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転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて、勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい  作者: 冬月光輝
第1章:激闘の【天武会】編

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第12話:試合前に対戦相手に皮肉を言われた上に国際問題に発展しかけた話

格上の敵と戦うことを想定し、【状態異常スキル】の特訓を続け技を磨いたエリス達。

【天武会】準決勝の開催の日がおとずれた。


――ボルメルン帝国、【天武会】会場付近――


「おー、ダルバート王国チームがやってきたぞー」

「どうですか? 今回は地元のボルメルン帝国が相手ですが……」

「王女様自らが参戦ということで……」

各国の報道者が詰め寄ってきた。


「そうですね、相手は前回の覇者ですので、胸を借りるつもりで……」

エリスは丁寧に質問に答え出した。


「ルシアール様ぁ、今までと雰囲気が違う気がしますの」

ラミアは私を不安そうな目で見る。


「えっ? ああ、そりゃあそうさ。【天武会】はたとえ優勝出来なくても、有能な【勇者候補】なら各国のパーティーがスカウトにくるし。一番大きいのはあれだよ」

私は広場に置かれてある超巨大な水晶玉を指さした。


「知ってるかもしれないが、あれは【映像投影魔法】の【巨大受信機】だ。準決勝からは女神様の計らいで、全世界の水晶に戦いの様子が投影される。だから、ここで活躍して目立てば世界中で一躍ヒーローになれるんだよ」

ルシアは説明をした。


「あぁ、あれですかー。噂では聞いてましたが、初めて見ましたわ。世界中で試合を見られているなんて信じられませんわ」

ラミアは水晶を見ながら感心していた。


実際、ほとんど【天武会】か【神々から送られる緊急時の配信】以外には何にも映らない水晶の存在価値に私は疑問を持っていた。


もっと、【女神様の今日のランチ】とか【今一番天使達に人気のある隠れ家的なお店紹介】とか映せばいいのに。


でも、実際に私の教え子が全世界の人が見守る中戦うっていうのは感慨深いな。

きっと緊張しているだろうから、私が徹夜で考えたジョークで和ましてあげよう。


「うわっ、あそこで焼きそば売ってるじゃん。後で食べよーっと」

「もー、世界中に私の顔が映るのでしたら、もっとお化粧しませんと……」

「……クッキー食べたい」

ルーシーとターニャは食い気、マリアは色気が緊張感より勝っているようだ。

うん、ジョークはまた今度ということで……。


「やあ、こんにちは。ダルバート王国のみなさん。ようこそ、我がボルメルン帝国へ。私はボルメルン帝国の【勇者候補】のリーダー、ロレンスだ」

金髪のアレックスみたいな顔をした男性が声をかけてきた。

後ろに3人の男女を引き連れている。


「あなた達は、ボルメルン帝国の【勇者候補】達ね。先日の戦いは見事だったわ。それで、試合前にどうしたの?」

エリスは報道者への質問応答を終えて、こちらにやって来た。


「我々もこの前の試合を拝見させてもらったよ。率直に言って、あなた達の実力はベスト4には相応しくなかった。ムラサメ王国のほうが強いくらいだ」

ロレンスは真顔でそう言った。


「なにおー。ボクらを馬鹿にしに来たのか」

ルーシーは怒って詰め寄った。


「ロレンスさん、失礼っすよ。いくら本当の話でも」

葉っぱを咥えた緑色の髪をした筋骨隆々のタンクトップを来た男性がロレンスの肩を叩いた。

いや、お前も十分失礼だ。


「そうだな、カイン。私としたことが軽率な発言をした。まぁ、何が言いたいのかというと、私は前回優勝した先輩のように激戦を勝ち抜いて優勝したいのだ。君らがあっさり負けてしまったら、我々はラッキーで優勝したと思われかねない。だから、せめて瞬殺されないでくれたまえ」

ロレンスは余裕たっぷりな表情でそう言った。


「あらあら、ボルメルン帝国では、喧嘩の売り方まで教えているの? 随分と教育熱心で素晴らしいわね。心配してくれてありがとう。もちろんベストを尽くすわよ」

エリスはニコリと笑って頭を下げた。


この人、どんな奴でもきちんと応対するんだな。

丁寧に嫌味まで返して。

私だったら無視する、絶対に。


「ふーん。私は喧嘩を売ったつもりはないけど、まあいい。控室に行くぞ、カイン、アマンダ、フローラ」

ロレンスは仲間達に声をかけた。


「了解っす」

カインはロレンスの後に付いた。


「アマンダ、フローラ、何をしているんだ。ん? その人に何か用事か?」

ロレンスはようやく私の方にいる2人の女性に気がついた。


「ルシアール先生というお名前なんですね。はぁ、恋というのは病気ということがわかります。あなたの国と敵同士ということがこれほど不運で苦しいなんて……。申し遅れました私はアマンダ=スチュワートです。握手してもいいですか」

黒髪のショートカットで真っ赤なローブを着た女性はアマンダと名乗った。

私は言われるままにアマンダと握手した。


「ふぅ……。私、もうこの右手を洗いません!」

いや洗ってくれ、何を宣言してるんだ。

あなた、【賢者】だろ、【愚者】な行いはやめろ。


「わっわっ、私とも握手してもいいですかぁ? ふっフローラ=ユントスです。ルシアールさん、とっとても美しいです……」

ガチガチに緊張に緊張しているもう1人の【賢者】はフローラと名乗る青いローブを着た、金髪の女性だった。

私は減るもんじゃないので素直に握手した。


「…………」ダラー

フローラは顔を茹でだこのように真っ赤にして、鼻血を出した。


「おいっ、フローラ。どうしたんだ、何をされた? 貴様、試合前の選手に狼藉とはいい度胸だな、これは国際問題だぞ!」

ロレンスが私に詰め寄ってきた。


えぇ……、私は手を握っただけだが。

フローラさん、早くこの男に説明をしてくれ。

フローラさん?

きっ気を失ってる……。

えっ、本当に国際問題が勃発?


その後、アマンダの説明と意識を取り戻したフローラが必死で弁解してくれたおかげで、事態は収束した。

何故か私はずっとロレンスに睨まれ続けたが……。


――【天武会】、ダルバート王国チーム、控室――


私達は控室で、最後の作戦の打ち合わせを終えた。

もちろん、思った通りの展開にならないことの方が多いが、戦いのシミュレーションを繰り返すことは大事なのだ。


「ルシアール先生、あいつらボク達をバカにして、めっちゃムカついたよ」

ルーシーはまだ怒っていた。


「対戦前にあまりにも失礼でしたね。私達に良い引き立て役をしてほしいみたいなことを言うなんて。私も少し腹が立ちました」

マリアも俯きながらそう言った。


「そうかい? 私はラッキーって思ったけど……」

私はルーシーとマリアが怒っているのが意外だった。


「ルシアール様、どういうことですの? 皆さんが侮辱されたのですよ?」

ラミアが不思議そうな顔をした。

やっぱり言葉通りしか受け取っていないのか。


「だって、あれは油断してるって自己紹介しに来てくれたようなものだよ。負けるなんて微塵も考えてない、怖さをこちらに考えてないのだから。だから、君たちがやることは一つだ」

私はひと呼吸おいて、こう言った。


「あいつらの顔色を変えてやれ!」


「「「おー!」」」

【勇者候補】たちは右手を上に掲げた。


そうだ、君らは強いんだ。

きっと勝てるさ、私は信じている。


「うふふ、素敵な士気向上の演説ね。あたしもさっきカチンと来ちゃって、はしたない言動をしちゃった。冷静になれば、もっと油断してもらえるように話しておけば良かったわ」

エリスは私に笑いかけた。


「ははっ、エリス様は見事に返事をされていたと思いますよ。多少なりとも相手をムッとさせることぐらいは出来ました。あと、勝機は幾つも転がっているものですから、それを見逃さないでください。それでは、観客席で私とラミアは応援してますね」

私は最後にそう言って締めくくった。


――【天武会】、準決勝、第一試合――


ダルバート王国チーム


マリア(勇者役)

エリス

ターニャ

ルーシー


ボルメルン帝国チーム


ロレンス(勇者)

カイン

アマンダ

フローラ


巨大水晶にエリス達の様子が映し出された。

最近の魔法の技術は進んでいて、【勇者候補】達の闘技場での姿がきっちり映し出されている。


今回はマリアを勇者役にした。

サークレットを狙われる状況でも、切り札を活かしてチャンスを作れる可能性があるからだ。


「エリス様達は落ち着かれていましたわね。でも、今回の相手はとても強そうですわ」

ラミアは心配そうにエリス達を見つめる。


「エリスとターニャには序盤から攻めるようには指示を出した。まずは先手が打てるかどうかだね」

私はラミアとともに観客席に移動した。


「それでは、【勇者候補】達は中央へ集まってください」

審判天使が皆を集める。


「【天武会】準決勝、第一試合を始める! 正々堂々と戦うように! 一同、礼っ!」

審判天使が試合開始を宣言した。


波乱の準決勝の幕が上がった。

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