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王子は獣の夢をみる  作者: 紺青
第7章 マーレイスの鎖
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第46話 魔法使いとの再会

「え、トラスさん奥さんいるの!?」


 シアンは驚き大きな声でそう尋ねる。現在買い出しに出かけていたエマとトラス二人組みとローザたち四人は合流し、帰り道で雑談しているところだ。シアンの言葉に、トラスはへらりと笑った。


「へへ、そうなんです。子どももいて、もう五歳になります」

「えっもうそんなに大きいっけ!?」

 ローザの言葉に、トラスは懐を探り写真を差し出す。

「これが、一番新しい写真です」


 そこには、トラスによく似た元気な男の子と、優しそうな女性が写っている。


「わぁ、本当。大きくなったね!」

「今はもっと大きくなってるかもしれません」

「……悪かったわよ」


 ローザが気まずそうにそう言うと、トラスはにこやかに微笑んだ。


「でも、こんな旅をする機会は滅多にありません。帰ったら楽しい話がいっぱいできるので、とても楽しみです」

「綺麗ですね、奥さん」

 ローザが持っている写真を覗きこみながら呟いたコバルトの言葉に、トラスは身を乗り出す。

「そうでしょう!?学校のマドンナで、まさか僕と付き合って、いたっ!エマ、何するんだ!?」

「でれでれ惚気てるからでしょーが」

 エマにはたかれた頭を撫でながら、トラスは不服そうに抗議する。

「何だよ、自分にはいい人がいないからって、僻むなよ」

「な!僻んでないわよ!いい、トラス?私は恋人を作れないんじゃなくて、作らないのよ」

 真っ赤になって否定するエマに、トラスは鼻で笑って返す。

「はいはい。王子様待ってるんでしょ?」

「違うわよ!何言ってるのよ!」

 言い合いをはじめた二人の動向を見ながら、ディアンは尋ねる。

「王子様?」

「エマはね、小さい頃助けられた男の子の事、今でも探してるらしいの」

「ローザ様!!」

 ローザがあっさり言った情報に、エマはますます真っ赤になる。

「へー、どんな人?」

「ど、どんな人って……」


 エマはシアンの問いに、言葉を切った。シアンは、不思議そうに首をかしげる。暫く変な間が続いた後、エマは意を決して口を開く。


「あのさ」

「リュオン様!」


 ディアンの声が響いた。見ると、そこには辺りを見回し走るリュオンの姿があった。彼の顔は、苦しそうにゆがんでいる。ディアンの声に気づくと、リュオンは慌ててそちらの方に駆け寄る。


「!皆!サラを見なかったか!?」

 リュオンの問いに、ローザは困惑しつつ答える。

「サラ?何で?寝てるんじゃ……」

「いないんだ!部屋にも、宿の外も、どこにも……!!」


 

*****


 頭が痛い。クラクラする。

 ふと、優しい何かが触れた気がして、サラは目を開けた。


「……リュオン……」


 しかし瞼を開けて見たその光景に、サラは目を丸くする。


 そこは周りには何もない、真っ黒な世界だ。


「目が覚めたか」


 見るとそこには、紺のローブを着た、水色の髪の魔法使いがいた。忘れもしない、自分に呪いを解く方法を教えてくれた人。


「オルフさん……?」


 サラがそう言うと、小さな魔法使いはにこりと微笑んだ。


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