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転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて、勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい  作者: 冬月光輝
第2章:新たな侵略者、【魔界貴族】編

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第34話:各国の【勇者】達が勢揃いする話

 ルシアールがルシアの男装した姿だという事実をアレックス達に私は告白した。

 そんなことより、グレイスが怖かった。


「私のパーティー? でも、君はアレクトロン王国の人間だろ?」

 私はどんどん距離を詰めてくるグレイスにそう言った。

 名家セイファー家の人間なんだから、流石にダルバートに行きますとは言わんだろ。


「そっか、そうですよね。あのうエリス様、王女様である貴女にお願いがあります。私をダルバート王国の人間として迎え入れてくれませんか? アレクトロン王国からはすぐに出ていく手続きをしますので……。うっかり大事なことを忘れてましたぁ。流石、ルシア先輩ですね」

 こっコイツ、本気だ……。

 エリス様ぁ、何とか断って……。


「えっあなたをダルバート王国に? そりゃあ、【天武会】で手を合わせた身としては、あなたみたいな有能な魔法剣士ルーンナイトが私達の国に来てくれるなら、歓迎するけどさ。【勇者】になれなくなっても良いの? それにルシアから前に聞いたけど、あなたは良家のお嬢様でしょ」

 エリスは常識的な返事をした。

 もっと、強く断ってください!


「ああ、家なら大丈夫ですよ。【勇者】である長男の兄が継ぎますから。どうせ、【天武会】で負けた私など腫れ物扱いです。お願いします。ルシア先輩と同じパーティーに入ることが、私の夢なんです。今までの鍛錬の全てはそのためにやってきました。どうか、お願いします」

 グレイスは深く頭を下げた。

 そう言えば、セイファー家の長男はアレックスと同じく【大勇者】だったな。

 世界的には【名家の大勇者】にしてアレクトロン王国の英雄ということで、アレックスより有名人だ。

 数回しか会ったことないけど、気さくないい人だった。


「そこまであなたが言うなら、あたしは良いわよ。ルシア、あんたが決めなさい」

 ここで、私に話を振るのか……。

 うーむ、私を追いかけて、全てを捨ててダルバートまで来るつもりか……、しょうがない奴だな。


「私など、そんな大層なもんじゃないぞ。付いてきて失望したって責任取らないからな。それでも良いんだったら、好きにしなさい」

 私はグレイスの意志の強さに負けた……。


――バッ


「ほっ本当ですか? やったぁ、長年の夢が叶ったぞぉぉぉぉ! わーい」

 グレイスは跳びはねて子供の様に喜んだ。


「よろしいんですの? ルシア様」

 ラミアは私に話しかけた。

 いや、だって断れんだろ、ここまでされたら。


「あっ、ルシア先輩の助手の方ですよね。よろしくお願いします。グレイスとお呼びください」

 グレイスはラミアに声をかけた。


「はうっ、ラミアですの。ルシア様と恋人になるのはわたくしですわ」

 何言ってんだ、お前は?


「はっ、そうでしたか。ルシア先輩とそのような関係とは存じ上げませんでした。ラミア先輩と呼ばせていただきます。共にルシア先輩の素晴らしさを広めていきましょう!」

 お前も、なんで自然に受け入れてるんだよ。


「えへへ、そのような関係ですの。グレイスさんとは仲良く出来そうですわぁ」

 ラミアとグレイスは握手をした。

 なんか、これは凄く面倒な組み合わせな予感がする……。


「それじゃ、正式な手続きは帰ってからやっておくわよ。ダルバート王国はあなたを歓迎します。よろしくね、グレイス」

 エリスは手を差し出した。

 よく考えたら、エリス様としては優秀な人材は幾らでも欲しいに決まってるもんな。


「はっ、はい。よろしくお願いします。エリス様!」

 グレイスはお辞儀をしながら、両手でエリスの手を握った。

 グレイスが私のパーティー(仮)に加わった。今は剣で戦ってるし、彼女なら私と連携を取ることも容易だろう。


「おー、グレイスさんが仲間になってくれるんだー。ボクらも負けないように頑張んないと!」

「ええ、ルシア先生のパーティーに追いつけるように努力しましょう」

「……コーンスープおいしい」

 ルーシーとマリアはやる気に満ち溢れた表情になった。ターニャ、お前はずっと飯食ってたのか?


 かくして、食堂で思いっきり他国の戦士達の注目というか、恥ずかしい視線を集めた私達は、食事をそこそこに、作戦本部のある大会議室に向かった。


――ザルバムの砦、大会議室――


 大会議室は、各国の【勇者】およびベテランのパーティーがずらりと勢揃いした。

どれどれ、うわっ有名人も結構いるな……。


パルナコルタ王国、【世界一の剣士】

 ピエール=スターボルト


アレクトロン王国、【名家の大勇者】

 レオン=ド=セイファー


ブルズ共和国、【革命の聖戦士パラディン

 バムワル=フリーマン


ムラサメ王国、【伝説の忍】

 コゴロウ=フウマ


ジプティア王国、【魔導教授プロフェッサー

 フィーナ=エル=フリージア


ボルメルン帝国、【武術の神】

 ジークフリート=クイーンヒル


 この6人は世界で最も有名な【勇者】ベスト10には入るはずだ。

 全員が子供でも知っているくらいの国家的英雄である。

 アレックスもギリギリ入るかも知れないけど……。


 ていうか、グレイスの兄も来てるじゃないか。

 あっ、グレイスを見て、手を振ってる。

 グレイスは苦笑いして俯いてるな。こんな一面もあるんだ。


 作戦本部長である、レイブン兵士長が立ち上がり挨拶を始めた。


「本日は我々の国の為に各国の皆様がお集まり頂き、感謝の念に堪えません。現在、【魔界貴族】は各国に散りばめられた戦力をボルメルン帝国の北側に集中させております。恐らく、バラバラに攻撃するよりも、各個撃破の戦略が効率的だと考えたのでしょう。この状況で我が国の戦力だけでは、対抗は難しいです。どうか、力を貸してください」

 レイブンは頭を深く下げた。


 そして隣に座っていたジークフリートも立ち上がり頭を下げる。

 2メートル以上の身長に全身無駄の無い筋肉……。

 赤髪で目元に大きな傷跡がある、道着姿の男性は可能な限り頭を下げるが、それでも大きかった。


 ボルメルンのジークフリートが頭を下げるというのは、現状の深刻さを物語るには十分だった。

 なんせ、彼はボルメルン帝王よりも名前が知れ渡っており、世界中の武術家から神と崇拝されている人物なのだから。

 厳格にして、誇り高いボルメルン帝国のアイデンティティとも呼ばれる男の一礼に、この場の雰囲気は一気に引き締まった。


「頭を上げられよ、ジークフリート殿。貴殿の気持ちはこの場の皆に十分伝わった。私も微力を尽くすゆえ……」

 パルナコルタ王国のピエールが声をかけた。

青い鎧に身を包んだ、長い銀髪の男性。

眼光は鋭く、聖剣と呼ばれる【グランディムロン】の所持者としても有名だ。


「そうねぇ、貴方は妾の尊敬する数少ない男よ……。貴方のそのような姿は見たくないわ……。ふふっ……」

 ジプティア王国のフィーナも同調した。

見た目は16から18歳くらいにしか、見えない女性である彼女は確か60歳を超えていて現役の【勇者】の中で最年長だ。

 60歳を過ぎて、金髪のツインテールで胸元がぱっくり空いた銀色のドレスを着れるのは世界中でも彼女くらいだろう。その胸、少しは私に分けてくれ……。


「お騒がせして、すまない。レイブンがこれからの流れを説明する。頼んだぞ」

 ジークフリートは顔を上げ、低い声で短く話して、席に座った。


「我が国の諜報部隊の情報によれば、【魔界貴族】の中で特に強力な戦力を持っているのは【爵位】をもっている幹部の悪魔です。確認されている幹部の人相を描いた書類を後で配りますので見ておいて下さい。そして、司令官は【ベルゼブブ大公】と名乗っている【魔界貴族】の最高権力者です。残念ながらこの者の情報は名前しかわかっておりません。しかし、【ベルゼブブ大公】こそが【魔界貴族】のアキレス腱なのは間違いないです」

 レイブンは基本的な【魔界貴族】の情報を話した。


「ですから、【勇者】でない者及び、【加護の力】が2つ以下の中堅以下の【勇者】は【爵位】を持つ【魔界貴族】には複数のパーティーで必ず戦闘してください。先日、こちらのジークフリートは【魔界貴族】の【マルコシアス侯爵】と一騎討ちを行い、命を失いかけました。ギリギリ勝利しましたが、運が悪ければ負けていてもおかしくなかった。そのぐらいのレベルなのです」

 ふーむ、やっぱり幹部はかなりの強敵だな。

特に【バルバトス公爵】や【べリアル公爵】は別格に強かった。


「それでは、連合軍を3つの部隊に分けたいと思います。部隊長の指示でそこからは動いていただきたいです。恐れながら、こちらのジークフリート、そしてピエール殿、レオン殿をそれぞれ第一部隊長、第二部隊長、第三部隊長とします。バムワル殿、コゴロウ殿、フィーネ殿には副隊長をお願い致します。どの部隊に属するのかは、こちらの紙に書いておりますのでご確認の上、部隊長の元に集合してください」

 レイブンは部下に紙を配らせた。

私達は配られた紙を見た。


 おお、私とグレイスなんてさっきパーティーを組んだばかりなのに、もう事務的に登録されて振り分けられている。

 ふむふむ、我々はレオンの第三部隊か。ターニャ達も同じだな。

 アレックス達は別のところみたいで良かったー。


 ん、後ろに只者じゃない気配がするぞ……。


「やあ、グレイス。一緒に戦えてお兄ちゃんは嬉しいぞぉぉぉ!」

 私が気付いたとき、レオンがグレイスを後ろから抱き締めていた。



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