エクスカリバー
蓮と俺は走っていた。
刀剣博物館でロボットを破壊してから、他のロボットが集まりつつある。
できるだけ早くにアジトに戻る必要があった。
「っつったく!!何で破壊しちまったんだよ!!」
「仕方ないだろ!!ああするしか助からなかったんだよ!!
ほら!もうすぐアジトだ!!」
もうすぐ、東京駅に着くというところで、蓮が何かに気がついた。
「とまれ!!!」
「わっ!!!急にとまるなよ!!」
「しっ!静かに!!あれを見ろ。」
そうやって、指した目線の方向にはロボットがかなりの数徘徊していた。
「うぁあ!!どういうことだ。」
「分からないが...戻れそうにないな」
「とりあえずここを離れよう。蓮どこか隠れれる場所はないか?」
「...いい場所がある」
そういって、大周りで駅を去った後、案内してくれたのは皇居だった。
皇居は、また他の場所とは違っていた。
荒廃はしていなく、緑が有った。ただ、草木は生え放題でうっそうとした森のようだった。
我々には好都合で、身をひそめる場所として活用できる所であった。
「ここまでくれば少しの間時間を稼げる。ただ、ここも安全ってわけじゃない。
次、何処へ行くか決まったら直ぐに動くぞ。」
「そうだな...どうするか...」
そう言っている時だった。遠くから、車のエンジン音が聞こえた。
「な...なんだ!!車!?」
「おぉーい、山門!!」
「だ...大吾ぉ??」
そこに現れたのは大吾たちだった。
なんでも、車を調達してこっちに来てくれたらしい。
「無事でよかった!」
「お前たちこそ...てか何でここが分かったんだ!?」
「それは僕がいるからだよ〜!」
「ケンス!?何でケンスが!!」
「久しぶりだねぇヤマト、そりゃもちろん呼び出されたからだよぉ!」
「そうか、俺の中の魔力をたどってここまで来たのか」
「そういうこと♪ きみの故郷は予想以上にファンキーなことになってるみたいだねぇ」
俺たちはとりあえず車から出て皇居の宮殿に行き、そこで情報を共有することにした。
俺たちは、武器が全部取られてしまっていたこと、
フロースたちからは、宇宙人のことを聞いた。
「な....なんてこった。フロースの魔法が効かないなんて...」
「うん...力自体は分からなかったけど、気迫はあの魔王を凌ぐ強さだったわ」
「そうか...とりあえず作戦を練ろう、真琴当面の目標に変更はないか?」
「そうね、取り敢えず仲間を募るために東京タワーに...」
「それは無駄だとおもうなぁ...」
「ケンスそりゃどういうことだ?」
「簡単なことだよ、ここには人間は君たちしかいないってこと」
「な.....」
「それどういう意味??」
「そのまんまの意味さ。ここには君たちしか人間はいないってこと。
僕がここに来た後、生物探知の力を使って探って見た。すると、人間はおろか、動物の影すら感知することはなかったよ」
ケンスには、魔力探知のほかに、生物探知を利用できる。
魔力探知はオートで利用し、魔物が近づいて来たときに反応する用途で
生物探知は、敵の陣地へ突入する時なんかに一時的に利用し敵を探知する用途で
利用する。
ちなみに、魔力探知は半径300mぐらい。
生物探知は半径5kmぐらい利用できる。
「....それ本当なの!?」
「レディに嘘をつくほど、つまらない男じゃないさ、まぁここら一帯だけだから、もっと遠くには人がいるかもしれないけどねぇ」
まじか....本当に絶望的だ...
特に、人間の生存に期待していた真琴の落ち込みようは想像を絶するものだろう。
そうやって、皆が沈んでいる時、蓮が口を開いた。
「...じゃぁ、やることはひとつじゃねーか」
「え??どういうことだよ。」
「決まってるだろ、アイツを殺すんだよ!!あの憎っくき異星人をよ!!」
「っま...たしかに、最終的には奴を殺し東京を奪還すべきだ。だが、今の俺たちじゃ戦力が違う!!
軍艦にボロ船が突っ込むようなもんだ!!」
「僕はそのスィートボーイに賛成だな」
「なっ!!!ケンス!?」
「ヤマト!なにを怯えてるんだい。君は一国を救った勇者じゃないか。少数精鋭の部隊で何十、何百と魔物を打ち倒して来たじゃないか。」
「ケンス!!ここはマグナ・ティエーラじゃないんだ!!敵は魔王以上かもしれない!フロースだって魔法が通じなかったんだ!!それに武器だってない!!どうしようもないんだ」
「なぜ、武器がないと言い切れる?」
「はぁ?ないものはないだろ!」
「なぜだい?じゃぁ、君の愛用の聖剣はどこに置いて来たんだい」
「どこにって....」
どこに...だ??
たしか、魔王を倒すときに胸に突き刺しトドメを刺した...そのはずだ!!
「魔王を倒すときに....」
「それは勘違いだ。魔王を倒し、剣は元の鞘に戻った。」
「元の鞘って...」
「君は聖剣の成り立ちをしっているかい?」
「いや...たしか...」
「聖剣はね、強い心の持ち主が作り出すんだ。それこそ、勇者のような。
そして、その剣は必要がなくなったら意識外へ戻る。」
「い....意識外だって!?」
「そう。そしてまた必要なときにそばに現れるんだ」
「ま...まさか...」
たしかに、聖剣は、魔王の手下である、デオウを倒すときに目の前に現れた。
そして、その剣を当たり前のように使ってきた。
「だったら、今だって出てきてくれてもおかしくない。」
「あぁ、そうだ。だが剣は出てこない。それは何故だかわかるか?君にその″覚悟”が無いからだ。」
「か...覚悟だって!?」
「あぁ、君に覚悟さえあれば、あの異星人だって目じゃ無いだろう」
か....覚悟...
ケンスにそう言われた俺は愕然とした。そうだ、俺はここへ来て、気持ちが元の引きこもりの頃の俺に戻っていた。
そして、怯えていた。いや、避けていた。敵と戦うことを、目を背けていた、この東京を救うということに。
少しでも覚悟が足りない俺の前には聖剣は出て来てくれない。
いつの間にか、空から雨が降って来ていた。
すみません、一週間ぐらい小説更新できません。
仕事の関係で...ごめんなさい。