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転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて、勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい  作者: 冬月光輝
第2章:新たな侵略者、【魔界貴族】編

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第37話:英雄達の活躍を目の当たりにする話

 第三部隊の最初のミッションは丘にある、地点Kまで進軍することだ。

私達、新生ダルバート王国は道中で【ビフロン伯爵】と戦闘して勝利した。 


「さて、他のパーティーの様子はどうなんだ?」

 ビフロンの口振りだと、【魔界貴族】の幹部は一人だけではなさそうだ。

 レオンやフィーナが苦戦をしているなら助太刀をしなくては……。

 あそこで戦っているのはレオンのパーティーか……。

 相手は……、【ザガン男爵】。

 青い巨人というような外見だな。そして、素早い……。


 私達は自分の持ち場で下級悪魔の相手をしつつ、いつでも助太刀に行けるように、レオン達の様子を伺った。


 今、【ザガン男爵】に立ち向かっているのは、先程レオンを引きずって行ったフレイヤだな。


「デカブツ、スピード勝負でウチと張り合うつもりか? それは、無理やで」

 フレイヤは槍を真っ直ぐに構えた。


フレイヤ→【ザガン男爵】

【槍使いスキル発動】


 流星突き


 フレイヤの槍は流星のように瞬き無数の突きでザガンを圧倒した。

 とんでもないな……、全てが急所を捉えている。


 「ごの程度の攻撃で、オレをごろぜるものがぁ!」

 ザガンは激しい槍のラッシュにも耐えているみたいだ……。


「レオン、お膳立てはこのくらいでええやろ?」

 フレイヤはレオンに声をかけた。


「十分だよ、フレイヤ。後はオレに任せるんだ……」

 レオンは剣を構えた。

 当たり前だが、若干前傾姿勢になるのが特徴的なグレイスと同じ構えだな。


レオン→ザガン

【勇者スキル発動】


光竜一閃(コウリュウノイッセン)


――ズバンッ


 ザガンは頭から股まで一気に切り落とされ、真っ二つになった。

 あれは、光系魔法を使った魔法剣だな。

 しかも剣に込められている魔法力が最上級魔法クラスだ……。

 レオンは大魔導士も極めているに違いない。


 【ザガン男爵】を一方的に倒してしまった、やはりアレクトロン王国最強のパーティーというだけはある。

 よく見たら他のパーティーメンバーが大悪魔を3体も倒しているし……。

 

「ルシア先輩、あちらでフィーナさんのパーティーが戦闘をしているみたいですよ!」

 グレイスが私の肩を叩いた。


 【魔導教授(プロフェッサー)】のパーティーの戦いか……、確かに見たい……。


 この辺りの悪魔はほとんどやっつけたし、フィーナさん側に少しだけ移動するか……。


「お供させていただきます!」

 グレイスはキレイな敬礼をした。

 はぁ、もっと肩の力抜いていいぞ。


「ルシア様ぁ、ここから出てもよろしいですの?」

 ラミアがバリアの中から私に声をかけた。

 そうだな、もう出てもいいだろう。私の近くから離れないようにしろよ。


「はいっ、ルシア様!」

 ラミアは私の腕にしがみついた。

 もう少し離れろ!


 私達はフィーナのパーティーに近づいてみた。

 予想通り、【魔界貴族】の幹部と戦闘を繰り広げていた。


 それにしても、圧巻だな。

 フィーナのパーティーは全員が60歳以上という、平均年齢がぶっちぎりで世界一のパーティーだ。

 しかも、フィーナ以外は見た目は思いっきりお爺さんなんだよな。


「ふぉっふぉっ、ジジイとワシらのことを侮ることなかれ。ワシらの姫様、フィーナちゃんには指一本触れさせんぞ!」

「おうよ、ワシ達の50年物のチームワークをみせようじゃあないか」

「なんじゃあ、よう聞こえん……」

 3人の老人がフィーナの前に並んだ。

 まさか、伝説の3人の【ケンロウ】の戦いが見ることができるなんて……。


 【賢老】ジューダス、【拳老】ファルロン、【剣老】ギルディの3人は賢者、武闘家、剣士として全員が超一流だ。


 相手は……、黒い鎧に傷だらけの真っ白い顔の悪魔……、【アミー子爵】か。

 あの剣は2メートルぐらいあるな。振り回されたらかなりの威力だぞ。


「ふっ、老人をいたぶる主義は無いが、せめて一撃で葬ってみせよう!」

 アミーはフィーナ目掛けて大剣を振り下ろした。


――ガキンッ


 ギルディの細身の剣がアミーの大剣を受け止める。

 ギルディはツルツルの頭を輝かせ、枯れ木のような腕にも関わらず、力でアミーにまったくひけをとらなかった。


「何を言っとったか、よぉわからんが、年寄りに優しく攻撃しようとか言うたんかのぉ?」

ギルディは余裕の表情だった。


「ギルディ、避けろよ!」

 ジューダスは長い白髪を後ろに結んで両手に魔力を集中した。


ジューダス→【アミー子爵】

【賢者スキル発動】


 最上級雷系魔法


 強力な雷撃がアミーに直撃した。アミーは苦悶の表情を浮かべる。


「くははっジューダス、ナイスだ。血肉涌き踊るっ!」

 ファルロンの筋肉が大きく盛り上がり、老人とは思えないくらいの体格になった。


ファルロン→【アミー子爵】

【武闘家スキル発動】


 猛虎衝撃波


 ファルロンは跳び上がり、上空から両手で鋭い突きを放った。

 拳圧が巨大な衝撃波となり、アミーを吹き飛ばし、アミーは地面にめり込んだ。


 しかし、これだけの攻撃を受けてもアミーはよろよろと起き上がろうとする。

 

「貴方たち、よく頑張ったわねぇ。妾がトドメを刺してあげる……」

 フィーナはゆっくりとアミーの目の前に立った。


「信じられん老人たちだ……、せめて【勇者】フィーナと刺し違えて死んでやる!」

 アミーは前傾姿勢で剣を構えて突撃した。


フィーナ→【アミー子爵】

【大魔導士スキル発動】


中級炎系魔法+中級雷系魔法=最上級閃熱系魔法


 フィーナは右手と左手にそれぞれ別系統の魔法を作り出し、両手を合わせて合体させた。

 フィーナの両手から灼熱のレーザービームが繰り出された。

 レーザーはとてつもないスピードでアミーを貫いて、上半身を鎧ごと灰にしてしまった……。


 これは、以前見た【バルバトス公爵】の魔法に似ているな。

 もっとも、仕組みは全然違いそうだが……。


 それにしても、国家的英雄クラスの【勇者】のパーティーの戦闘力はやはり別格だ。


「すごかったな、レオンさんも、フィーナさんも……。いい勉強になった」

 私はグレイスに話しかけた。


「ルシア先輩も全然負けてませんよ。私はまだ力不足ですが……」

 グレイスは私の隣でそう呟いた。ふん、おだてても何も出ないぞ。


「ルシア様、悪魔達が撤退を始めたみたいですわ。初戦はこちら陣営の勝利ですわね」

 ラミアが嬉しそうな顔をした。

 ふむ、更に援軍を出すと予想したが随分とあっさり引き下がったな。

 何か裏が無ければよいが……。


「ルシア、早く持ち場に戻るわよ。K地点までこのスキに早く動いて陣地を確保しなくちゃ」

 エリスが私を呼びに来た。

 そうだな、敵が背中を見せていて、動かない手はないもんな。


 私達は隊列を整えて、再びK地点を目指して動き始めた。

 そして、30分後……。

 第三部隊は無事にK地点に陣地を形成することに成功した。  


 しかし、我々に【魔界貴族】の熾烈な魔の手が迫っていることには、まだ誰も気付いていなかった……。


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