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転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて、勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい  作者: 冬月光輝
第1章:激闘の【天武会】編

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第19話:【天武会】の決勝戦の結末を見守った話

【天武会】決勝戦は【魔法剣】同士の衝突から始まった。

作戦通りグレイスに対してエリス、ルーシーの2人で戦える状況を作り出すことが出来たが、早くも2人の合体技の弱点が露呈した。


――【天武会】、観客席――


「ターニャ、何をしたんだ? アレクトロン王国チームが3人共倒れて……」

私は驚いてターニャを見た。


「なんだい、ルシアールちゃん。見てなかったの? 凄かったよ、ターニャちゃん。得意の体術に更に磨きがかかっているのか、動くたびに残像がどんどん増えてさぁ、結局3人がかりでも魔法も槍術も闘気弾も全く当たらなくなったんだ。そのままどんどん翻弄しちゃって、最後に鋭い突きを後頭部と顎に同時に入れる荒業を連続して決めていたよ」

ジェノスはきちんと見ていたようだ。


「ほらほら。ルシアール様、まだわからないってラミアの言った通りですわ。ターニャさん凄すぎますぅ」

ラミアははしゃぎながら言った。


「ああ、ジェノスさんの話から想像すると、ターニャは【仙人】の高等スキル【仙舞影歩センブエイホ】という特殊な動きを使えるようになったようだ。私が昨日、余興として見せただけなのに……」

そう、【仙舞影歩】は仙人の技でも高難易度すぎて熟練者でも使えない者もいる。

私は、ターニャに上の世界を見せる目的で【実演】しただけで、覚えるなんて想像もしてなかった。


「世の中いろんな技があるねぇ。これで4対1だ。戦力差は埋まったかな。ターニャちゃん、早速グレイスちゃんに向かっていったねぇ」


ターニャ→グレイス

【仙人スキル発動】

仙舞影歩


ターニャは超スピードで動きに緩急をつけることで残像を残し、姿がどんどん増えているように錯覚させる。


これにはグレイスも攻撃を当てることが難しかったらしく、【魔法剣】も空振りに終わってしまった。

しかし、ターニャの体技もことごとく避けられ、戦況は膠着した。


「行けますわ、勝てるかもしれませんよ。ルーシーさん、エリス様、今ですわ!」

ラミアが立ち上がり応援した。


ルーシー→グレイス

【魔法使いスキル発動】

初級雷系魔法


ルーシーがグレイスに初級魔法を連発して更に動きを制限する。


エリス→グレイス

【剣士スキル発動】

戦鬼斬


更にグレイスの動きのスキをついて、エリスが間合いを詰めて攻撃した。


――ガキン、バシッ、ガキン


グレイスは右手で剣を持ち、エリスの剣技を防ぐ。


グレイス→ルーシー

【魔法使いスキル発動】

中級雷系魔法


グレイスはエリスの剣の相手をしながら、ターニャの体術を躱しつつ、ルーシーとの間合いを詰める。

そして、左手からルーシーに向かって強力な雷撃を放った。


――ズガァァァン


雷撃はルーシーに直撃した。

至近距離から無防備の腹に当たったからなのか、ルーシーは思わず膝を付いてしまった。

戦闘不能ではないが、しばらく動けなさそうだ。


「ルーシー……。これでは【魔法剣】が……」

私は嫌な予感がした。


グレイス→エリス

【魔法剣士スキル発動】

氷狼一閃ヒョウロウノイッセン


グレイスはエリスに【魔法剣】で攻撃した。


ターニャ→エリス

【仙人スキル発動】

流水乱舞


グレイスの攻撃が当たる瞬間、ターニャは猛スピードでエリスに連打を与え、吹き飛ばした。

結果、エリスはダメージを負ったが、【魔法剣】の直撃は避けられた。


「これで、一時的に実質2対1……。いや、マリアは回復に努めるだろうから、ターニャとグレイスの1対1か」

私はグレイスの勝利への執念に戦慄した。

彼女は将来的には必ず世界最強の一人として数えられる器だろう。


しかし、ターニャもまた才気溢れる天才のひとり。

この【天武会】での戦闘力ナンバー1と才能ナンバー1の戦いになっているのだ。


ターニャ→グレイス

【仙人スキル発動】

流水乱舞


ターニャの連打がグレイスを襲う。


――バシュッ、スカッ、ベシッ


スピードでは勝っているはずのターニャの連打は紙一重で躱され、掠ることが精一杯みたいだった。


グレイス→ターニャ

【剣士スキル発動】

鷹羽連技タカハノレンギ


グレイスの鋭い剣さばきがターニャの動きを徐々に捉えようとする。

ターニャは残像を増やし回避に徹するようになってきた。


「グレイスちゃん、ここまでとは……。スピード不足を読みの鋭さで補いだしているねぇ」

ジェノスは静かに語った。


「ええ、ターニャはこのままでは……」

私はターニャが捉えられる未来を想像した。


グレイス→ターニャ

【魔法剣士スキル発動】

雷獣一閃ライジュウノイッセン


グレイスがターニャに【魔法剣】を放った。

ターニャは咄嗟に後ろにジャンプしたが、グレイスは更に間合いを詰めてターニャを切り裂いた。


――ザシュッ、ズバァァァァン


ターニャは【魔法剣】をまともに受けてしまった。


――バタン


そして、ターニャはゆっくりと地面に伏した。


「……ターニャさんがやられてしまいましたわ。これでは……」

ラミアの顔が青ざめた。


「ターニャ……。これほどとは……、本当に恐ろしい……」

私は目を丸くした。


「恐ろしいほどの才能だねぇ……」

ジェノスは髭をさわった。


マリア→グレイス

【武闘家スキル発動】

大声砲弾


グレイスの体が痙攣し、動きが止まってしまった。


「どういうことですの? ここまでほとんどの攻撃を避けてきたグレイスさんが……。直撃を受けるなんて……」

ラミアは不思議そうな顔をした。


「最後のバックステップまで、ターニャの動きは誘導だったんだ。マリアと事前に打ち合わせたのかは、分からないが、グレイスはあの場所で攻撃をさせられた……」

フェイントや誘導が巧いとは最初から思ったが、まさか自分が大ダメージを受けてまでそれに徹するなんて……。


「君はあんなことまで指導してるのかい? それはちょっと引くなぁ……」

ジェノスはそう呟いた。

いや、そんなことまで教えるわけないじゃん。

確かに、時にはリスクを背負って攻めろとアドバイスしたことはあるけど……。


ルーシー→エリス

【魔法使いスキル発動】

最上級炎系魔法


エリス→グレイス

【剣士スキル発動】

最上級炎系魔法+十字斬り=鳳凰十字斬


動きが止まったグレイスに、回復を終えたエリスとルーシーは最上級魔法を使った【魔法剣】を発動させる。


「ルシアール様ぁ、エリス様の剣にあれほど大きな炎がー。いけますわぁ」

ラミアが歓声を上げた。


「いや、まだわからんよ。グレイスちゃん動けそうだよ」

ジェノスはグレイスを見ながら言った。


「うん。だけど……」

私はじっと展開を見守った。


グレイス→エリス

【魔法剣士スキル発動】

神焔一閃(カミホムラノイッセン)


グレイスはかろうじて腕だけを動かして【魔法剣】でエリスの【魔法剣】を受け止めようとした。


――ズガァァァァァン


大爆発が闘技場で発生した。

爆煙がグレイスとエリスを包み込んだ。


「どうなりましたの」

ラミアは身を乗り出して闘技場を覗き込む。


一瞬が永遠と感じられるくらい長かった……。


――バリンッ


破裂音と共に煙が晴れてきた。


『ワァァァァァァァァ!!』

今までにないほどに大きな歓声が鳴り響く。


「アレクトロン王国サークレット破壊を確認。よって、優勝は……、ダルバート王国チーム!!」


『ワァァァァァァァァ!!!』

更に大きな歓声が上がった。

そう、ダルバート王国チームが優勝をしたのだ。


「やりましたわぁ。優勝ですよ。優勝!!」

ラミアは私に抱きついてきた。

あぁ、彼女達は私の予想以上だ。

本当に凄い……。


「おめでとう。ダルバート王国チーム。おめでとう、ルシアールちゃん」

ジェノスが私に祝いの言葉をかけた。

ありがとう、応援してくれて。

本当にうれしい……。


私はしばらく涙が止まらなかった。

そして、呆然と闘技場を眺めていた。


「ねぇ、ルシアール様ぁ。このままでもいいんですの? いつもなら、わたくしに離れろとか仰いますのに……」

ラミアは私にくっつきながらそう尋ねた。


「ん? ああ、好きにすればいいさ。みんなが控室に戻るまで、かなり時間があるし……。でも今日だけだぞ……。あとさ、ありがとな、ラミア。あの日、君が一緒に来てくれてよかったよ……」

私は素直に思ったことを口に出した。


「ルシアール様?」

ラミアは意外そうな顔をした。


「ラミア、私は面倒くさい人間だぞ。それに人に好かれるようなタイプどころか嫌われるタイプだし。素直どころかひねくれてる……。だけど、これからも側に居てくれないか? もう嫌なんだ、居場所が無くなるのは……」

私はラミアの目を見て懇願した。

ラミアが私を売り込んでくれなかったら、私は今こんな気持ちにはなっていなかっだろう。

感謝しているし、とても居心地がいい。

こんなに幸福だと、失うことが異常に怖くなる。


「ふふ、今日のルシアール様、やっぱり変ですわ。そのような心配を為さらずとも、ラミアはずっと側におります。ご安心くださいまし……」

ラミアは私に優しく声をかけた。


「そうか……。これから忙しくなるぞ。新米勇者の指導もしなくちゃならない。あと、次の【天武会】の連覇を目指したいな……。やりたいことがいっぱいあるんだ……。付いてきてもらうからな」

私は目をつぶって幸せな気持ちを噛み締めた。


「承知しましたわ。エリス様達のお役に立てるように一緒に頑張りましょう」

ラミアは元気に返事をした。


「ああ、あと帰ったら……。甘いものが食べたいなぁ」

私はボソッと呟いた。


「それなら、わたくしがアップルパイを焼きましょうか?」

ラミアは嬉しいことを言う。

それにしても、お菓子なんて作れたのか、早く言ってくれよ。


「じゃあ、よろしく頼むよ。ダルバートに着いたらな……。約束だぞ」

私は楽しみが一つ増えて気分が良かった。


「ルシア様……」

ラミアは腕の力を強めた。

ルシアールだ、アホ堕天使が……。

まあいいか……。


私とラミアはしばらくして、控室に向かった。

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