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謝罪

◼️□◼️□◼️□◼️□


さてとだ。どこの地を貰うか考えなければならない。父上より数日中に申し出るよう言われた。


この世界の知識を一般的常識を含め持たない俺は他の者の知恵を借りることにした。


屋敷の者に一番の知恵者は?と聞くと

皆が口ぐちに言うのは

なんと俺の家庭教師だった。


教養を身に付けさせる為、両親が都からわざわざ呼び寄せたと言う、学者出身の家庭教師が俺にはつけられていた。

教わっていた記憶はまったくもってないので適当にサボっていたのだろう。


(まあ、兎も角会うことにしよう)

とりあえず、ネアンヌに家庭教師がどこにいるか聞く。


「メルモニタ先生なら、屋敷の離れで研究されていると思いますよ。呼んでまいりますか?」

(名前はメルモニタって言うのか。)


「いや、良い。自分でいく。」

そう言って部屋を後にした。


「呼ばれた方が良いと思いますが……」

そう声が聞こえた気がした。


屋敷の離れは意外と簡単に見つかり、 

俺はづかづか入っていった。

そして扉を開ける……


そこには、まさしく汚部屋と言って良い風景が広がっていた。


床は一面、用途の分からない道具と本に覆われ足の踏み場もない。空いた空間は唯一机が置いてある場所だけと言った徹底ぶりである。


そこの中心に彼女はいた。

年の頃はまだ20代くらいー緑色の髪の上に紫のトンガリ帽子を被ったいわゆる魔女が彼女だった。


「ん?食事の時間か?ネアンヌいつものように戸口へ置いておいてくれ。」

顔も上げず本に没頭しているのが分かる。


「えーと。ネアンヌではないのだが。」

そう切り出した。


そこで初めて顔を上げた。


「ああ、これはこれはお坊っちゃま。一年ぶりでしょうか?私のことをまだ覚えていらっしゃったんですね。それとも雷撃を受けて私のこと思い出されましたか?」



彼女は皮肉を込めてそう言った。



「それとも首にして頂けるんですか?」

ちょっと期待したような顔をする。



「いや、そのようなことで来たのではない。」


「平民風情の魔導師になんぞ教わることはない。これからは剣の時代だと言ってたではありませんか。

その後、お父さまに相談して辞めさせると言って出ていったきり……。沙汰を待っていたんですよ。」


(前の俺のしたことと言え、さすがに悪いな。)


「老師の顔さえなければこんなところさっさと辞めて学都に帰れるのに……何が星読みによる特異点の発生地点なんだか……」

とぶつぶつ言っている。


「悪い。今俺は記憶を失っているんだ……

雷撃を受けたことは聞いているのだろ?

その後、記憶が飛んでいて過去のことを思い出せないんだ。


ただ、話を聞いた限り、過去俺はあなたに相当酷いことを言ってたようだ。まずは謝罪をさせてくれ。謝って済むとは思わないが出来れば許して欲しい。」

そう言って俺は頭を下げた。


「ふん、その態度どこまで本当なのか。また記憶が戻った途端、手のひら返すんじゃないの。」

と疑いの眼差しで俺をみる。


(まあ、これまでの仕打ちを考えらばそうだろうな。)


「先のことは分からないが、そうならないよう努力したい。」

そう心を込めて言った。


(今日の所は帰るか……)

引き返そうとしたら、声がかかった。


「で?なんなのよ。その分じゃ、謝りにきただけって訳じゃないでしょ」


「いいのか?」

振りかえる。


やれやれといったジェスチャーをされる。


「良いか悪いかじゃなく、あなたはまだ雇用主であるのは間違いないからね。首にしに来たのではないのでしょう?信頼はしてないけどね。」

そう言ってくれた。


(とりあえずは少し許されたらしいな。)


「助かる。」

俺はもう一度頭をさげた。


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