荒野の先に
異世界から日本へ転移したと思ったが、辿りついた先が荒野であり、途方にくれる勇者の山門とエルフのフロース。1日歩き続けて辿り着いた先が、地球ではないかと感じ始めた山門だったが何の生き物も建物も見つけられないまま、夜が明けようとしていた。
明るい日差しで目を覚ました。
まだ頭がボーッとしている。夢の中にいるみたいだ。
そういえば、マグナ・ティエーラに初めていった時もこんな感じだったかな。
Zzz....
まだ、フロースは眠っているみたいだ。
昨夜、月を見ていると同時に、星についても観測してみた。あまり星座については詳しくないが、素人でも分かる『北斗七星』を見つけることができた。
北斗七星があるってことは地球にいることは間違いないらしい。
まずここがどこかというとこから考えないといけないな。
季節は、そこまで暑く感じないが、寒くもない、春か秋ごろか..
これだけ広い荒野があるってことは、島国じゃなく大陸の可能性が高そうだ。
どこか、戦争があって焼け野原になった場所とかの可能性があるな。
イラクとかシリアとか、そのあたりか...どちらにしろ情報が少なすぎる。
「ふぁああ...おはよぉ...」
「おはよう。よく眠れたか?」
「んー、まぁね。相変わらずお腹はすいているけど。」
「とりあえず、改めて冷静にここがどこかってことを考えてみようと思うんだけど...」
「ねぇ、川があるじゃない。」
「なんだ?水浴びでもしたいのか?」
「いや、こんな濁った川に入りたくないわよ。そうじゃなくて、これだけ激流なら、ある程度高いところから水が流れてるってことじゃない?この上流に行けば遠くまで見渡せるんじゃない?」
「そうか!!なるほど、上流に向かってみよう!!」
そう気付いた俺たちは、川の上流に向かって歩き始めた。
こちらの世界に来てみて分かったのだが、あれだけ歩いたのにもかかわらず、俺はあまり疲れていない。敵と戦っていないから分からなかったが、勇者としての力は未だ残っているのかもしれない。
フロースの体力は俺と比べてそこまであるわけではないので、休みながら半日かけて上流に向かった。歩いていると分かるのだが結構な斜面だ。これは、何かしらの発見に期待ができそうだ。
大分歩いて、川の大分上流ぐらいの場所で、一度止まり遠くを眺めることにした。サポート魔法が使えないので一時的に視力を上げたりすることはできないが、ジャンプをしたりして遠くを確かめてみた。すると....
「街がみえる!!」
「えっホント??」
「あぁ、ジャンプしてみて分かるが遠くの方に町が見える!!」
「アタシには全く見えないけど、街があるのね?」
確かに街が見えた。街かどうかが分からない、薄っすらした状態ではあったが、ビルのようなものが見えた。
「距離的にはどのぐらいなの?」
「んー、今来た道のことを考えると...1日はかかるかな。」
「えぇーーーーー、ホント最悪!!馬でもあれば楽なのに!!」
「ホントだよ。車でもあればなぁ...」
というか何だここは、上に来てみると分かるのだがこの場所、クレーターみたいになっている。
隕石か何かが降ってきたのか?
隕石が降ってきて、辺りがその土砂に覆われ緑もなくなり、荒野になってしまった...
そう考えれば、つじつまが合わなくもない。
でも、これだけの威力だったら地球全体にもすくなからず影響が....
「ねぇ、何してるの?早く行こうよ。」
「っ!!あぁ...ごめん。」
そこから、俺たちはまた歩き始めた。目標がなく黙々と歩いているわけではなく、何かに向かって歩いている分いくらか気持ちが楽だった。
「なぁ、なんで俺について来ようとおもったんだ?確かに東京はマグナ・ティエーラよりも発展していて魅力があるかもしれないが、帰れない可能性だってあったんだぞ。」
「んーー。アタシねヤマトと出会って、ヤマトから色々と”トーキョー”の話を聞いていて、ちょっと興味があったんだよね。ヤマトと魔王を退治して、英雄として国に残るのも悪くないと思ってたんだけど、ちょっと刺激が無い毎日が嫌になったってのがあるかも。魔王討伐のために旅をしていたときは、スリルあって怖かったけど、ちょっと楽しかったのよね。そいうのもあってかな..」
「ふーんそうか...東京に着くまでに大分かかりそうだけどな。」
「ほんとよ!!着いたらお腹いっぱいご飯食べさせてよね!!」
「分かってるよ。」
そんな話をしながら、一晩野宿し、次の日、街っぽい場所に到着した。
今まで通って来た道を見渡すと、やはりクレーターのように地上がへこんでいるのが分かった。
そして、街を見渡すと...
「なん...だ..これ」
確かに、ビルが建っていた。建ってはいたが、どのビルも崩れかけていてボロボロだった。
「ちょっと、ここ大丈夫なの?ボロボロだけど...」
「あぁ、人の気配もない、どうなってるんだ。」
この辺りで、何かがあったのだろう、それこそ隕石が落ちてきて避難するためにここを離れた。
そうとしか考えられない。
そう思いながら、歩いていると…
歩いていると…
とんでもないものが目に入った。
何度も目にした事のある、赤と白の...
今にも崩れそうな東京タワーだった。




