐる巻きにした。
「黙れっ、兵士長の犬が! 貴様らには恩という概念がないのか!」
赤髪の天使は必死の形相で抵抗した。
「賊を牢に入れておけ! ルシアールはここに残れ」
フィアナは近くにいた兵士に、赤髪の天使を牢屋に連れていくように命じた。
とりあえず、殺されずには済んだが悪いことをしたな。
作戦が終了するまで待っていてくれ。
「着任早々、お手柄だったなルシアール……/// そのう、褒めてつかわすぞ///」
フィアナは私から目を逸らしてモジモジしながら話していた。
「いえ、フィアナ兵士長の身の危険を払うのは当然のことですから」
私は心にも無いことを言った。
「わっ私のため……/// 守ってもらうなんて初めて……/// イカンイカン……、これは奴の術だ……」
フィアナは顔を真っ赤にして、頭をブンブン振った。
この人も変な人だなぁ。もう行っても良いのかな?
「あのう、用事が無いようでしたら失礼しますが……」
私は遠慮がちにそう言った。
「よっ用事か……。用事がなきゃ駄目だよな。そうだな……」
フィアナは少し困った顔をした。
そりゃあ、そうでしょ。
「じゃ、じゃあ私は……」
「まっ待て!」
私が歩き出そうとした瞬間、フィアナは大声で呼び止めた。
「るっルシアール=ダルメシアン。貴様を私の護衛に任命する/// だっだから、私の側に居ろ……。いいな///」
フィアナは私に顔を近づけて命令した。
「へっ、あっはい」
私は反射的に返事をした。
えっ、この人の護衛ってことは四六時中一緒に居るってこと?
「ふぇっ、四六時中共にいるなんて/// ふっ不純だ……/// しかし……、ダメだ……目が合わせられない/// とっとにかく、護衛として働いてもらうぞ! わっ私以外の女に色目を使うことは禁止だからな!」
フィアナは半ば強引に私を護衛にした。
困ったぞ、これでは余計にコントロールルームに近づけないではないか……。
私は明日から仕事開始の予定だったが、フィアナの護衛になったので今日から彼女の傍らに居なくてはならなくなった。
そういうわけで、私は兵士長室の中で立っているのだ……。
「なあ、ルシアールよ。貴様は女性経験が豊富だと書いてあったが、何人くらいと、そのう、深い仲に……、なったことがあるのだ?」
フィアナは相変わらずモジモジしながら、私に他愛のない話をしてきた。
そんなの0に決まっているが、それも変な感じになりそうだし……。
5人くらいとでも、答えておくか……、んっ鼻がムズムズするな……。
「ごっふぇゃくしょんっにんくらいです……」
しまった、くしゃみをしながら答えてしまった。
「なんだと? 500人だって? くっそれほどの経験値だから、私をこのように手玉に……///」
フィアナは盛大に勘違いをしている。
500人ってそんなわけあるかよ!
「しっしかし、貴様の先程の動き良かったぞ。よく訓練されているな。私も最近は激務でな……。反応が少し遅れていたのだ」
フィアナは慌てて話題を変えた。
ふーん、クーデター起こせばそりゃあ忙しくなるだろう。
しかし、彼女の信頼を得ることはこの先、重要になるかもしれない。少しだけサービスしてやるか。
「フィアナ兵士長、お疲れでしたら私がマッサージをして差し上げましょうか?」
私はフィアナに媚を売ることにした。
「マッサージ? いっいかがわしいことではなかろうな///」
フィアナはビクッとして、私の顔を見た。
そんな訳ないだろ、何考えてんだ……、この人は……。
「そっそうか、では頼もうかな。優しく頼むぞ///」
フィアナは頬を赤らめて、マッサージを依頼した。
ルシア→フィアナ
【マッサージ師スキル発動】
癒やしの乱舞
――モミモミ、モミモミ
「くっ/// くはぁん/// きっ気持ちいい……/// きっ貴様、なかなかやるじゃあないか……」
フィアナは顔を綻ばせて、そう言った。
変な声出さないでもらえるかな……。
その後、【吟遊詩人スキル】の癒やしの歌を歌ってみたり、【話術師スキル】の楽しい小話をしてみたりすると意外と好評で、フィアナは大層喜んでくれた。
いやぁ、芸は身を助けるってよく言ったものだ。
そして夜になり、私はフィアナの部屋まで共に行き、護衛の任務は終了と思われた。
――ウィィィン
フィアナの部屋のドアが開いた。
「それでは、私は失礼します。おやすみなさい」
私はどっと疲れていた。戻りがけにコントロールルームの様子でも見ておくか。
「まっ待て……、ルシアール。貴様と共に居た数時間……。そのっ……、とても楽しかったぞ/// ちょっと上がっていけ……」
フィアナは私を部屋に誘った。
はぁ、まだ何かあるのか。結構、頑張ったんだが……。
――ガチャ
ガチャって、鍵が閉まったのか?
――ファサッ
ファサッって……。フィアナ兵士長?
ふっ服が……、なっなんで服を脱いでいるのですか?
突然、フィアナ兵士長は私の目の前で真っ白い肌を露出してきた。
「るっルシアール///」
潜入初日、私は予想もつかない大ピンチに見舞われた……。
「どうしてこうなった?」




