Xデー
「できた!!」
殺伐とした空気の中、蓮の声が響き渡った。
電子銃が完成したらしい。
完成したのは攻め込む数時間前の話だった。
「悪いな遅くなって。ただ、威力には自信がある。」
「完成した銃は合計は4丁のようね。」
「あぁ、あのβタイプのお陰で電子銃を多めに調達することができたからな」
電子銃は、大型のものと、小型のものに分かれており、
大型のものは、両手で担がないと運べないタイプだった。
ロケットランチャーのような1mぐらいの長いサイズの銃だった。
小型のものは、アサルトライフルのようなサイズで
狙いやすいスコープがついていた。
大型のものは、大吾と俺が
小型のものは、蓮と真琴がもつ事になった。
「よし!武器も用意できた事だし、改めて作戦を確認する」
作戦としては、ケンスは指令要因として若洲海浜公園に残り
後の5人で敵地へ乗り込むといった流れになった。
始めに、ケンスの幻影魔法を使い、その間に海側の斜面からクライミングして侵入する。
先に、俺と蓮が侵入して見張りのロボットのコアを抜き、
ロープを下げて残りの3名が入る。
そこからは、できるだけ敵との戦闘を避けながら、ボスであるユダの元に向かう。
少し、アバウトな作戦ではあるが、現状の情報量でいくと最も有効的な作戦だと思う。
「ユダとは、俺とフロースで戦う。真琴たちは手を出さないでくれ。
変に手を出せば、かえって狙われる対象になる可能性がある」
「わかったわ。」
「皆....これだけは守ってくれ。勝てないとわかったら逃げること。
なによりも命を優先して欲しい...
死ぬんじゃないぞ!!」
そう言って俺たちは車に乗り込んだ。
車も少し改造して、オフロードでも走れるようにしておいた。
「今から、1時間ほどで敵の認識圏内にはいる。それまでにケンスは幻影の魔法をかけてくれ」
「あぁ!任せてくれ!!」
「じゃぁ!作戦開始だ!!」
3日前から雨が続いていた。雨が目くらましになり、俺たちにとってはかえって好都合だ。
雨の中、淡々と走る車。思ったととおり警備は手薄だった。
計画よりも早く、侵入のスポットについた俺たち
俺と蓮の二人で壁を登り始めた。
雨が降っているせいで滑りやすくなっているが、何とか登って行った。
特に蓮は無駄な動きがなくスムーズに登って行った。
ほんとに、何でもこなす器用な奴だ。
口の悪さがなければの話だが...
偵察ロボットは音にも反応するらしく、音をたてないように慎重に壁を登って行った。
なんとか壁を登り切り、偵察用のロボットを停止させて、ロープを垂らした。
「ここまでは...順調だな」
登ってみると分かったが、城がより目立つように、建物やアトラクションなどは、ほとんど壊されていた。
そして、その城のちかくに、例の謎の機械が設置してあった。
「とりあえず、あの城に向かうぞ。
見つからないように、できるだけ固まって動くようにしよう。
後ろも注意しながらクリアリングして動くぞ」
聴覚強化に頼りながら、少しづつ城に近づいていった。
ただ、警備のロボットの数が多く、どうしても避けられない場合、蓮がロボットを停止させながら進んだ。
なんとか、城の近くまでたどり着いた俺たちが目にしたのは、
城の周りをびっしりと取り囲んだ戦闘用のロボットだった。
「これは....すごい数だな...」
「どうしても城に入られたくないようね...どうやって中に入りましょう」
「ここで、この数の敵と戦うわけにはいかない....どうしたもんか...」
「ヌケミチガアルゾ」
そういって急にしゃべりだしたのは、連れてきたロボットのアイズだった。
「わっ!!!急にしゃべりだすなよ!!!」
「オマエタチ コマッテイルノダロウ? コノ ワタシガ テヲ カソウジャナイカ」
「...なんなんだ急に?何か企んでるんじゃないのか?」
「アノ ロボットタチヲ ナントカ デキルノカ?」
「タスケガ ヒツヨウジャ ナイノカ?」
何か引っかかる...アイズも何か考えがあるのだろう。
ただ、あの大群のロボットを相手にできないのも事実...
「どうするの?ヤマト!!なんか怪しいわよ!ここへきて急にしゃべり始めたじゃない」
「あぁ。ただ手がないのも事実...ここは従うべきじゃないかと..」
「そうね、私も賛成よ。1万の軍を相手にして勝つ確率は低いとおもわ。」
「皆、いざとなったら戦闘する準備だけはしておいてくれ」
「わかった..」
「ドウスルカ キマッタノカ?」
「あぁ。抜け道を教えてくれないか?」
「ワカッタ コッチダ ツイテコイ」
そういって、ロボットは抜け道の入り口まで案内してくれた。
抜け道とされている場所は、城から少し離れた場所にあるアトラクションの跡地だった。
今は動いてないように見えるが...この中に抜け道があるのだろうか...
「ココハ カコ コノシロニ シノビコモウトシタ ニンゲンガ ツクッタモノダ」
「な..なんだって!? 忍び込む!?」
「私たちの他にも、この城に忍び込もうとした人がいたのね...」
「ソノニンゲンガ ドウナッタカハ シラナイ」
「タダ コノヌケミチハ イマデモ ノコッテイル」
「本当に通じてるんだろうな??」
「ソウ オモウノナラ ツカワナケレバ イイ」
「タダ ココイガイニ ラクニ シロニ イクホウホウハ ナイゾ」
「わかった。この道を使おう」
俺たちは、アイズに従って暗いアトラクションの中へ入って行った。
全然更新できずごめんなさい....いよいよ敵地侵入編に移ります。
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