託された手紙 自分の殺人
中学時代に私をいじめていた人たちへの復讐はどうしようか、と思っていました。流石に全員の進学先は知らなかったのです。また、復讐を遂げたら私は死のうと決めておりました。だって、もう生きていたいと思えませんし、生きていけるとも思えませんでしたから。それに、罪に問われて逮捕されるなんて嫌でしたからね。そこで私は、ネットでその手段を調べたのです。自分も憎む相手も殺せる方法を。
分かりますか? 怨む相手を殺し、自分自身さえも殺す、たった1つの手段が。
呪いです。
私は図書館のインターネットで、強力な呪いを探しました。ずっと憎み続けてきた相手を殺し、その分自分に帰るリスクも高い呪いを。ええ、それは見つかりました。松葉の火呪という呪いです。肉親に帰る可能性もあるとありましたが、そんなの怖くありません。肉親はいませんから。
私は近所から松の葉を大量に持ってきました。それと大量の塩に、金属製のコップ。それからマッチ。それが、ホテルに訪れた私のトランクの中にあるものです。
ええ、この呪いはまだかけていません。これからかけるのです。この白百合ホテルで。そして、白百合ホテルで、私は最期を迎えるのだと信じています。
呪いのかけ方をお教えしましょう。今まで3人の殺害方法だってお教えしましたしね。
13本の松の葉を、自分の髪の毛で、3箇所結ぶのです。そして、金属製のコップに塩を敷き詰め、そこにこれを入れて、燃やすのです。呪文を唱えながら。呪文は書きません。この手紙が誰かの手元に渡ったときに、誰かが呪いをかけないように。小中学校時代のいじめっ子は許せませんが、他の人たちは関係ありませんもの……。知りたければネットで調べてください。
この呪いで、5人は死ぬに違いありません。そして、その見返りに私も死ぬでしょう。構いません。これは他殺であり、自殺なのですから。
最後に。
なぜこのホテルでこの呪いをしようとしたか、お分かりですか? 死ぬ前の最後のお土産に、教えて差し上げましょう。
白百合の花言葉。それは「呪い」「復讐」なのですよ。
これを読んでくださったフロントの貴方。本当にありがとうございました。
どうか貴方には、祝福がありますように。
「純粋」にそう願っております。
百合の花言葉にかけて。
秋本そら